朝露包括的戦略パートナーシップ条約全文 | すずくるのお国のまもり

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◎朝ロ間の包括的かつ戦略的なパートナーシップに関する条約

 

 

 【朝鮮通信=東京】20日の朝鮮中央通信によると、朝鮮民主主義人民共和国の金正恩朝鮮労働党総書記とロシアのプーチン大統領が19日に平壌で署名した包括的戦略パートナーシップ条約の全文は次の通り。
 朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦間の包括的な戦略的パートナーシップに関する条約
 朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦(以下「双方」とする)は、歴史的に形成された朝露友好と協力の伝統を保存し、未来志向的な新時代の国家間の関係を構築しようとする共同の志向と念願に発して両国人民の復興と福利を図り、
 双方の包括的な戦略的パートナシップを発展させるのが両国人民の根本利益に合致し、平和と地域および世界の安全と安定を保障することに寄与するものと確信し、
 国連憲章の目的と原則、そしてその他の公認された国際法の原則と規範に忠実であることを確認し、
 覇権主義的企図と一極世界の秩序を強要しようとする策動から国際的正義を守り、国家間の誠実な協力、相互利益の尊重、国際問題の集団的解決、文化および文明の多様性、国際関係での国際法優位に基づく多極化された国際的な体系を樹立し、共同の努力で人類の存在を脅かす任意の挑戦に対処していこうとする志向を確認し、
 同志的で友好的な二国間関係を強固にし、全ての分野での協力を拡大、強化することで、朝露関係を地域と世界の平和と繁栄を促す強固な水準に引き上げることを志向し、次のように合意した。
 第1条 双方は、自国の法と国際的義務を考慮し、国家主権に対する相互尊重と領土の不可侵、内政不干渉、平等の原則、そして国家間の友好関係および協力に関するその他の国際法的原則に基づく包括的な戦略的パートナシップを恒久的に維持し、発展させる。
 第2条 双方は、最高位級会談をはじめとする対話と協議を通じて二国間関係の問題と互いの関心事となる国際問題に対する意見を交換し、国際舞台で共同歩調と協力を強化する。
 双方は、全地球的な戦略的安定と公正で平等な新しい国際秩序の樹立を志向し、互いの緊密な意思疎通を維持して戦略的・戦術的協同を強化する。
 第3条 双方は、強固な地域的および国際的平和と安全を保障するために互いに協力する。
 双方のうち、どちらか一方に対する武力侵略行為が行われ得る直接的な脅威が生じる場合、双方は一方の要求に従って互いの立場を調整し、生じた脅威を除去することに協力を互いに提供するための可能な実践的措置を合意する目的で二国間協議ルートを速やかに稼働させる。

