1回目:9月8日(土)21:30 TOHOシネマズ錦糸町 スクリーン2 I-18

2回目:11月3日(土)18:00 TOHOシネマズ錦糸町 スクリーン8 B-9


1回目:前作のOD3は、映画としても踊るファンとしても非常に残念な出来だったので心配でしたが、本作『THE FINAL 新たなる希望』にも、勿論、超期待してました。また青島刑事やすみれさんに会えるだけでも嬉しいことは嬉しいのですが、素晴らしい作品であってくれ、と願いを込めて観に行きました。


2回目:1回目に観に行った時のガッカリ感が強く、本当は観に行きたくなかったのですが、前売り券を2枚買ってしまっていたので、本当に仕方なくって感じで観に行きました。


■ストーリー■

湾岸署管内で開催中の国際環境エネルギーサミット会場で誘拐事件が発生。
数時間後に被害者は射殺体で発見される。使用されたのは、警察が押収した拳銃。緊急召集された捜査会議では、全ての捜査情報を鳥飼管理官へ文書で提出することが義務付けられ、所轄の捜査員には一切の情報が開示されない異例の捜査方法が発表される。
そんな中、第2の殺人が発生。そして、捜査員たちを嘲笑うかのように起こった第3の事件。「真下の息子が誘拐された・・・!」
疑念を抱きながらも必死に真実を突き止めようと捜査する青島。その捜査こそが、青島、最大そして最後の事件になるとも知らずに・・・。
これまでの全シリーズ作品を凌駕する、衝撃のラストダンス!映画館で目撃せよ!!(公式HPより)


■キャスト&スタッフ■

監督:本広克行

脚本:君塚良一

主演:織田裕二(青島俊作)、深津絵里(恩田すみれ)、柳葉敏郎(室井慎次)


■感想■

俺は、誰にも負けない位に踊るシリーズが大好きです。だからこそ、前作のあまりにも酷い出来は本当に許せなかった。1本の映画としても踊るファンとしても、到底納得できる出来ではありませんでした。


俺、前作を観た時に、この脚本家と監督じゃもうダメだと思いました。踊る大捜査線の魅力が分かっていなく、カタルシスの欠片も感じられない脚本、それに観客がどう感じているかが全然分かっていなくセンスも無い演出。役者の皆さんが頑張っていただけに残念で悔しくて、情けなくなりました。


今回のODFの展開として、まず、本作の公開直前にTV放映された『THE LAST TV サラリーマン刑事と最後の難事件』がありました。ストーリー全体は、何だかとても踊るらしくて好感も持ちましたが、笑わせたい演出シーンで1回も笑えなく、観ている者にどう思ってほしいのか、また観客が今どう感じているのか全然分かっていないセンスのない演出には心底ガッカリしました。同時に映画本編のODFが非常に心配になりました・・・。


で、本作ODFです。まずは当然でしょうが、脚本家と監督が変わっていないことに、ガッカリ・・・。でも、TVシリーズの時のような最高の踊るに期待しました。


結果、前作OD3よりはまだ良かったけど、とても満足できる作品ではありませんでした。それは、1本の映画としても、踊るシリーズとしても良くない出来でした。これから、そのダメなところを色んな観点から書いてみます。踊るファンで本作を観た方なら、きっと解ってくれると思います。


①脚本がダメ

踊るシリーズといえば、『感動』・『笑い』・『燃えるような興奮』の全部が入ったエンターテインメント!ファンは、それら全部が入っていることに期待する訳なんですが、今回の映画は全然できてないんですよ。何点か具体例を挙げてみます。


・踊るシリーズってのは、何か?『組織の中で信念を持てるのか』ということでしょう?それを、警察だって普通の会社と変わらないって事を展開しながら表現している訳ですよね。それは、もちろん会社員である多くの人の状況にそのまま置き換えられるし、共感もする。だけど、多くの場合、自分たちには室井さんみたいな理解者は上司にいないんです。要は、多くの社会人の夢の話です。今回の映画は、それに対して回答があったか?無かったよね。結局、夢の途中。青島と室井さんの立場は変わって行ったけど、テーマ自体に対する回答ではありませんでした。ドラマから進展していないといえると思います。


・冒頭で、警察が押収した拳銃による殺人事件が起こり、あっさりと捜査一課の久瀬警部(香取慎吾)が犯人だと特定されます。大杉漣さん演じる(横山・情報技術執行官)からその事が伝えられ、映画内でもそれは間違いのないこととして展開されていきます。なのに、まず久瀬を犯人と特定した経緯が全く説明されない。驚きです!しかも、久瀬は普通に勤務し続けてるんです。見張るだけで拘束も拘留もしないのは・・・何故!?全然理解できない・・・そりゃ、次の事件も起こるに決まってるだろう。推理的な魅力を自ら捨ててるだけでなく、常識的にも変にしか見えない・・一体、どういうつもりなのでしょうか!?


