商標が非類似とされた例 | SIPO

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審決例(商標):類否175

 

<審決の要旨>

『(1)本願商標について

 本願商標は、「LiRiMoS」の欧文字と「リリモス」の片仮名を2段に横書きしてなるところ、本願商標の構成中、「リリモス」の文字は、「LiRiMoS」の欧文字の読みを片仮名で表したものと容易に理解できることから、本願商標は、その構成文字に相応して、「リリモス」の称呼を生じ、「リリモス」の片仮名及び「LiRiMoS」の欧文字は、一般の辞書等に載録された特定の意味合いを表す語ではなく、特定の意味合いを表す語として一般に使用されているような特別な事情はないことから、特定の観念を生じないものである。

(2)引用商標について

 引用商標は、「lilimo」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該欧文字は、一般の辞書等に載録された特定の意味合いを表す語ではなく、特定の意味合いを表す語として一般に使用されているような特別な事情はないことから、これよりは、特定の観念は生じないものである。そして、特定の語義を有しない文字からなる商標については、我が国において広く親しまれているローマ字風又は英語風の発音をもって称呼されるのが一般的といえるところ、本願商標は、その構成文字に相応して「リリモ」の称呼を生じるものである。

 そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して、「リリモ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

(3)本願商標と引用商標との類否について

 本願商標と引用商標とを比較すると、外観においては、両商標は、「リリモス」の片仮名の有無の差異があることに加え、本願商標の欧文字部分と引用商標との比較においても、末尾の「S」の有無、1文字目の「L」と「l」、3文字目の「R」と「l」、5文字目の「M」と「m」の差異を有するため、両商標は、外観上、明確に区別し得るものである。

 次に、称呼においては、本願商標から生じる「リリモス」の称呼と引用商標から生じる「リリモ」の称呼とは、語尾において「ス」の音の有無という差異を有し、前者が4音、後者が3音という短い音構成においては、「ス」の音の有無が両称呼全体に与える影響は大きく、それぞれを一連に称呼しても、語調、語感が相違し、明瞭に聴別し得るものである。

 そして、観念においては、本願商標と引用商標とは、いずれも、特定の観念を生じないから、観念において比較できないものである。

 そうすると、本願商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観上、明確に区別し得るものであり、また、称呼においても明瞭に聴別し得るものであるから、これらを総合して全体的に考察すれば、両商標は非類似の商標である。(下線・着色は筆者)』(不服2023-8807)。

 

<所感>

審決は、本願商標と引用商標との対比において、外観は兎も角、称呼において本願商標の称呼「リリモス」と引用商標の称呼「リリモ」は、語尾における「ス」の音の有無で差異があるので類似しないという判断をした。過去の同様な事案では語尾音の弱音の場合には一連称呼においては語韻語調が相紛らわしいとするものが多かったように思うが、類似判断の運用が変わったのであろうか。それとも単音という理由が大きいからなのであろうか。いずれにしても4音と3音において4音の語尾音のみ弱音のときには本審決のような判断があるので注意を要する。