韓国政府、ウクライナ武器支援再検討へ | すずくるのお国のまもり

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お国の周りでは陸や海や空のみならず、宇宙やサイバー空間で軍事的動きが繰り広げられています。私たちが平和で豊かな暮らしを送るために政治や経済を知るのと同じように「軍事」について理解を深めることは大切なことです。ブログではそんな「軍事」の動きを追跡します。

◎韓国政府がロ朝の軍事協力強化非難 ウクライナ武器支援再検討へ

 

 

【ソウル聯合ニュース】韓国大統領室の張虎鎮(チャン・ホジン)国家安保室長は20日、北朝鮮とロシアが「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名し、軍事・経済協力強化を図ることに対し深刻な憂慮を表明し糾弾する政府声明を発表した。
 政府声明は国家安全保障会議(NSC)常任委員会の後に発表された。
 韓国政府は「朝鮮戦争やウクライナ戦争など、先に侵略戦争を起こした前歴のある双方が起きもしない国際社会の先制攻撃を想定して軍事協力を約束するのは、国際社会の責任と規範を破っfffた当事者の詭弁(きべん)であり、理屈にあっていない」と批判した。
 また「政府は北の軍事力増強に直接的・間接的に役立つあらゆる協力が国連安保理決議違反であり、国際社会の監視と制裁の対象であることを明確に強調する」とし、「特に国連安保理常任理事国として北への制裁決議を主導したロシアが自ら決議を破って北を支援し、韓国の安保に危害を加えていることは韓ロ関係にも否定的影響を及ぼす」と警告した。
 そのうえで「政府はわが国の安保を脅かすいかなる行為に対しても国際社会とともに断固として対処していく」とし、「北の核とミサイルを無力化するための韓米同盟の拡張抑止力と韓米日の安保協力体制をさらに強化していく」と表明した。
 張氏は「ロシアと北の武器輸送と油類の積み替えに関与したロシアと北側はもちろん、第三国の船舶4隻と5機関、個人8人を独自制裁の対象に指定した」と明らかにした。
 また「ウクライナ戦争後に実施しているロシアに対する輸出統制と関連して、243の品目を新たに追加指定し、1402品目を制裁対象にする」と説明した。
 また、韓国政府はこれまでウクライナに対して殺傷兵器の供給などの支援は行わないとの立場を堅持してきたが、これを再検討する方針であることを明らかにした。

 

◎韓国「ウクライナ武器支援のさまざまなオプション、ロシア徐々に知れば興味深いだろう」

 

 

