●チベット密教の実践秘法【第5章】
【頭頂を開き体外離脱を体験する転識(ポワ)の行】
内火の行について紹介してきましたが、 ナーロー六法 の最終段階に属
するのが、【転識の行】と【中有の行】になります。
この2つの行のうち、【転識の行】ですが、転識とはチベット語では、
hpho-ba(ポワ)になります、開頂とする場合もあります。
転識の指すところは、仏の境地、悟りの境地に意識を、移すことで、開頂は、
体外離脱のために頭頂を開くことを指します。
つまり、頭頂を開き、そこから意識を抜け出すといったことになる。
これだけでは実際に、どんな状態なのかピンと来ないと思うので、体験談な
どの話で紹介します。
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●ある日本人が、 チベット密教 僧に弟子入りしてたときの体験談で、そ
の修行の中で彼は、ポワの行を教えられた。
彼によれば、ポワの行は、意識を体外に出し、死の状態を理解するための
瞑想法テクニックだという。
修行の方法は、自分の頭上に『金剛総持』 『阿弥陀』をイメージして、その
胸に自身の心輪から、心滴という赤い滴を飛ばします。
口伝で教えられ、彼は寺にこもり、この行を実践しました。
◆ポワをはじめて二日目ぐらいで頭がガンガン鳴り、頭頂にしこりが出き、
痛み出した。
◆四日目に痛みは、ましになり、頭にコブが盛り上がり、血まめのようなもの
ができた。
こういった状態になれば、修行が上手くいっていると、予め伝えられていたの
で彼は安心して修行を続けた、心滴を飛ばすたびに、エネルギーが頭頂から
飛び出し、目に青い火花が散った。
◆七日目、いつものように心滴を飛ばしているとき、不思議な体験をした。
気づくと自分の体を、上から見おろしていたのである、見おろしている体は、
鮮明に見えたという。
体から離れるにしたがって、周りが暗くなるように感じ、上空に意識を向ける
と真っ赤な光に覆われていた。
このとき、不快感を感じ戻らなければいけないと思い、急いで体に戻った。
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●中国で、小周天の普及に貢献した人で、因是子(いんぜし)という人が
います。
彼の体験談ですが、因是子は諾那(ナノ)上師という方から、チベット密教
の、この開頂法を学んだが、煩雑でものにすることはできなかった。
数年後、チベットから南京に、この行を伝授していた、聖露(シェンル)上師
のことを知り、さっそく講習の申し込みをした。
◆1日目、伝授された方法は、とてもシンプルで、亥母金剛(がいもこんごう)
を観想し、咒を10万回唱える。
◆10日目、頭上に無量寿仏がいて、足を垂れているとイメージする。
次に、頭頂から会陰にかけて、管か通っていて外は藍色、内部は赤とイメ
ージする、丹田に光の玉をイメージして、この光の玉が、管を通って頭頂を
突き抜け無量寿仏の中心へと導き、そこから元の場所である丹田に戻す。
これを何度も繰り返す、気合を入れながら行うので、かなりハードらしい。
◆11日目、赤い光が見え、同時に頭に錐で開けられるような痛感が現れる、
頭の中に玉のようなものを感じ、それが外に出ようとガンガンと叩いている
ようになる。
◆12日目、頭が割れるような感じで、破裂しそうな感じになる。
◆14日目、光の玉を丹田から、管に通す方法がスムーズにできるように
なり、頭の痛感がましになる、通路がしっかりと通ったようだ。
今までイメージだったのが、頭が割れることにで、本当に中脈が通った
ようだ。
以下、省略
このあと、因是子はこれを続け、意識が体から抜け出る体験をしている。
これが因是子の転識成就の体験談です。
2つの体験談で、観想する仏や管のイメージは違いますが、流派が多く分
かれているためで、得られる効果は同じです。
【仙道では、真気がスムーズに通るようにする段階で、 『 頭頂開 』 と
いいます。】
転識の実践方法
①背筋を伸ばし座り、密部(丹田)に月があり、その中に赤色の (lam) 字
をイメージし、意識を集中する。
②頭の上に、白色の塊がありそれが液体へと変化液体が頭頂から流
れ込んで体の隅々まで行きわたる。
③ 字が光を放ち、全身の毛穴から出て、光が体の周囲を包み込む。
