●チベット密教の実践秘法【第3章】
【内火チャンダリニーの発生方法】
内火とは体の内部に強烈な熱、または炎を発生させること、この炎は
チャンダリニーと呼ばれる。
ヨーガでは、この灼熱の火のエネルギーのことを クンダリニー と呼ぶ
そして内火の行とは、
チャンダリニーの炎を利用して三脈七輪(三脈七輪とは、3つの脈と7つ
のチャクラのこと)をコントロールしていく行法です。
チベット語では、内火を gtum-mo(トゥンモ) といい、
gtumは 猛烈、暴
mo は 母
つまり「猛々しい母」といった意味になる。
サンスクリット(梵語)では内火のことをKundaliniといい、チャンダリ
ニーとはその音訳になる。
この訳から、この炎のエネルギーは強烈な感覚伴うものだと推測される。
漢訳でも「軍荼利」(ぐんだり)と、ときに訳す、日本の密教でも軍荼利
明王が見受けられ、内火に関係していると考えられる。
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1、坐法
修行の際の座り方ですが、いくつかの種類があり、よく用いる坐法が、
七支坐法で別名、毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)で大日如来のことです。
大日如来の姿をイメージした座り方で、結跏趺坐のことです。
仙道やヨーガでも使われる座り方で、足がしっかり組まれて、背筋がまっす
ぐになります。
慣れない人には、きつい方法なので簡略化された、半跏趺坐でもいい。
人によっては、こういった座り方が難しので、椅子に座って行う、座り方に
は種類があるが、最も自分に適した方法で座ること、大事なのは背筋をまっ
すぐ伸ばし、チャンダリニーを通すことなので、それを忘れないようにして
ください。
手は『弥陀印』という手の形をとるが、これも自分の最もリラックスする方
法にする。
舌は上顎につけ、目は半眼にし、視線は鼻の頭に向ける。
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2、呼吸法
内火の行には、色々な呼吸法がありますが、代表的な2つが
『宝瓶気法(ほうびんきほう)』
『三三九風箱式呼吸法(さんさんくふうそうしきこきゅうほう)』
です。
『宝瓶気法』の方法
まず、下腹から絞り出すように三度ほど体の中の、古い息を吐く、これは最初だ
けでいい。
吐ききったら鼻から息を吸う、その吸った息を気のエネルギーとイメージし、そ
のまま丹田に下していき丹田から逃げないように圧力をかけるようイメージし、
この圧力を最下部からもグーッと圧縮するイメージをする。
次に息を止め、この圧縮した気に意識をかけ、止めるのに耐えられなくなったら
ゆっくりと鼻から息を吐いていく、これを繰り返す。
『三三九風箱式呼吸法』の方法は
『宝瓶気法』とは違い強い呼吸法で、より早く内火が発生しやすい。
初めに、左の鼻の穴を、薬指でふさぎ、右の鼻の穴から息を吸う、息が肺にいっぱい
になったら、そのまま息を止めてる。
我慢できなくなったら、吸うときとは逆に、右の鼻の穴を指でふさぎ、左の鼻の穴
から息を吐く。
『三三九風箱式呼吸法』には軽式と、重式があり呼吸の方法は同じですが、重式の
法が軽式より、強くダイナミックに行う、そのため重式のほうが、比較的に内火が
早く発生する。
3、三脈七輪 (3つの脈と7つのチャクラのこと)
三脈七輪の正確な位置や形が、あやふやだと内火の発生は厳しい。
三脈 3つの脈の場所
中脈=頭頂と会陰を、まっすぐに結ぶ脈
右脈=中脈のまわりを取り囲む脈
左脈=中脈のまわりを取り囲む脈
七輪 7つのチャクラの場所
海底輪 =会陰
生殖輪 =生殖器
臍輪(せいりん) =臍
心輪(しんりん) =心臓
喉輪(こうりん) =喉
眉間輪(みけんりん)=両眉の間
頂輪(ちょうりん) =頭頂部
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4、内火の発生
内火の行の段階
内火の発生段階上昇段階月液への変化段階月液降下段階
内火の発生段階
①まず、密部(丹田)に (ca) の文字をイメージする、字の太さは毛髪ぐらい、大きさ
は小指の爪より小さく、色は赤色。
②(ca) 字は小刻みに振動していて縄で地面を叩くような激しい音を発していて、熱を
発しているとイメージをする。
③頂輪の蓮の中に (hum) を思い浮かべ、甘露の水が滴っているとイメージする、色
は白。
④息を吸い込むと同時に、頂輪からエネルギーが、右脈と左脈を通って中脈の下部に
集める。
これが、どんどん集まると膨張し、丹田に接触して (hum) の字が、赤色に変化する。
⑥鼻から息を吐く、このとき吐く息は、中脈から藍色のエネルギーとして鼻を通じて外へ
排出されるとイメージする。
⑦息を吸い、エネルギーを密部に送り込むと (ca) の字が、このエネルギーを受け
灼熱の火炎を発し、鉄が焼けるように赤く輝くと想像する。
やがて、この火炎は旋転をはじめる。
上昇段階
①息を吸うごとに、火炎は1cmずつ大きくなり、およそ8息の呼吸で臍輪までの大きさ
になる(呼吸の回数は8回ではなく、だいたいの目安で)
②10息呼吸を行うことにより、火炎は臍輪から、3つの脈に行きわたる。
③さらに、10息呼吸を行うことにより、火は足の末端まで行きわたる。
④さらに、10息で、火は上に向かい心輪に達し、上半身を熱で満たす。
⑤さらに、10息で、喉輪まで達す。
⑥さらに、10息ののち、炎は頂輪に達すると同時に、深い瞑想状態に入る。
以上、内火の発生段階上昇段階 を簡略的に、紹介していますが、
チベット密教のイメージ法の大変さを理解できたと思います。
こういったイメージ法の、全てを忠実に行う必要は、ないと個人的には思います。
イメージ法や呼吸の回数に振り回され、本来の目的である内火の発生事体が、
おろそかなってしまい、いつまでたっても先に進まなくなってしまいます。
自分で気に入った方法、やりやすいイメージ法をピックアップして日々の瞑想に取り
入れていくほうが効率的す。
かつてのチベット密教の師たちのように、伝統に縛られることなく進めていきましょう
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次回は、
【月液への変化段階、月液降下段階】