商標が非類似とされた例 | SIPO

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審決例(商標):類否162

 

<審決の要旨>

『(1)本願商標について

 本願商標は、「福まん」の文字のうち、「福」の文字の一部を図案化し、ややレタリングされた丸みのある字体で表してなるところ、「福まん」は、辞書等に掲載のない語であり、我が国において特定の意味合いを有する語として一般に知られているとはいえないものであるから、本願商標よりは、その構成文字に相応して「フクマン」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。

(2)引用商標1及び2について

 引用商標1は、「福満」の文字を標準文字で表してなるところ、これらの文字に相応して「フクマン」の称呼を生じるものである。

 引用商標2は、「ふくまん」及び「福満」の各文字を上下二段に表してなるところ、「ふくまん」の平仮名は、「福満」の漢字の読みを表したものと理解されるものであり、これらの文字に相応して「フクマン」の称呼を生じるものである。

 また、引用商標1及び2の「福満」の文字部分は、「福」と「満」の漢字を組み合わせたものであって、「福満」自体は既存の語ではないものの、これを構成する漢字の意味合いから、取引者、需要者に対して、「福が満ちる」程の観念を想起させるものといえる。

 そうすると、引用商標1及び2よりは、「フクマン」の称呼を生じ、「福が満ちる」程の観念を生じるものである。

(3)本願商標と引用商標1及び2の類否について

 本願商標と引用商標1及び2を比較するに、外観においては、両者は判然と区別し得るものであり、外観上、相紛れるおそれはない。

 また、称呼においては、両者は、「フクマン」の称呼を共通にするものである。

 さらに、観念においては、本願商標が特定の観念を生じない一方、引用商標1及び2よりは、「福が満ちる」程の観念を生じるものであることから、両者は、観念上、相紛れるおそれはない。

 そうすると、本願商標と引用商標1及び2とは、称呼において共通するとしても、外観及び観念において明確に区別できるものであるから、これらが与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、商品の出所について誤認混同を生じるおそれはなく、非類似の商標というのが相当である。(下線・着色は筆者)』(不服2023-13620)。

 

<所感>

審決は、「外観・観念」対「称呼」で前者が優位するとの判断である。前々回の審決(図形+ユメ事案)と同じような内容である。今回は観念も類似しないと判断したが、仮に観念が比較しにくく、対比できない場合であっても判断は変わらないのではないか。