76年にアイランド・レコードからリリースされたISBのベスト盤的な2枚組LPです。彼らは66年のデビュー作から70年のアルバム『U』までの7枚がUKエレクトラからリリース、サントラ盤の『Be Glad For The Song Has No Ending』からラスト・アルバムの『Hard Rope & Silken Twine』までの5枚がアイランド・レコードからのリリースでした。この2枚組はUKエレクトラからの初期4枚とアイランドからの後期4枚から抜粋された全17曲入りです。というわけで、つまりこれは通常ならあり得ない、レーベルをまたがってのベスト盤となります。そしてUKエレクトラとアイランド両方につながりのあった人物といえば!そうです。好き者には一発で頭に浮かんでくる、知る人ぞ知るあの人、つまりISB、フェアポート・コンヴェンション、ニック・ドレイクその他多くの英フォーク/フォークロック系のプロデュースとマネジメントを手がけていたジョー・ボイド先生による選曲の編集盤ちゅうわけです。厳密にはフレッド・カントレルという人と、スージー・ワトソン-テイラー(たしかこの人はアイランドの広報部だったか何かの人)を含む3人による選曲ですが、ジョーがメインとなったのは間違いないでしょう。さすがジョーが育て上げたといっても過言ではないグループなので、的確でバランスのとれた選曲センスやと思います。しっかりクライヴ・パーマーの“Empty Pocket Blues”も入ってるし。最後には当時未発表だった16分もある“Queen Juanita And Her Fisherman Lover”収録です。この曲、おそらくアナログ盤ではこれでしか聴けないと思います。CDではひょっとするとクサるほど聴けるかもしれません。アルバム・タイトルを表わしたデザインによる見開きジャケット内側と、裏ジャケのセンスも最高ですね。そして表ジャケのこの絵(上↑)がまたヒジョーに不穏で、ヤバいことが起こるんではないかという想像力をかきたてます。一本道を歩く1人の若者のずっと先には、こちらに向かって歩いてくる人影が小さく描かれているんですが、この人影、どう見ても死神か悪魔ですよね。でっかい鎌もってるし。おそらくすれ違いざまに若者の首が飛ぶか、崖から落ちてしまうんじゃないかと… 気になる方はincredible string band seasons they changeで画像検索して拡大してみて下さい。