・共犯の小池についても久瀬と同様です。何で確保しないの!?共犯である事が発覚しているにも関わらず、普通に捜査本部をウロウロしていたのには、すごい違和感がありましたね。


・予告でもあるように、今回は真下くんの息子が誘拐されます。誘拐事件をドラマとして盛り上げるのは当然、親の様子を映すことでしょう?なのに、不自然な位に真下くんと雪乃さんのシーンが1つもないんですよ。誘拐事件としての盛り上げ方を全然解ってないんですよねぇ・・・。


・何で、鳥飼は室井さんと青島に警察を辞職させようとしたのか??鳥飼は、腐敗しきった現状の警察に嫌気が差して、警察の構造改革をする為に、今回の犯行を行ったんですよね?だったら、警察を正しくしようとしている室井さんや青島と、目的は同じなんですよ。お互いに方法は違っていても、最終目標は同じなんです。なのに、その室井さんと青島を辞職させようとするのは、明らかにおかしいですよね?


・青島が警察手帳を取り上げられましたが、あれって何か意味があったんでしょうか?青島刑事はその後も、普通に捜査してましたよ!?一体何の意味があったんでしょうか!?


・これが、踊るファンとして、今回の脚本で最も致命的なシーンです。ODFは『正義って何か?』ということが1つのテーマになっています。その点で最も重要な、青島が久瀬と1対1で対決するシーン。青島と久瀬、それぞれの正義に対する信念がぶつかり合う、今回の映画のテーマともいえるとても大切なシーンです。なのに、とんでもないハプニングで幕を閉じ、そのまま久瀬は確保されてしまう。ここは、絶対に青島の言葉で説得させなきゃ駄目でしょう!? 久瀬は、自分の正義を信じたまま逮捕されちゃってるんですよ?青島の正義が久瀬の正義を打ち砕いたというシーンじゃないと意味がないですよ・・・バカか。


・ついでですが、すみれさんが事件を解決したあれ。あんなんで良い訳ないじゃん。下手したら、青島も真下くんの息子も全員死んでますよ。まぁ、上記の映画自体のテーマをちゃんと表現できていないってことよりはどうでも良いことだけど、こんなとこにもいい加減さが出ちゃってるんだよね。

室井さんに青島との大切なシーンで訛りを使わせたのにもグッタリ。分かるよ、確かに室井さんのキャラから、ついふとした時に訛りが出ちゃう設定だってのは。でもさ、あそこは観客にしっかりと伝わらないと意味のないシーンですよね。


②演出がダメ

単純に演出が下手だなぁと感じた点を、いくつか挙げてみます。


・王さんの注文ミスで大量のビールが運ばれて来るシーン。最初からビールが大写しになっているので、観客は「あ、これが王さんが間違って注文したビールで、それが署内に運ばれてきてるんだな。」ということが、その時点で既に解ります。なので、観客のリアクションは最初に大量のビールが映った瞬間です。リアクションは、そこで終わってるんです。なのに、長々と運ぶシーンを映した後で、青島がそのビールの山にビックリするシーンを持って来て、観客にも青島と一緒に驚いて欲しいって演出なんですよ・・・そんなの、観客は「今更!?」という風にしか感じられませんよ。これは、ただ単に、青島がビールだと分かるまでは、観客にも分からないようにするだけで回避できますよね。運んでいるシーンでは、滑車のタイヤや手元などしか映さなければ良いだけですよ。それだけで、狙いどおりのシーンになったのに、センス無さ過ぎです。


・また技術的に下手だなと思ったのが、会話シーンでのスイッチング。すみれさんと魚住さんが会話をしていて、すみれさんのアップから魚住さんに切り替わる際のスイッチングが早すぎる。不自然に唐突で、そのことが気になって普通の会話に見えない。それが2か所もありましたよね。こんな基本的なことすら出来ないってどうなんでしょうか!?


・青島がバナナ倉庫を思いつくシーン。なんでその前に、スカイツリーを見上げるショットを入れたのか?あれじゃ、「東京タワーが見える倉庫」じゃなくて、「スカイツリーが見える倉庫だったんだ」と思いついたようにしか見えないよ。


・雪乃さんは、なんでいつも車の前や車に乗ったシーンしかないの?おかしいよ!


