村上春樹 翻訳 「恋しくて」 | applejamな休日

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図書館の新着図書のコーナーに並べられていて、

まだ誰も手に取ってないようだったので、

思わず借りてしまいました。






副題が"Ten Selected Love Stories"とある通り、

村上春樹選・翻訳の9編と、

書き下ろしの「恋するザムザ」の計10編からなるラブストーリー集。





と思って甘い恋愛小説を期待していたら、

全くもって予想ハズレ。




どの小説も最後に、

村上春樹が甘味・苦味を星の数で表してるんですが、

甘味が高いとされている小説でも、そうかな?って感じだし、

まして、苦味の方が強いものとなると、

これは恋愛小説というよりは、

人間とか、人生について語った小説では? と思いました。



まあ、翻訳小説ってのが、

もともと苦手な私だし。



あまり期待はしてなかったんだけど、

案の定、私の好みには合いませんでした。



それに、短編小説ってのも苦手かも。



例によって、アマゾンのレビューを見たら、

おそらく村上春樹の信奉者と思われる方々が、

大絶賛されていて、

少なからず私は、ショックを受けとりますが…



しかし、さすがに村上春樹自身の「恋するザムザ」は

面白うございました。


フランツ・カフカの「変身」の逆パターン。


おそらく虫であったと思われる主人公は、

ある朝目覚めると、人間のグレゴール・ザムザになっていた!!!


ザムザがその変身に戸惑う場面の描写だけでも面白い。


人間になったばかりのザムザが、

この短い文章の中で、どうやって恋するまでに至るのか、

わくわくしながら読みました。


そして、小説の最後は、

「変身」の閉塞感とは全く逆の、

明るい希望に満ちた未来を感じることができました。



それにしても、村上春樹には「海辺のカフカ」という長編もあるけど、

フランツ・カフカに心酔しているのか??



とにかく、まあ、この本1冊読むのにずいぶん時間がかかってしまったけど、

「恋するザムザ」を読めただけでも良かったかな?