たしか1939年生れですから、今年で85歳になる英国フォーク・ギタリスト/シンガーの80年代後半のオリジナル・アルバムです。30年近く前のレココレのインタビューでも自分のことを最も有名な無名シンガーと例えてましたが、今や英フォーク好きの間でも「まだ生きてたんや!?」くらいのレベルの人かもしれません。ちなみにこの人と同世代のマーチン・カーシーも、もっと年上のシャーリー・コリンズも健在す!おなじみ友人のアラン・タンブリッジという、ウィズ専属のソングライターのオリジナルのタイトル・トラックで始まるこのレコ、いつものように他人のカヴァーをたくさん取り上げる中で、自身のカヴァーまで(つまり再録)とり上げ、相変わらずゆる~い展開の安定の1枚す。バート・ヤンシュの“Needle Of Death”、イワン・マッコールの“Moving On Strong”、スティーヴ・ティルストンの“Do What You Please”、インクレディブル・ストリング・バンドの“First Girl I Loved”あ。これに至ってはたぶん2回目のカヴァーやと思います… しかしこの名曲、何度聴いても不思議なメロディちゅうか、ロビン・ウィリアムソンはどうやってこんなメロディ思いつくんでしょうなあ。ウィズは最初はアルバム『When I Leave Berlin』でカヴァーしてはりました。あとはこれもいつものパターンではありますが、大昔のブルースのカヴァーが数曲といったところです。もちろん全曲アコースティック・ギターとヴォーカルのみ、この時ウィズは40代後半、もうあれですなあ、この人の場合、年代も自身の年齢もクソも全く関係ないですね。どのアルバムをいつ聴こうが、時代背景やら流行りの音やらアレンジメントなどとは全く無縁の、常に変わらない理想の英国フォークを浴びることができます。おそらくこの時点でも本人は何周目かのキャリアを辿っているかのような作品です。