NextRockとSVCV、年内始動へ

保険資本を軸に“次世代型コングロマリット”構築を狙う

新興資産運用会社「NEXTRock Investment Group」が、保険資本を活用した次世代型オルタナティブ投資プラットフォームの構築に向け、資金調達を本格化している。

同社は、規制金融サービスを基盤としたマルチストラテジー型資産運用モデルを掲げる一方、カルチャー持株会社「SVCV」の立ち上げも進めている。
金融とカルチャーを横断する異例の構想として、市場関係者の注目を集め始めている。


「PE収益性」と「公募債流動性」の融合

NEXTRockは、自社戦略を「プライベートエクイティの収益構造と、公募クレジット市場の流動性を組み合わせたモデル」と説明する。

同社はバミューダ拠点の保険プラットフォームと、マルチストラテジー型クレジット運用基盤の構築を進めている。

さらに、カルチャー領域を担う持株会社SVCVを後続で立ち上げる計画で、初期資金調達完了後、ニューヨークを拠点に本格展開する見通しだ。

その構想は、Apollo Global ManagementEldridgeなどが進めてきた「恒久資本型コングロマリット」に近い。
長期保有資本を活用し、運営資産そのものを投資商品化するモデルである。


保険負債を“恒久資本”へ転換

NEXTRockの特徴は、保険・再保険モデルを資本形成の中核に据えている点にある。

同社は、KKRBrookfieldApollo Global Managementなどが推進してきた保険資本戦略を参考に、自社保険会社の取得およびグローバル保険会社との提携を進める方針だ。

提携先保険会社のバランスシートの一部について運用権限を取得し、同一リスク許容度のもとで高リターンを追求する。

もっとも、同社は「保険資本を直接カルチャー事業へ流用しない」と強調している。
保険・運用部門の資金は主にクレジット資産へ再投資され、SVCVは独立した資本調達プラットフォームとして運営される見込みだ。


香港市場を活用した大型調達構想

資金調達面では、NEXTRockとSVCVは二層構造の機関投資家向けスキームを設計している。

第一段階として、戦略スポンサー投資家確保を目的とした1億3500万ドル規模のブリッジファシリティを組成。
優先株形式で調達する計画だ。

その後、Hong Kong Stock ExchangeのChapter 37制度を活用した、総額50億ドル規模の転換社債発行を検討している。

Chapter 37はプロ向け債券市場向け制度であり、新規発行体に対する監査実績要件が比較的緩和される点が特徴とされる。


GPエコノミクスの“証券化”

今回のスキームで注目されるのは、債券投資家へのエクイティ参加権付与だ。

Chapter 37商品への投資家は、GP運営会社の10%持分を共同取得する設計となっており、固定利回りだけでなく、管理報酬やキャリー収益へのアクセスも可能となる。

GPエコノミクスそのものを証券化する手法は、公募市場では依然として珍しい。

さらに、GP側も相応の共同出資を行う予定で、外部投資家との利害一致を図る。
同社は、全案件完了後には年間7500万ドル超の管理報酬収入を見込んでいる。


「クレジット」と「PE」のハイブリッド商品

NEXTRockは、自社商品を「クレジット型利回り」と「PE型アップサイド参加」を組み合わせたハイブリッド商品として位置づける。

想定投資期間は5〜7年。
上場債による流動性を確保しつつ、埋め込まれた株式持分については将来的な私募セカンダリー取引やIPOを通じて収益化する構想だ。

投資対象は保険、決済、退職関連サービスなど。
安定収益性とキャッシュ創出力を備えたディフェンシブ資産群を想定している。


最大の課題は「実行リスク」

もっとも、この構想には高い複雑性が伴う。

複数買収案件の同時成立、各国規制当局との調整、そして従来型資産クラスを横断する商品への投資家需要形成など、実行面のハードルは小さくない。

市場関係者からは、「金融工学としては高度だが、資産レベル・プラットフォームレベル双方にリスク集中が起きやすい」との指摘も出ている。

同社は現在、キャッシュフロー優先順位、資産レベルのレバレッジ規律、案件不成立時のコンティンジェンシープランなど、ガバナンス強化を進めているという。


「金融×カルチャー」の新資本モデルへ

NEXTRockは最終的に、「機関投資家資本と事業会社を橋渡しするスケール型マルチストラテジープラットフォーム」の構築を目指す。

将来的にはカルチャー、テクノロジー領域への展開も計画しており、東京・香港・ニューヨークでのデュアル上場も視野に入れる。

10年以内に500億ドル規模の企業価値を目指すという。

同社が掲げる投資家向けメッセージは明快だ。
「恒久資本」「オルタナティブ資産」「次世代カルチャー」という三つの要素を統合し、“次世代型グローバルプラットフォーム”を形成する。

年内に東京・ニューヨークで開催予定の投資家説明会では、その全貌が明らかになる見通しだ。