USB PD トリガーケーブルの安価品が出た | 風変わりなPC物語 -スズメさんち-

USB PD トリガーケーブルの安価品が出た

今回は、あきばお~でもPDトリガーケーブルが、それも安価に登場した、という話です。

そのついでにUSB PDについて、一応書いておこうと思います。

 

 

○USB PDとは
既に拙作ブログでも、何度か登場はしている「USB PD(Power Delivery)」。

ただ、あまりちゃんと触れてこなかったと思いますので、簡単ながら概要をば。

スマホやモバイルPCなど、PDに対応するデバイスでは
供給電圧を5Vより高くして、より大電力を受電できるようになります。
USBの仕様として規定されており、
基本的には充電器(=ACアダプター)のメーカーを問わずに利用できます。
TypeCコネクタでのみ適用されます。

似たようなものに、QualcommのQuick Charge(QC)があり、
電気的には似たような動きをするのですが、
その設定方法などについてはQC3.0まではUSBとは非互換の機能であり、
USB PDとはまったく異なりますのでご注意ください。


○動作のやり取りイメージ
USB PDの基本動作を、もう少し具体的なイメージを書きますと...

前提として、USBホスト(この場合はUSB充電器)は、

デバイス未接続時は必ず5Vを出力しています。
接続した瞬間も、まずは5Vがデバイスに供給されます。

USBはデバイスが接続された際、
エニュメレーションとネゴシエーションというやり取りを
ホスト(USB充電器)とデバイスとの間で行います。


うち、充電器はネゴシエーションの中で
PDで対応できる出力電圧/電流の組み合わせをデバイス側に伝えてきます。

写真のACアダプタはNECのPCに付属してきたPD 45W対応のもの
(製造元は「台達電子工業」の記載の通り、デルタ電子)。


OUTPUT(輸出)の項目には


20VDC 2.25A、15VDC 3A、9VDC 2A、5VDC 2Aと記載されています。

※上実線、下破線の記号はDCを示すものです。

 

この情報を「PDO」と呼びます。
充電器からデバイス側に、PDOをネゴシエーションの中で伝えます。
(PDOというメニューを見せる感じ)

デバイス側は「では、20VDC 2.25Aを使います」と返事します。
(メニューから「これで」と選ぶ感じ)

こうして充電器の出力電圧が20Vに設定されるようになります。


なお、従来のUSB PD3.0の範囲では、
出力電圧は5Vのほかに9V、15V、20Vが規定されております。

※+12VはPD3.0では仕様に含まれなくなりましたが、

 PD2.0では+12Vが規定されていたこともあって+12Vに対応するものもあります。
USB PD3.1以降、28V、36V、48V(最高240W)の規定も追加されました。

加えて最近のUSB PDでは20mV、50mAごとに細かく設定を決められる
Programmable Power Supply (PPS)という規定も出てきました。


○USB PDトリガーケーブル
この電圧ネゴシエーションは、ホストとデバイスの間で行うわけですが、
何とケーブルやアダプタにUSB通信ができるICを内蔵して
強制的に希望する電圧を出力させるケーブル/アダプターがあります。
(つまりケーブル自らがデバイスとして「20VDC 2.25Aを使います」と返事を出している)

この類を通称「PDトリガーケーブル/アダプター」と呼ぶことが多く、
当方もPDトリガーケーブルなどと呼んでいます。


秋葉原でいえば2~3年前あたりから、千石電商やオヤイデ電気、Shigezoneあたりで
こういったデバイスを見かけるようになった印象です。

デバイス例でいえば、電圧固定でよければ一例として
USB PDトリガー 自作用コネクタ
(オヤイデ電気、440円、別途要ケーブル、要はんだ付け)などがあります。

簡単に電圧可変もしたい向きですと、個人的には
PDSink』(Shigezone、550円、別途要ケーブル、はんだ付け不要)が便利。
ディップスイッチで出力したい電圧設定をいじれば、
USB充電器が対応する電圧であれば、その電圧を出力してくれます。



これらPDトリガーアイテムがあれば、それぞれの電圧に合わせたACアダプターを用意せずとも
USB PD充電器が希望の電圧(対応していれば5、9、12、15、20Vの各電圧)を出せるというわけです。

 

実際に、上記ACアダプターと『PDSink』を使ってみると...

・5V

・9V

・15V

・20V

...という感じで、簡単に電圧を変えられるようになります。

 

以前紹介した昇圧アイテムは、あくまでも5V出力を受けて、

これをDCDC昇圧コンバータで12V等にアップする形ですので

二重のコンバータが挟まれる格好(=変換ロスが大きい)ですが、

USB PDはいきなり希望する電圧を取り出せるため一般的に高効率であるメリットがあります。

 

中にはPPS向けにもっと細かな電圧を設定させるアイテムもあります。

 

 

○あきばお~でもトリガーアダプタ/ケーブル

この週末あたりからか、あきばお~が、オリジナルブランドで
PDトリガーケーブル/アダプターを取り扱いしだしたようです。

※あきばお~の店内は撮影禁止なので写真なし... Web通販で発見できず...

 やむを得ずエルミタージュ秋葉原の記事のリンクを張らせていただきます...

 

ケーブルでいえば、利用の多いφ5.5/2.1mmやφ4.0/1.7mmといったDCプラグ仕様で

5、9、12、15、20Vの各電圧対応のラインナップがあるようです。

それらがいずれも初出時350円※。

※8月9日現在、500円に値上げされております(キャンペーン価格だった?)。

 これでも比較的安価とはいえ、ごく短期間での値上げは正直に申し上げて期待外れですね...

 

12V出力ができるUSB充電器+12Vのトリガーケーブルがあれば

PC用のファンを回すのも非常に簡単になりますね。



○注意

一言でいえば、この手のアイテムは自己責任です。

 

内容を理解すれば、非常に便利なアイテムなのは間違いありませんが、ついケーブルを取り違えて

誤った電圧(特に過電圧)を別のアイテムに供給するミスを起こしやすいアイテムでもあります。

20Vのトリガーが有効な状態で一般的なスマホを接続してしまうと、最悪発火する恐れもあるでしょう。

使うユーザーが確実に運用するよう気を付けなければなりません。

 

3A~5Aクラスになると、接触抵抗の影響も大きくなります。

プラグ周辺の異常な発熱がないかなども要注意といえるでしょう。

 

またこの手のアイテムは電圧合わせができるというレベルのものです。

元々専用のACアダプターの垂下特性を用いる前提で、

給電/充電中の事故の際に保護するような設計思想の製品があったりすると、

この手のアイテムでの代用はお手上げです。

利用される各自の責任において、充分に評価・注意をされることをおすすめいたします。

 

...つまり、こういったリスクを検討出来得る方向けの、実はかなり玄人向きなアイテムといえます。
少なくとも電圧/電流が想定通りか、目で確認できるアイテムを用意することを

強くおすすめいたします。

 

 

そして「USB充電器が対応する電圧であれば」という点を忘れてはいけません。
上記NECのACアダプターは、12Vの出力項目はありません。
これ、つまり12Vは出力できない、ということになります。
事実、12V指示のPDトリガーを接続しても、12Vは出力されませんでした。


(上記『PDSink』を用いた場合だと9Vが出力されましたが、
 これはどのようなネゴシエーションをしているかアイテムごとに違う可能性があるため
 一概にこの結果になる...というわけではないと思われます)


目的の電圧が出力できるか、必ず充電器の出力欄を確認することが大事です。