・青島に辞表を出させるために湾岸署を訪れる室井さん。出口ですみれさんとすれ違う。その後で、鳥飼が青島に辞表を提出するよう迫り、警察手帳を取り上げるシーンが何分か展開。その後、室井さんが青島のことろに到着。ここで疑問が3つ。青島に辞表を出すよう任務を負ったのは室井さんのはずなのに、何故、鳥飼が青島に辞表の提出を迫ったのか?また、青島と会った室井さんは何故、青島に自分が負った任務のことを一言も話さないのか?? また、室井さんが青島のところに到着するのに異常なまでに時間がかかっているのも明らかに変です。


・他には全体で何か所もあった、観客を笑わせたいのか、どう思って欲しいのか全然理解不能な演出。室井さんが真剣な顔で「バナナだ!」って言っても、どうして良いのか解らないですよ。そこは、BGMか何かで補助しなくちゃ観客が戸惑うだけです。因みに、数ある笑いシーンでは、俺だけじゃなくて観客は皆ポカーンとしてましたよ。間も悪くてねー、悲しくなりましたね。とにかく、この監督は、こういう演出をしたら観客がどう思うかや、観客にどれだけの情報が伝わっているか等々が全然把握できてないんです、とにかくセンスが無いんですよ。


③踊るとして演出がダメ

ここは、映画としてではなく、踊るとしてダメだと思った点を挙げます。


・すみれさんが湾岸署を去るシーン。中西さんにカップラーメンとメッセージを残してあっさりと湾岸署を出て行ってしまう。あそこは、な・ん・で、青島のコートにさらっと触れるとか、チラッと見るというシーンを入れないの!? せっかく、すみれさんのカットで後ろに青島の席が映り込んでるのに・・・あんなにあっさりと出て行かせるなんて、センス無さ過ぎる。踊るで表現される恋愛的な要素って、これで十分だと思いますが、いかがでしょうか。


・鳥飼が青島に辞表を迫り、警察手帳を取り上げましたが、あそこは室井さんから青島に伝えた方が、比べようが無い位にドラマティックで盛り上がったでしょう。センス無さ過ぎます。


・事件が全て解決後、青島のいる強行犯係に、警察手帳を返しに訪れる室井さん。そこで他愛のない会話からお互いの信念を再確認するシーン。これ、踊るシリーズとして最も重要なシーンですよね。それは、劇場第一作目での和久さんと副総監とのシーンを彷彿させ、室井さんと青島の休憩所での信念の誓いシーンを思い出させる、ファン感涙の場面です。なのに、何故、強行犯係の室内でやっちゃうの!? ここは、絶対に休憩所のベンチに背中合わせで座って行うべきです!そこにさりげなく、室井さんが買ってくれた自動販売機が搬入されてたりしたらどうですか?ファンなら間違いなく泣いちゃうでしょ?


以上!

そんな感じでね、1本の映画としても踊るシリーズとしても、全然満足できなかったんですよね。ただ、言っとく!役者の皆さんは最高の演技でした。青島は青島として存在していたし、すみれさんもすみれさん。室井さんだって、変わらずキリリとカッコ良い!出演されている皆さんが、とても魅力的でした。


今作ODFが踊るシリーズの最後だというのは、きっと前作のOD3の興業収入が思ったよりも伸び悩んだのを受けて、これ以上期間を置いたら更に低い興業収入になってしまうと判断して、前作からあまり期間も置かないで製作が決まったのでしょう。

亀山プロデューサーは、もう世間は踊るシリーズを必要としていないと判断したんだろうけど・・・踊るファンを代表して言うけど、それは違う!絶対に違う!!OD3の興業収入が海猿にも及ばなかったのは、OD3の出来が単純に悪かったからだよ!世間は、まだまだ踊る大捜査線が大好きだし、必要としてるんだよ!そこのところを勘違いしないで欲しいなって切に願いします。


いつまでも、青島刑事は俺のヒーローです!


☆2回目を観た感想☆

1回目に観た時よりも、何故か印象は悪くなかったです。また、1回目の感想で書いた。【何故、鳥飼が青島の警察手帳を取り上げたか】は俺の勘違いで、長官に命令されたのは室井さんではなく鳥飼であった事と、【何故、久瀬を直ぐに確捕しないのか】には泳がせて共犯を探るという理由があったことが解りました。だけど、両方ともとても納得いく理由にもなっていませんし、単純に物語として良くないと思います。ビールを別の場所に移動しない理由も結局明かされませんしね。きっと製作陣は、こんな感じで何回も何回も観ている内に、いろんなことが麻痺してしまったのではないかな、と思いました。俺の大好きな踊るシリーズがこんな出来の良くない映画で最後だってこと、本当に残念に思います。役者陣は最高、製作側の問題です。。。


満足度:48%

役者の皆さんの演技への満足度:100%


スズタカ☆ほぼ週刊・映画日記☆
スズタカ☆ほぼ週刊・映画日記☆
スズタカ☆ほぼ週刊・映画日記☆