元ジョー・コッカーのバック・バンドで、なんと69年のウッドストック・フェスティヴァルにも出演した彼らのセカンド・アルバムで最終作です。手に入れたのは「グッドイアー・レコード」のドイツ・オリジナル盤す。ちなみにアナログ盤は79年に英チャーリー・レコードから再発されています。リーダー格のヘンリー・マッカロウ(ヴォーカル/ギター)はポール・マッカートニーのウィングスに参加したあとだったし、ドラマーのブルース・ローランドは同時期にロニー・レーンのスリム・チャンスでも活動していましたから、前作のデビュー作から4年もあいたことを考えると、「おっしゃ、このへんでみんなもっぺん集まって原点に戻ってみまひょか~」っちゅうノリやったのかもしれませんね。ジャケット・デザインはもろザ・バンドの『ムーンドッグ・マチネー』とか、エッグス・オーヴァー・イージーの1stを思わせるところがあって、そこからイメージできる内容そのまんまっす。つまり典型的なスワンプ・ロックです。初めてレコを手にしたとしても、くるっとジャケを裏返して目に留まるオープニングのディランの“ニュー・モーニング”と、B面1曲目のファッツ・ドミノの“ブルー・マンデイ”で、その筋の人には容易に想像できますよね。デビュー作が好きな人ならまず間違いなし!のいい意味での予定調和的、お約束的、期待を裏切らない代わりにサプライズ全くなしの安心の1枚です。YouTubeで現在見ることができるドイツの音楽番組『ビート・クラブ』での“Let It Be Gone”(1st収録)では、原曲よりもかなりテンポを落とした、さらに泥臭くヘヴィなパフォーマンスを見ることができます。プロのバンドでさえ、普通ライヴはテンポが速くなるもんなんですが、このへんが職人技ちゅうか確信犯ちゅうか、おそらくザ・バンドの影響力はものすごかったんでしょうね。そういえばストーンズのライヴ盤『ゲット・ヤー・ヤー…』も、やたらとテンポを落としてやってました。