ブロードウェイミュージカル

「COME FROM AWAY」を観てきました。
久々の日生劇場です。

チケットを持っていなかったんですが
内容的に観たいと思っていたところ、
見きれのGC席が解放されたのに飛びつき、
GC席の一番前で観てきました。

(1階と2階の間のサイド席)



■キャスト

ダイアン/クリスタル/他:安蘭けい

ニック/ダグ/他:石川禅
ケビンT/ガース/大統領/他:浦井健治
ボブ/ムフムザ/他:加藤和樹
ジャニス/ウォルマート店員/他:咲妃みゆ
ボニー/リポーター/他:シルビア・グラブ
ケビンJ/アリ/他:田代万里生
クロード町長/他:橋本さとし
ビバリー/他:濱田めぐみ
ハンナ/ムフムザの妻/他:森公美子
ビューラ/他:柚希礼音
オズ/他:吉原光夫

スタンバイ:
上條駿 栗山絵美 湊陽奈 安福毅


以下、ネタバレあります。

北米の北東の果て、ニューファンドランド
という島に、ガンダーという町がある。

M1「Welcome to the Rock」
なんでRock?と思って聴いていたら、
ニューファンドランドは岩壁の島らしい。
(歌詞が聞き取れなかった……)

GC席の一番前だけど端の席でした。

音響的にはよくない席なので

歌詞や台詞はやや聞き取りづらかった。

でも濱めぐさんのは聞き取りやすかったな。


2001年9月11日。雲一つない晴天。

米連邦航空局は領空閉鎖を決定。

ヨーロッパからの飛行中の
アメリカ行きの便はカナダへ向かい

そのうち38基がガンダー空港に着陸した。


役名はほぼ実名で、
事実に即したお話になっています。
主役のいない、群像劇。
キャスト全員が乗客も島民も演じ、
しかも何役もこなす。
上演時間100分。休憩なし。

のどかなガンダーの町。
町長はドーナツショップで
いつものペプシを飲み、
町に2人しかいない警察官や
この町に派遣された新人レポーターが
挨拶に来たり、日常生活がそこにあった。

町長をはじめ、空港の管制官や
町の施設の職員たちは、ガンダーに

7,000人の乗客が集まることを知り、

非常事態を宣言し、住民に助力を請う。

アメリカン航空初の女性パイロット、
ビバリーが操縦する航空機は
米国内に進入できずガンダーに降りた。
しかし機体の外に出る許可が出ない。
まだ携帯電話が普及し始めたころで、
乗客は状況が分からず不安を募らせる。
客室乗務員はパニックにならないよう
対応するしかない。

やがて外出許可が出て、乗客は
ガンダーや近郊の町の各施設へ案内され、
そこで数日過ごすことになる。

年齢、民族、国籍、母国語が全然違う人々。

施設に置かれたTVでテロ発生の事実を知る。


町のホッケー場は食材用の冷蔵庫となり、
島民が協力して7,000人分の食事を用意した。
赤ちゃん用のオムツや食事も用意された。
女性用の生理用品も用意された。
トイレットペーパーは集まりすぎて、
「もう(施設に)持ってこないで!」。
動物愛護協会の女性は、貨物として積まれた
ペットたちの世話を買ってでた。
トイレの掃除も頻回必要となったが、
衛生環境を守るため、医師らが立ち上がった。

これは、年明けの能登半島地震や
羽田の航空機事故に通じる内容でもあり、
考えさせられるものでした。

色々な言語の通訳ができる人の募集もあり、
ムスリムやヒンドゥー教徒など、

お祈り習慣がある者への対応も描かれました。

英語が通じないけれど聖書を手に持つ人へ、

聖書の章や節の番号を指さして

島民が敵ではなく怯えなくてよいことを
何とか伝えるシーンもありました。
急激に人種のるつぼと化したガンダーでも
こういう対応ができてきたことに脱帽。

浦井くんと万里生くんはゲイカップル。
バーでつい恋人であることを喋ってしまい、
非難の目で見られるかと思いきや、

「うちの子もゲイ」「祖父がバイだった」

などと皆が言い、受け入れられてしまった。

浦井くん演じるケビンTは安堵し、

島民と色々な場所で交流していくが、

万里生くん演じるケビンJは交流を拒んだ。

名産の(冷凍魚の)タラとキスをするという

地元の行事的なものにもケビンTは参加。
ま、結局このカップルは別れるんだけど、

ケビンTは後でKK氏とカップルになってたw


航空機の離陸許可が出ない。
航空機は飛び続けなければ故障してしまう。

航空機が停まる滑走路にはひび割れもあり

アスファルトにめりこんでいるものも。
ビバリーは他機の同僚のことも心配だし、
焦りが募るばかり。

森クミさん演じるハンナの息子はNYの消防士。
息子の留守電いっぱいにメッセージを残すが

消息は知れず。皆が施設外に出かけても

「息子からの連絡を待つ」と離れない。

(施設の電話であり、持ち出しできない)

