新学習指導要領と理数教育について考える(後編 - 1) | コンセプトカフェ『アイデア・キッチン』 by (株)シンクアップ

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「カフェを開設するまでの奮闘記。開設は3年後くらいです。」
と書いていたら引き寄せの法則か?本当に学校をやめて2017年12月株式会社シンクアップを設立しました。アイデアキッチンという創発会議をやってます。

(続き)

前回に続いて学習指導要領に見る理数教育の変遷をみていきます。

今回は2020年から改訂が始まる次の学習指導要領と紹介するとともに特に時代の変化とともに産業界からの要請が大きいAI人材の育成について触れていこうと思います。

 

まずスケジュールから

単純に言えば学習指導要領が変わることにより大学入試の出題範囲も変わりますので入試が変わる前年の受験生は焦ります。浪人すると新課程に対応した勉強をしなければならなくなるからです。

 

しかし今回の改定はそれだけにとどまらないようです。

 

今回はこれに合わせて高大接続システム改革と大学入試改革(大学入学共通テスト=新テストの導入)が行われますので日本の教育が大きく変わっていくと考えられます。文部科学省の解説では下のように書かれています。

 

高大接続改革という、高等学校教育を含む初等中等教育改革と、大学教育改革、そして両者を つなぐ大学入学者選抜改革の一体的改革の中で実施される改訂。(高等学校学習指導要領の改訂のポイントより)

 

これが明治以来の教育改革と言われる所以です。

 

さて、新学習指導要領の中で理数教育がどのように改訂されるのか見ていきます。

 

幼稚園教育要領、小・中学校学習指導要領等の改訂のポイントという解説の中で

理数教育の充実として次のように表現されています。

前回改訂において2~3割程度授業時数を増加し充実させた内容を今回も維持した上で、日常 生活等から問題を見いだす活動(小:算数、中:数学)や見通しをもった観察・実験(小中:理科) などの充実によりさらに学習の質を向上 ・必要なデータを収集・分析し、その傾向を踏まえて課題を解決するための統計教育の充実(小: 算数、中:数学)、自然災害に関する内容の充実(小中:理科)

 

このように統計教育の充実と明記されました。

さらに

情報活用能力(プログラミング教育を含む) ・コンピュータ等を活用した学習活動の充実(各教科等) ・コンピュータでの文字入力等の習得、プログラミング的思考の育成(小:総則、各教科等(算数、理 科、総合的な学習の時間など))

 

が書かれています。

 

また高校の学習指導要領には

 

理数教育の充実として

理数を学ぶことの有用性の実感や理数への関心を高める観点から、日常生活や社会との関連 を重視(数学、理科)するとともに、見通しをもった観察、実験を行うことなどの科学的に探究する 学習活動の充実(理科)などの充実により学習の質を向上 ・必要なデータを収集・分析し、その傾向を踏まえて課題を解決するための統計教育を充実(数 学)

 ・将来、学術研究を通じた知の創出をもたらすことができる創造性豊かな人材の育成を目指し、 新たな探究的科目として、「理数探究基礎」及び「理数探究」を新設(理数)

情報教育

情報教育(プログラミング教育を含む)

 ・情報科の科目を再編し、全ての生徒が履修する「情報Ⅰ」を新設することにより、プログラミング、 ネットワーク(情報セキュリティを含む。)やデータベース(データ活用)の基礎等の内容を必修化 (情報)

 ・データサイエンス等に関する内容を大幅に充実(情報)

 ・コンピュータ等を活用した学習活動の充実(各教科等)

そしてすべての生徒が履修すべき教科・科目として数学・数学Ⅰを定めています。

その中での統計学の扱いは

(4) データの分析 

データの分析について,数学的活動を通して,その有用性を認識すると ともに,次の事項を身に付けることができるよう指導する。 

ア 次のような知識及び技能を身に付けること。

 (ア) 分散,標準偏差,散布図及び相関係数の意味やその用い方を理解す ること。 

(イ) コンピュータなどの情報機器を用いるなどして,データを表やグラ フに整理したり,分散や標準偏差などの基本的な統計量を求めたりす ること。

 (ウ) 具体的な事象において仮説検定の考え方を理解すること。 

 

イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。

 (ア) データの散らばり具合や傾向を数値化する方法を考察すること。

 (イ) 目的に応じて複数の種類のデータを収集し,適切な統計量やグラフ, 手法などを選択して分析を行い,データの傾向を把握して事象の特徴 を表現すること。

 (ウ) 不確実な事象の起こりやすさに着目し,主張の妥当性について,実 験などを通して判断したり,批判的に考察したりすること。

となっていて大きな動きはあるようです。 

 

が、足りない!!と私は強く思っています。

 

そのことについて次に書きます。

 

 (続く)