原題は『Live At The Grand Opera House Belfast』です。つまりヴァンの故郷である北アイルランドのベルファストにある、グランド・オペラ・ハウスでのライヴってことやと思います。私の場合、この人はゼム時代から70年代半ばくらいの『ヴィードン・フリース』までと、70年代後半は『Into The Music』しか聴いていないので、特に80年代以降は自分にとっては全くの空白期間となります。めちゃめちゃ有名かつお騒がせ変わり者の大天才シンガー/ソングライターなので、いろんなところからもれ伝わってくる断片的な活字情報から、生涯通じて浮き沈みが激しく、それが素直に作品に反映されてきたアーチストっちゅうイメージがあります。たしかもう80歳くらいやと思いますが、ゼム期除くソロ時代の全盛期はやはり70年前後ですかね?アルバムでいうと、『ムーンダンス』『テュペロ・ハニー』『ストリート・クワイア』あたりでしょうか。ただファンによっては、ゼムに限る!とか『アストラル・ウィークス』で決まり!っちゅうパターンもあるという、おそろしくディープで一筋縄ではいかない人なのは間違いなしです。

 

今回このライヴ・アルバムは初めて聴きましたが、一聴して「あ、調子いいんだろうな」ってのがガンガン伝わってくる、ノリノリで楽しげな姿が目に浮かんでくるようなライヴでした。3人の女性シンガーを従えているところは、ハンブル・パイ時代にブラックベリーズといっしょにやっていた頃のスティーヴ・マリオット同様の雰囲気があって、この高揚感といい相乗効果といい、大変大変すばらしいソウル・ショーとなっています。ライナーによれば、ちょうど引退宣言のようなものが本人の口から発表された時期らしく、このライヴ・アルバムをもって音楽活動の幕引きとするんではないかとあります。が。知ってのとおり全くそんなことはなく、これ以降もどれだけブランクが開いたのかは知りませんが、アルバムを作り続け、なんと今の今まで活動を続けているわけです。若い頃から苦悩を重ねてきた人だけに、人生の後半は何か吹っ切れた毎日を送っているような印象ですが、どうなんですかね?もういつ死んでも悔いなし!くらいの境地であれば、飛行機なんかコワくないじゃないすか?そろそろ来日公演考えまへんか?ってな!おわり