施設責任者ビューラも消防士の息子がいる。

ビューラはハンナと教会へ行き祈りを捧げる。


安蘭けいさん演じるダイアンは米国女性。

バツイチだが、息子の無事が分かり

心が解放されていく。

禅さん演じるニックはイギリス人で仕事人間。

「同僚が心配してる」と会社に連絡するが、

ニックの心配をしている同僚はいない。不憫。
航空機で隣の席に座ったことで知り合う2人。
島民は2人を夫婦だと勘違いする人もいた。

タラとのキス儀式をニックは拒否するが、
ダイアンはノリノリ。
ダイアンに気があるニックはしぶしぶと
タラにキスをする。
しかし結局ダイアンはタラにキスしない!
しかし町長に促されると
ダイアンは「OK!」とニックとキスをする。

景勝地を訪れたダイアンとニック。
その景色や姿を写真に収める。
この二人はやがてそれぞれの地元に帰る
……のだけど、その後結婚したそうだ。
これは予想が外れた。そういうこともあるのね。

加藤和樹氏演じるボブは普通の米国人だが、

ガンダーの人々の好意を疑ってしまう。

住民が自宅に招待してシャワーを使うよう
勧めても「財布を盗まれる!」と怯える。
やがてだんだん心が溶けていき、
財布のことは気にしないようになる。
分かりやすい事例ですね。

COME FROM AWAYの中で

一番の理不尽な扱いを受けるイスラム教徒。

万里生くん演じるアリは、

エジプト人のムスリム。

国際的ホテルチェーンのマスターシェフで、

施設の食事の手伝いをしたいと申し出る。

だが皆がイスラム教徒を信じることができず、

アリはキッチンへ入ることを許されない。

そしてアリと航空機への同乗に恐怖を感じる

乗客が多々おり、アリは尊厳を傷つけられる

屈辱的な身体検査を受けることになる。

「もしかするとテロリストの仲間かも」

あのツインタワーの倒壊の映像を見たら
(この演目では映像は流れません)、

恐怖に感じてしまう可能性はゼロじゃない。

機長のビバリーも乗客の安全に責任があり、

身体検査にNOとは言えない。


やがて、遠くから来た人々、

COME FROM AWAYsは飛び立っていき、

9月16日(日)の午後6時20分、

最後の便が離陸していった。


10年後、あの時ガンダーの地にいた人々が

再び集っていた。

確かさとしさんの台詞だったと思うけど

「失われたものの尊厳を讃えよ」

みたいなこと言ってました(うろ覚え)。

緊急事態や極限状態における

個々の尊厳は、軽く取り扱われ、

また踏みにじられると考えがちですが、

備え、考え、心配り次第で
守られることもあるのだな、と。

ガンダーの町で歓待を受け、数日を過ごし、
去っていったCOME FROM AWAYs。

同時多発テロ自体がテーマの演目ではなく、

7,000人を準備期間なく受け入れ、

多様性を認め受け入れようとし、

コミュニケーションをとることを諦めず、

共に過ごした人たちの物語。

私が観た回はアフタートーク付き。
ゆうみちゃん、ビアさん、加藤和樹氏。
ネタとしては、前日か前々日の公演で

クロード町長のファスナー全開だった話。

そしたらさとしさんご本人登場w

好きなシーンととして挙げられた、
瞳子さんと禅さんのシーン。

そしたら禅さんご本人登場。そんなシステム!?


あと動物の声は、録音とかではなく、
ゆうみちゃんと浦井くんが当ててるそう。
それはビックリ。
ただ私の席から、舞台奥の貨物室、
見えなかったのよね……。

他演目では主役を張るキャスト12人
(+スタンバイの方々)と、ケルト音楽を
生演奏で届けてくれたMusicianによって
上演したという、この演目の奇跡。
本当によくこのメンバーが揃ったと思います。

もうカーテンコールは最初からスタオベ。

本当に良い演目でした。とにかくお勧め。
本当はあと2回くらい観たいんだけどなー。