星を見たい。
そう思いながらもその機会に恵まれない。
人工の光のない場所に行ったとしても
その思いは満たされない。
いつしかその理由がわかった気がした。
視力が衰えたためなのだ。
環境のせいにしていたのが
自分にその原因があったのだ。
学生の頃
夜汽車に乗って見た無数の瞬く星星は
プラネタリウムの中にしか存在しなくなってしまった。
青森にツーリングに行った日のこと。
夕闇が迫る中
宿を出て夜空を眺めた。
やはり思いは果たせなかった。
昼間、体に蓄えられた熱を放出しようと
しばしの間
闇夜に抱かれようと試みた。
すると少し先に頼りなげな星の瞬きが見えた。
目の錯覚ではなかった。
目を凝らすと
時期終わりのヒメホタルの儚い残照だった。
しばしその誘惑に溺れていた。