11月7日は「世界野球プレミア12」日本対台湾戦が同時刻にあったのでボクシングの方は断片的に見ただけだった。
あらためて今回youtubeで見てすごい試合だったことを実感した。とにかく井上尚弥の強さはまさしく怪物にふさわしく、モンスターと世界から呼ばれているのがよくわかる。18戦0敗16KOという戦績が何よりそのハードパンチャーぶりを表している。世界の強敵をわずか5ラウンド以内でマットに沈めてきた尚弥のパンチ力はハンマーの拳と言ってもいいだろう。
尚弥の凄いところは強力なパンチだけでなく、相手のパンチをまともに喰らわないテクニシャンでもあるところだ。ところが今回の相手ドネア(フィリッピン)は世界五階級のタイトルを制覇したボクシング界のレジェンドであり、大変なキャリアの選手。26歳の尚弥に対し10歳違いの36歳、一番のネックはスタミナの問題だった。
前述したようにテクニシャン尚弥がいきなり2回、ドネアの左フックで右目の下を切り出血した。この出血のため尚弥はドネアが2人に見えた、と試合後言っていたが、相手のパンチをめったに喰らうことがなかった尚弥が顔面、ボディーにドネアの強烈なパンチがヒットしたのも出血の影響が大きかったと思われる。ドネアの関心するところは強力なパンチ力を持つ尚弥に決して逃げないことだ。とにかく積極的に打ち合い、クリンチに持ち込むことは一度としてなかったことだ。
気がかりなのは、これまでの尚弥はほとんど早い回にKOしてきただけに、長期戦の経験がめったにないことでいくら若いとはいえスタミナが持つかということだ。しかもこれまで相手もパンチをほとんど喰らうことがなかったが、この試合自ら繰り出すパンチと同じくらいの相手のパンチも喰らっている。そのダメージとどれだけ持ち応えることができるかということだ。
残すところ最終ラウンドにあと一つという11回、尚弥の強烈な左ボディーを喰らったドネアが顔をしかめ膝をついた。これまで多くの挑戦者が耐えることができずにTKO負けした尚弥の強烈な左ボディーである。このまま尚弥のTKO勝ちかと思われたが、ドネアは残る力を振り絞って立ち上がり応戦した。尚弥は一気に再度のダウンに持ち込もうと必死のパンチをドネアの顎にボディーに浴びせたが、レジェンドはどうにか耐えた。
試合は最終ラウンドに持ち込まれ、互いに死力を尽くして打ち合ったがKOには至らなかった。そして判定に持ち込まれ、11回ダウンを奪った尚弥が3-0で勝利した。尚弥が2回ドネアから受けた左フックの傷は右眼窩底の2か所骨折の重傷だった。そのハンデを押しての尚弥の勝利に大きな拍手を送りたい。負けたとはいえあれだけ強烈な尚弥のパンチを浴びながら最終ラウンド耐えたドネアの驚異的なスタミナと根性は尊敬に値するものだ。あと3歳ドネアが若くして戦っていたら果たして尚弥が勝てたか疑問である。それだけ両者の力の差は肉薄していた。怪我を直してこれからも尚弥はまれにみるハードパンチャーとしてボクシングの魅力を我々に見せてほしい。