ヒマワリがいくつか届いた。
小さな苗で7月に。
家を流失して今は仮設住宅に住む年配の女性に渡した。一緒に写真をとってもいいかと尋ねると、「花が咲いたらね。」と笑った。「咲いたら自分が写真をとって、あなたに送るから。」と言って別れた。
私は、そのヒマワリのことをほとんど忘れていた。
8月。彼女は「花が咲きました!」と写真を送ってくれた。彼女の顔写真は一緒ではない。しかし、彼女の表情がなぜか伝わってきた。
石巻の街には、例年になくヒマワリが目につく。全国からのボランティアや支援組織がプランターに植えて置いてくださった。また市民の庭先にもヒマワリの地上が目立つ。塩水を吸った土なのに。これまでになくヒマワリをあちらこちらで目にする。
年によって好きな花や思い出になる花が違う。今年の夏はヒマワリになった。自分の庭にも初めてヒマワリがやってきて黄色い花を咲かせてくれた。「元気!」と声が出ている気がする。人との出会いがあるように、花との出会いもあって、今年初めて私はヒマワリに出会ったのではないか。毎年どこかで目にしていただろうが、今年、その存在が大きい。
ヒマワリのアレンジを作って贈ってくださった方もいた。家が全壊し親戚に身を寄せている女性に渡した。「余裕がなかったから、花を見て驚いた。」と言っていた。笑った彼女を見て、私はヒマワリにありがとうと言った。