 韓国政府が20日、北朝鮮とロシアの「朝ロ包括的戦略パートナー関係に関する条約」を糾弾する声明を発表した。ロシアに対する追加独自制裁とあわせて、ウクライナに殺傷武器を支援する方案も検討すると明らかにした。韓半島(朝鮮半島)の安全保障状況や韓ロ関係を考慮してウクライナに非殺傷武器に限って支援してきた韓国政府の方針変化の可能性を示唆したものだ。
 張虎鎭(チャン・ホジン)国家安全保障室長はこの日、国家安全保障会議(NSC)常任委員会を主宰した後、大統領室ブリーフィングルームで政府の声明を発表した。韓国政府は声明で、朝ロ条約について「厳重な懸念を表してこれを糾弾する」と明らかにし、「韓国戦争(朝鮮戦争)やウクライナ戦争など、先に侵略戦争を起こした前歴がある双方が起きることもない国際社会の先制攻撃を仮定して軍事協力を約束するということは、国際社会の責任と規範を破った当事者の詭弁であり、理屈に合わない話」とより強力に批判した。続いて「国連安保理常任理事国として、北朝鮮に対する制裁決議案を主導したロシアが自ら決議案を破って北朝鮮を支援することにより、韓国の安全保障に危害を加えたことは韓ロ関係にも否定的な影響を及ぼさざるを得ない」と警告した。あわせて「我々の安全保障を脅かすいかなる行為に対しても、国際社会とともに断固として対処していく考えで、北朝鮮の核とミサイルを無力化するための韓米同盟の拡大抑止力と韓米日安全保障協力体系をより一層強化していく」と強調した。
 大統領室高位関係者は、政府声明に伴う追加措置として、ウクライナに対する非殺傷武器支援原則を再検討し、ロシアに対する独自制裁を追加すると明らかにした。「武器支援再検討はどんな意味か」という質問には「これまでウクライナに対しては殺傷武器を支援しないという方針だったが、その方針を再検討するということ」としながら「武器支援にはさまざまなオプションがあり、殺傷や非殺傷により分類を別にできる方法もある。どのようにするかはロシア側も徐々に知れば興味深いだろう」と話した。
 この関係者は「ロシアが最も痛いと感じる部分を検討していく」ともした。ロシアに対する独自制裁に関しては「ロシアと北朝鮮の間の武器輸送と油類瀬取りに関与したロシア機関2カ所と北朝鮮ミサイル総局、第三国の船舶4隻と機関5カ所、北朝鮮人8人を独自制裁対象に追加指定した」とし「ロシアに対する輸出統制に関連し、合成樹脂分野などで243品目を新規に指定して1402品目を制裁対象にする」と明らかにした。この関係者は「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に報告が済んだ事案」と話した。
 韓国政府のこのような強硬対応は、朝ロ条約が政府の設定したレッドラインに近づいたという判断のためとみられる。この日の政府声明発表で、南北と韓ロ関係が新冷戦に近いニューノーマルに突入したという評価が出ている。前職安保当局高位関係者は「韓国がウクライナに殺傷武器を支援し、ウクライナがこれをロシアに使う場合、また北朝鮮急変事態時に韓国が北朝鮮に入る場合、これを侵略と規定して朝ロ条約が発動される余地がある」とし「朝ロ首脳会談の結果を深刻な安保脅威と受け止めて綿密に対応しなければならない」と話した。同時に朝ロ密着などを警戒する中国を引き寄せる方案を模索する必要があるという注文も同時に出ている。

 

◎「核傘同盟」も視野に入れた朝ロ…韓国、ウクライナ武器支援検討

 

 

