ロシア軍のオートバイ大集団が肉弾突撃 | すずくるのお国のまもり

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◎ロシア軍のオートバイ大集団が肉弾突撃、19台爆破され血の海に

 

 

 ロシア軍はウクライナで装甲車両を大量に失っており、その数はウクライナ国防省の発表に従えば戦車以外の装甲戦闘車両だけで1万6000両近くにのぼる。その補充に苦労しているロシア軍はこの春、窮余の一策として突撃部隊に安価なオフロードバイクを配備し始めた。
 ロシアがウクライナで拡大して2年4カ月あまりたつ戦争のおよそ1000kmにおよぶ戦線で、ウクライナ側は小型の自爆ドローン(無人機)を1日に何千機と投入している。ロシア軍の思いついたアイデアは、兵士をオートバイですばやく移動させれば、自爆ドローンの攻撃を浴びる前に目的地点までたどり着けるのではないか、というものだった。
 この戦術は功を奏することもある。ロシア軍は、5月9日にウクライナ北東部で始めた新たな攻勢では国境から数kmの小都市ボウチャンシクですぐに失速することになったが、この間、ほかのいくつかの正面では数km前進を遂げている。現在、ウクライナに展開しているロシア軍の兵力は50万人近くにのぼる。
 しかし、たいていの場合、オートバイによる突撃はうまくいかない。これは、第一次大戦中や戦間期に突撃バイクを試験した欧州各国の軍隊にとっては驚くような結果ではないだろう。
 オードバイ突撃はそれどころか、ロシア兵の血の海になることもある。6月28日、数十台規模とみられる突撃バイクの大集団が、ウクライナ東部ドネツク州南部の小都市ブフレダルでウクライナ軍の第72独立機械化旅団を攻撃した。
 ロシアの戦争特派員アレクサンドル・スラドコフによれば、作戦の目的は、ウクライナ側の陣地の背後に回り込み、孤立化させることだった。攻撃前にスラドコフは「ウクライナ側に背後から、より正確に言えば後方から打撃を加えることが計画されている」と報告していた。
 だが、それは実現しなかった。オートバイのほか、T-80戦車を含む装甲車両からなるロシア軍の車列をウクライナ側はドローンなどで攻撃した。ミサイルや大砲も使われたもようだ。地雷も破壊に一役買ったのかもしれない。
 煙が晴れると、残されていたのは残骸と死体の山だった。第72旅団は、ロシア側の戦車16両、それ以外の戦闘車両34両、オートバイ19台などを撃破し、人員800人あまりを死傷させたと主張している。
 ウクライナの戦場記者ユーリー・ブトゥソウは、ロシア軍の指揮官は「生身の兵士をウクライナの死のコンバインに意図的に放り込んでいる。生き延びられる見込みはない」と伝えている。
 OSINT(オープンソース・インテリジェンス)アナリストのアンドルー・パーペチュアは1日、オートバイ25台の撃破・損傷を確認した。