黒の剣士とシルフの妖精~ep206~ | ソードアート・オンラインSS

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妄想ばかりで書いていきます

~ALO内某所~

 

キリトからの要請でリズベットとエギルの2人がキリトを訪ねてきていた

 

「悪いなわざわざ来てもらって」

「あんたから来て欲しいなんて珍しいわね」

「俺とリズだけか?」

「ああ、お前たちだけだ」

「それであたしとエギルをわざわざ呼んだ理由あるんでしょ?」

「エギルとリズに頼みたいことがあるんだ」

「俺達に?」

「お前たちだから頼むんだよ」

「なによ頼みって」

「お前たちからリーファとノゾミ、サクラ、エリにSAOでの俺の過去を話してやって欲しい」

「あんたの口から言わないの?」

「ユイにも言われたけど恐らく俺の心が持たないかも知れないしな。もしそうなったらもう治すことは不可能だろう」

「わかった。俺達でリーファたちに話しておく」

「すまないエギル」

「あんたの心が壊れて泣いてるあの子達は見たくないからね」

「どこまで話すかはお前たちに任せるよ」

キリトはそこまで話すと姿を消しエギルとリズベットはどこまで話すかと思案しながら酒場へと戻っていった

 

 

~ユグドラシルシティ・エギルの酒場~

 

エギルからキリトのことで話があるからノゾミとサクラとエリを連れて俺の酒場にきてくれとメッセージをもらったリーファは3人を酒場にきていた

 

「リズさんも一緒だったんですね」

「あいつから頼まれたからね」

「キリト君にですか?」

「そうよ。ほかに誰がいるのよ」

「まあ、座れ。話はそれからだ」

リズベットとリーファたちはカウンターの席に座るとエギルが話を続けた

 

「あいつから俺とリズは頼まれたんだよ。リーファたちにSAOでのあいつの過去の話をしてやって欲しいってな」

「父さんのSAOでの過去・・・」

「リズさん、キリト君は…」

「リーファ、あんたの言いたいことはわかってる。あいつは心が壊れてあんたたちが泣かないようにあたしたちに頼んできたのよ」

「キリト君・・・」

うっすらとリーファの目に涙が浮かんでいたがエギルとリズベットはキリトのSAOでの過去を話し始めた

 

「あいつと俺は1層で出会って初めてのボス戦の直後にあいつは下手な芝居をうったんだ。βテスターを守るためにな。それであいつは1人ですべて被ろうとしたんだよ<ビーター>と呼ばれたのもその時だ」

「それからあいつは誰とも組もうとせずソロプレイヤーとして攻略にも参加していた。周りから<ビーター>と忌み嫌われてもな」

「酷い・・・」

「ある時に下層でギルドに参加してたらしいんだがそのギルドはキリトを残して全滅したらしいんだ。それからのあいつは死んだような目になってて1人で無茶なレベリングなんかもしてたらしい」

「あたしはあいつがイベントボスにソロで挑んでるの知らなくて楽しんでた」

「無理もないだろ。あれ自体がレアなんだぞ」

「キリト君は何は狙ってたんですか?」

「蘇生薬だ」

「クラインから聞いた話だと10秒以内じゃないと効果がないものだったらしい」

「一時期離れたがあいつが攻略組に戻ってからはあいつの目は深い闇のような目になってた」

「その頃からよ。あいつとアスナが犬猿の仲と言われるようになったの」

「攻略会議のたびにぶつかって果てはデュエルまでいってたこともあるくらいだしな」

「それでキリト君は殊更に避けてたんですね」

「昔からの因縁でもあるんだろう」

エギルとリズベットは一息つきリーファたちを見た

 

「問題はここからなんだが」

「リーファあんたはシノン辺りから聞いたことあると思うわよ」

「まさか・・・ラフコフ・・・」

「母さんどういうこと」

「お前たちが知らないのも無理はないかもな」

「シリカたちもあんたたちには話してないだろうし」

「俺達は当時の最強ギルド「血盟騎士団」<KOB>とラフコフ討伐戦に参加することになったんだが情報がラフコフに漏れていたせいもあって奇襲を受けたがキリトがいたお陰でなんとか態勢を立て直すことができた」

「シノンさんが言ってた地獄のような戦場って言うのは」

「あいつらはPKすることしか考えてなくてどんな手段だろうと俺達をPKできればいいそういう連中だった」

「なんて人たちなの」

「許せないわよ」

「だからこそ泥沼みたいな地獄のような戦場になったんだ。そんな中でキリトは仲間のために2人をPKしラフコフ討伐戦の後にKoBにいたグラディールというやつもPKした。こいつもラフコフだったようだけどな」

「あいつは未だに仲間を守るためとはいえ3人を手に掛けたということを自分の「罪」として抱えてるのよ」

「あいつだけじゃなく俺達にも罪はある」

「キリトの心にきづけなかったあたし達もよ」

「リズさん、もしかしてその時はもう・・・」

「あんたの思ってる通りよ。あいつの心は悲鳴をあげてたけど攻略組もあたしも気づいてやれなかった」

「あいつが休養に入ったのはそこからだ。その後は知ってのとおりだ」

「あんたたちがあいつの過去とどう向き合うかはあんたたち次第よ」

「お前たちがあいつの家族なら支えてやれ」

リーファたちが酒場を後にするとリズベットとエギルは窓の外を見ていた

 

「あいつに頼まれたとはいえあの子達の泣きそうな顔を見ると辛いわね」

「キリトにとっては心と引き換えにするような話だしな」

「あいつには重過ぎる罪と大きすぎる十字架よね」

「俺やクラインやアスナも含め攻略組も背負わないとならないんだがな」

「1人で抱え込もうとするからねあいつ」

「あの家族なら俺達にできなかったこともできるだろう」

「あいつの家族だもんね」

 

キリトの過去とリーファたちはどう向き合い支えるのかエギルとリズベットはそんなことを考えながら窓の外を見ているのだった

 

 

ーつづくー

 

ーあとがきー

罪と十字架を書いてみました

次回は消せない過去と向き合う覚悟を書こうと思います

今回の続きみたいな感じになると思います