 北朝鮮とロシアの包括的戦略パートナー関係条約に対して韓国政府がウクライナ武器支援カードを取り出した。大統領室の張虎鎭(チャン・ホジン)国家安全保障室長は20日、国家安全保障会議(NSC)常任委員会を主宰した後、記者会見を通じて「北朝鮮とロシアの包括的な戦略的パートナー関係に関する条約を締結して相互軍事・経済的協力を強化することにしたことに対して厳重な憂慮を表し、これを糾弾する」とし「ウクライナに対する武器支援問題は再検討する予定」と警告した。
 これまで韓国政府はウクライナに対する殺傷武器の支援はしないという立場を堅持してきた。
 朝ロが事実上軍事同盟水準の協力強化に出たことを受けて、韓国政府はこれまでロシアとの関係を意識して敬遠してきたウクライナに対する殺傷武器支援の可能性を提起したのだ。
 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とロシアのプーチン大統領が19日に締結した「朝ロ包括的戦略パートナー関係に関する条約」は「一方が戦争状態に処する場合、直ちに軍事的援助を提供する」と宣言した。新条約は「保有したすべての手段で」とも明示しており、韓半島有事時にロシアがその気にさえなれば核武力の使用まで含めて軍事的に介入することも可能になった。同時に北朝鮮がウクライナ戦争局面でロシアに砲弾・ミサイルを全面的に支援する根拠ともみなすことができるようになった。
 北朝鮮が20日に公開した条約全文によると、条約第4条は「双方のうちどちらか一方が個別的な国または複数の国から武力侵攻を受けて戦争状態に処することになった場合、他方は国連憲章第51条と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)とロシア連邦の法に準じて直ちに自身が保有しているすべての手段で軍事的およびその他援助を提供する」とした。
◇プーチン大統領に韓半島有事時の自動軍事介入「選択権」
 これは1961年「朝ソ(ソ連)友好協力および相互援助に関する条約」(朝ソ相互防衛条約)第1条の「自動軍事介入」条項が相当部分復元されたとみることができる。朝ソ条約は「締約一方がいかなる国家または国家連合から武力侵攻に受けることによって戦争状態に処することになった場合に、締約相手方は直ちに自身が保有するあらゆる手段で、軍事的およびその他援助を提供する」としていた。
 金委員長としては自分の手には不法に開発した核兵器を握ったまま、プーチン大統領が提供する合法的な核の傘を使って韓米同盟の拡張抑制強化に対抗する絵を描くこともできる。米CNN放送は「今回の条約によりロシアの核抑止力が北朝鮮まで拡張される可能性がある」と報じた。
 梨花(イファ)女子大北朝鮮学科の朴元坤(パク・ウォンゴン)教授は「金正恩が韓国に対する領土占領まで指示した状況で朝ロがこのような条約を結んだことは、ロシアが韓国を敵性国として見るという意味にも解釈することができる」とし「北朝鮮が核を発射すれば米国が拡張抑制報復を行い、再び今回の条約第4条の発動により、ロシアが核で報復することが可能になるという意味で、朝ロがレッドラインを深刻に越えた」と指摘した。
 ただし、該当条項には朝ソ条約とは違って「国連憲章と朝ロの国内法に準じて」という但し書きがついた。明示的には自動介入の義務を負うことは避ける余地を残している。統一研究院のヒョン・スンス研究委員は「このような『ブレーキ条項』を根拠に、ロシアは都合によって今回の条約が『軍事同盟ではない』というふうに主張することができる」としながら「不良国家である北朝鮮とロシアが条約を履行するためにどのような実践的な行動を取っていくのかが重要で、韓米日をはじめとする周辺国家がこれをどのように遮断するかがカギ」と話した。
 新条約は第8条で「防衛能力を強化する目的の下で共同措置を取るための制度を用意する」としている部分も目を引く。事実上、軍事協力を制度化するという意味に取ることもできるためだ。1960年代米ソ間の体制競争が激化した時期、北朝鮮の金日成(キム・イルソン)とソ連のニキータ・フルシチョフ共産党書記長の戦略的提携により結ばれた朝ソ同盟を金委員長とプーチン大統領が数十年ぶりに復活させたという評価も出ている。7月、米ワシントンDCで開催されるNATO(北大西洋条約機構)首脳会議で朝ロの軍事的協力に対する共同対応方案が議論されるものとみられる。

 

◎韓国「ウクライナ支援リストを考慮」…プーチン大統領の「悪い行動」防ぐカード

 