④やがて密部の 字が小さくなり、米粒のように小さくなり、キラキラと
⑤息を鼻から強く吐き、この明点が中脈を通り、一瞬で頭頂から飛び出し空
中にとどまると、イメージする。
⑥息を鼻から吸い、頭頂から中脈を通って、明点を密部に戻す。
①~⑥を数回繰り返す。
転識(ポワ)の行が出来るようになると、肉体にある状態が出現します。
本当にこれが出来ると、頭頂のところにコブのようなものができ、血や黄色い
液体が出てくる。
チベット密教 では、これが本当に出来たか確認するため、頭頂に吉祥草
を入れて、こらがスルスルと吸い込まれたら成功とします
実際に穴が開いているわけではないのに、ある種の超常現象が起こるらし
いです
※この成就の儀式を動画で見ましたが、師が成就者の頭に乾燥した
草(吉祥草)を、ブッ刺しているだけで、本当にスルスル吸い込まれ
るといったことではありませんでした
コブも非常に小さいもので、師が中々、見つけることができず、目を細めてや
っと探すことが出来るぐらいです。
乾燥した吉祥草の茎は、針のように細いので少し力を入れれば、たぶん刺さ
ります
刺さったままの、成就者は嬉しそうにしていましたが、刺さった吉祥草をヒラヒ
ラさせている姿はちっと可愛いです
気になる人は、YouTubeの検索で『臨終に役立つポワ瞑想』で検索してみて
下さい、ヒットします
すずなみ流 、転識(ポワ)体験。
私は 小周天 で頭頂まで陽気が回っているため、因是子がいう体験談の錐
が刺さる痛感や割れる感覚、そして破裂するような感覚に、割と簡単になりま
した。
かなり鋭い感覚です、知らない人が、この症状を経験したら、相当怖いとおも
います
痛みもハンパないですが、本当の痛みと違って不快感はなく、のたうち回る感
じの痛みとは別物です。(頭全体がパンパンで痛感があり、スースーした感覚
です)
瞑想を止めても、この感覚は消えませんでしたが、一晩寝れば治りました。
※治らない場合は、 ●チベットの密教実践秘法【第4章】 の 月液 を流し込
むイメージを使いましょう
コブは、できもののようなもので、確かに黄色い、かさぶたが何回か出来ました。
たぶん、痛感の感覚により、体が強く思い込んで、黄色い液のようなものが出
てきたのだと思います、催眠術で火がついていないタバコを押し付けられてい
るのに、アザができるといったアレと同じでしょう。
個人的には、チベット密教のイメージ法は使いません、ナイフや錐をイメージ
して、それが頭上にあるといったイメージをします(重量があるものがいいです)
本物の刃物を手に取って、この緊張感をだしたほうがリアルになります。
(非常に危険ですので、自己責任でお願います )
こうすることにより、ナイフの先端が落下するであろう(もちろんイメージです)
場所に強い緊張感が生まれ、数時間も瞑想すれば本当に痛感が発生します、
これで発生しない場合は、先に紹介したイメージ法なんかも使ったりします。
ナイフの前は、つららが頭に刺さるといった、イメージ法をおこなっていました。
それからも、数日間、何かあるたびに、ふとこの感覚が弱いながらも、甦るように
出てきます。
転識の行を止めれば、数日でこの痛感はなくなり、数週間もすれば、この状態
はなくなります。
しかし、一度開いたら完全に閉じるわけではなく、また 転識 の方法で瞑想すれ
ば、わりと簡単に開きます。
ある日の夜、ボーッとイカ釣りをしていると鋭い痛感が頭にあり、なぜかな?
と思っていると、その日は満月でした、月の引力ではなく、月の光がその状態を
引き出しているように、そのときは感じました
ちなみに、すずなみ流ですが、仙道の小周天からきており、陽気という気を意
識で頭頂に移動させ、温養という集中をします。ポワのような体外離脱の経験
は、この段階ではしません。
転識の行と同じで、頭が割れますが(頭頂開)、ポワの場合はこれだけではなく
イメージ法で、心滴という赤い滴を飛ばします。
または、空中に仏を観想し、その仏に滴を飛ばすといったことをします。
つまり、頭頂を開くだけではなく、同時に意識を外に飛ばす、といったイ
メージを行うことにより、体外離脱すると思われます。
転識の行として行いたい人は、頭頂を開いて、これが出来るようになれ
ば、意識を天井に飛ばすといったトレーニングをすればいいと思います。
●チベット密教の実践秘法 の紹介は、この章で終わりです。