 ロシアの韓半島(朝鮮半島)軍事介入の可能性を開いておいた朝ロの新しい軍事援助条約(包括的な戦略的パートナーシップ条約)に対応し、韓国政府が「ウクライナに殺傷武器を支援しないという原則を再考することもある」と暗示すると、ロシアは直ちに反発した。
 ロシアメディアのインタファクス通信などによると、プーチン大統領は20日(現地時間)、ベトナム訪問後の記者会見で「韓国がウクライナに殺傷武器を供給することは非常に大きな失敗になるだろう」と述べた。続いて「北朝鮮と結んだ条約は62年(※実際には1961年7月)に結んだ以前の条約と比較して新しいものは何もなく、ほとんど同じ内容」とし「相互軍事支援の要件として侵略状態が明示されていて、韓国は北朝鮮を侵攻する計画はないと把握している」と話した。
 これは「双方のうちどちらか一方が武力侵攻を受けて戦争状態になれば国内法などに準じて遅滞なく保有するすべての手段で軍事援助を提供する」と規定した朝ロ条約第4条で「武力侵攻を受けた状態」という条件を強調するものだ。
 もちろん「有事自動軍事介入」条項を入れた61年の条約は朝ソ相互防衛条約だったという点で、この日のプーチン大統領の発言は19日の朝ロ条約が冷戦時代の朝ロ軍事同盟を復活させたことを認めたとも見ることができる。
 ただ、プーチン大統領が直接釈明をした点については韓ロ関係を管理しようという意志があるものと、政府は受け止めている。「武器支援検討」カードを最大限に活用してロシアの「悪い行動」を防ぐのが目的であるだけに、政府はひとまず状況を見守りながら対応の程度を決めていくという立場という。ロシアに警告メッセージを発信しながら尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が前に出てこないのも状況を管理する空間を残したと解釈される。朝ロを狙った首脳級のメッセージ発信も今後一つのカードになるという理由でだ。
 プーチン大統領の即刻反応は、韓国政府が「武器支援方針再検討カード」をちらつかせるだけでも効果が大きいということを傍証する。ウクライナ戦争で勝機をつかむために「隠遁の国」北朝鮮にまで手を差し出すロシアとしては、世界10大防衛産業輸出国である韓国のウクライナ殺傷武器支援はそれだけ敏感な問題になる可能性があるからだ。
 大統領室の関係者が20日、支援可能な具体的な武器について「ロシア側が分かるようにしていく」と述べたのも、こうした敏感性を「レバレッジ」として活用するための布石とみられる。「韓国もウクライナへの武器支援が可能であり、リストも組んでいる」という信号を見せるが、実際に実行するかどうかはあいまいな領域に残しておくということだ。
 政府が「武器支援カード」を段階的に活用する可能性が高いと考えられるのもこのためだ。ロシアが北朝鮮に核・ミサイル関連の核心技術を移転するなど「レッドライン」を越えると判断されれば、韓国の支援可能武器リスト公開→防御用武器支援→攻撃用武器支援と対応の程度を高めていくことができるからだ。
 国内の専門家らは現在の状況で現実的に支援可能な武器にドローン迎撃用ジャマー(周波数撹乱装置)のような撹乱武器、ウクライナ領空防御のための20ミリバルカン砲、30ミリ機関砲など対空砲火や旧型パトリオット(PAC-2)を挙げている。象徴的なレベルでこれら武器をいくつか支援する案が考えられるが、この場合にも「有償支援」か「無償支援」かによって重量感が変わる。
 米国とウクライナの政府当局者はその間、韓国に155ミリ砲弾やパトリオットの支援を希望するという意思を何度か伝えてきた。ウクライナのクレバ外相が4月の北大西洋条約機構(NATO)外相会議で「この場を借りて韓国政府にパトリオットを提供する方法を考えてほしいと要請する」と明らかにしたのが代表的な例だ。しかし政府は「非殺傷武器だけを支援する」という原則を守った。このため今までは後方地域で障害物を除去するK-600工兵車だけを支援した。
 ある政府筋は「まだ具体的な武器の種類に言及する段階ではないとみる」としながらも「わが軍の対応態勢に影響を与えず、防衛産業の輸出物量まで考慮する場合、最新迎撃ないし打撃武器は次の順位になるだろう」と話した。
 朝ロが「黙過できないレベル」の軍事的協力または行動を敢行する場合、韓国政府は攻撃用武器支援も排除しないという立場だ。朝ロは条約4条の軍事支援条項で「すべての手段」を活用できると規定したが、ロシアの意志によっては核武力支援もここに含まれる可能性があるからだ。プーチン大統領は20日の記者会見でロシアの「核ドクトリン(使用教理)」を変える案を検討中と伝えながら「核兵器使用ハードルを下げることに関連した新しい要素が登場している」とし「超低戦力爆発性核装置」を例に挙げた。
 この場合▼155ミリ砲弾など戦闘用武器支援▼ロシア本土を脅かす水準の中短距離ミサイルなど戦術武器支援▼ロシア本土まで打撃圏に入る中長距離ミサイルなど戦略武器支援などの段階に細分化できる。
 統一研究院のホン・ミン研究委員は「このうち韓国がどれほど寄与するかは米国とNATOの協議はもちろん、議会など国内世論まで考慮して決めなければいけないだろう」と述べた。
 ただ、攻撃用武器支援という場合の数は、韓ロ関係が破局に近づく「最悪状況」を迎えてこそ可能という見方が多い。ホン研究委員は「政府がロシアに警告メッセージを出すために武器支援を検討することはできるが、今のところ米国と日本、NATOなどと状況に対する認識の共有に基づいて共同の対応案を組むことがさらに急がれる」と話した。