 第4条 双方のうち、どちらか一方が個別の国家または複数の国家から武力侵攻を受け、戦争状態になる場合、他方は国連憲章第51条と朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦の法に準じて速やかに自国が保有する全ての手段で軍事的およびその他の援助を提供する。
 第5条 各一方は、他方の自主権と安全、領土の不可侵、政治、社会、経済、文化制度を自由に選択し、発展させられる権利と他方のその他の核心利益を侵害する協定を第三国と締結せず、そのような行動に参加しない義務を負う。
 双方は、第三国が他方の自主権と安全、領土の不可侵を侵害する目的で自国の領土を利用することを許さない。
 第6条 双方は、国家主権を守って安全と安定を保障し、発展権を擁護するための平和愛好政策と措置を互いに支持し、正当で多極化された新しい世界秩序の樹立に志向されたこれらの政策を実現することに積極的に協力する。
 第7条 双方は、国際平和と安全を維持しようとする目的に発して国連とその専門機関をはじめとする国際機関の枠の中で双方の共同の利益と安全に対する直接的または間接的な挑戦になり得る世界と地域の発展問題で互いに協議し、協力する。
 双方は、相互性に基づいて各一方が当該の国際および地域機関に加盟することに協力し、支持する。
 第8条 双方は、戦争を防ぎ、地域的および国際的平和と安全を保障するための防衛能力を強化する目的の下、共同措置を取るための制度を設ける。
 第9条 双方は、食糧およびエネルギー安全、情報通信技術分野での安全、気候変動、保健医療、供給網など戦略的意義を持つ分野で増大している挑戦と脅威に共同で対処するために互いに協力する。
 第10条 双方は、貿易経済、投資、科学技術の各分野での協力の拡大、発展を促す。
 双方は、相互貿易量を増やすために努力して税関、財政金融など各分野での経済協力に有利な条件を設け、1996年11月28日に採択した朝鮮政府とロシア政府の投資奨励および相互保護に関する協定に従って相互投資を奨励し、保護する。
 双方は、朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦の特別または自由経済地帯とそのような地帯に関与した団体に協力を提供する。
 双方は、宇宙生物平和的原子力人工知能(AI)情報技術(IT)など多くの分野を含む科学技術分野で交流と協力を発展させ、共同研究を積極的に奨励する。
 第11条 双方は、総合的な二国間関係の拡大が持つ特別な重要性に発して互いの関心事となる分野での地域間および辺境協力・発展を支持する。
 双方は、朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦の地域間の直接的な連携の樹立に有利な条件を整え、企業フォーラム、討論会、展示会、商品展覧会をはじめとする地域間の共同行事を行う方法などで地域の経済および投資潜在力に関する相互理解を促進する。
 第12条 双方は、農業、教育、保健医療、スポーツ、文化、観光などの分野での交流と協力を強化し、環境保護、自然災害防止および収束の分野で互いに協力する。
 第13条 双方は、朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦間に規格と実験記録簿、合格品質証明書の相互認定、規格の直接的な適用、測定の統一性を保障する分野で得た経験と最新成果の交流、専門家の養成、実験結果認定分野での協力を発展させる。
 第14条 各一方は、自国の領土にある他方の法人と公民の合法的権利と利益を保護する。
 双方は、民事および刑事事件に対する法律上の支援を提供する問題、自由刑を言い渡された人物の引き渡しおよび移管する問題、そして犯罪的方法で獲得した資産返還分野での合意を履行する問題で協力する。
 第15条 双方は、両国の立法、執行および法保護機関の接触を深化させ、法制定および適用分野とその他の互いの関心事となる問題に関する経験と意見の交換を行う。
 第16条 双方は、治外法権的な性格を帯びる措置をはじめ一方的な強制措置の適用に反対し、それらの措置の実行を不法的で国連憲章と国際法的規範に抵触する行為と見なす。双方は、国際関係でこれらの措置の適用、実践を排除するための多国間の提案を支持するために努力を調整し、互いに協力する。
 双方は、直接または間接的に他方を狙って他方の自然人と法人、もしくは他方の司法管轄下にある彼らの所有を侵害し、一方から他方に向けた商品と作業、サービス、情報、知的活動の結果物、そしてこれに対する独占権を侵害する一方的な強制措置を適用しないことを保証する。
 双方は、直接または間接的に他方を狙って他方の自然人と法人、もしくは第三国の司法管轄下にある他方の所有を侵害し、一方から他方に向けた商品と他方の納入者が提供する作業、サービス、情報、知的活動の結果物、そしてこれに対する独占権を侵害する任意の第三国の一方的な強制措置に加勢したり、そのような措置を支持するのを控える。
 一方に反対して任意の第三国が一方的な強制措置を適用する場合、双方は危険を減少させ、これらの措置が相互経済的連携、双方の自然人と法人、もしくは双方の司法管轄下にある彼らの所有、一方から他方に向けた商品と双方の納入者が提供する作業、サービス、情報、知的活動の結果物、そしてこれに対する独占権に及ぼす直接または間接的な影響を除去したり、最小にするための実践的な努力を傾ける。双方はまた、第3国がこれらの措置を適用し、強化するのに利用できる情報の流布を制限する措置を取る。
 第17条 双方は、国際テロと過激主義、国際組織犯罪、人身売買、人質拘束、不法移住、違法資金移動、犯罪的方法で獲得した収入の合法化(マネーロンダリング)、テロ資金供与、大量破壊兵器の拡散に関する資金供与、民間航空および海上航行の安全を脅かす違法行為、商品と資金、資金手段、麻薬および向精神薬とその原料、武器、文化および歴史遺物の不法流通のような挑戦と脅威との闘いで互いに協力する。
 第18条 双方は、国際情報安全分野で互いに協力し、当該の法律規範的土台を発展させて機関間の対話を深化させる方法などで二国間協力の強化を志向する。
 双方は、総合的で法的拘束力を持つ文書を作成する方法などで国際情報安全保障体系の形成を推し進める。
 双方は、「インターネット」情報通信網の管理で国家の平等な権利を主張し、情報通信技術を主権国家の尊厳とイメージを傷付け、主権的権利の侵害に悪用することに反対し、地球規模のネットワークの国家別構成部分の調整と安全保障に関する主権的権利を拘束しようとする任意の試みを許さないものと見なす。
 双方は、情報通信技術の利用に関連する犯罪およびその他違法行為に対する警告、摘発、遮断、調査に必要な情報の交換を含めて情報通信技術を犯罪目的に利用することに反対する分野での協力を拡大する。
 双方は、国際機関とその他の協議の場の枠の中で行動を調整し、共同で提案を推し進め、デジタル発展の分野で協力し、双方の権限ある機関間の相互協同に必要な情報を交換して条件を整える。
 第19条 双方は、広報および出版活動分野で協力する。
 双方は、自国で朝鮮文学とロシア文学の普及を奨励し、ロシア連邦での朝鮮語研究と朝鮮民主主義人民共和国でのロシア語研究を促し、朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦の人民の相互理解と交際を促進する。
 第20条 双方は、両国人民の生活に対する知識水準を高め、国際言論空間で朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦、そして両国の二国間協力に関する客観的な情報を拡散し、両国のマスメディアの相互協力に有利な条件を引き続き整え、虚偽情報と挑発的な情報活動に対処する上で共同歩調を強化するためにメ言論分野での幅広い協力を促す。
 第21条 双方は、この条約の履行のための部門別協定、そしてこの条約で規定しないその他の分野と関連した協定を締結し、履行に積極的に協力する。
 第22条 この条約は、批准を受けなければならず、批准書が交換された日から効力を持つ。
 この条約が効力を発生する日から2000年2月9日に採択された「朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦間の友好、善隣および協力に関する条約」は効力を失う。
 第23条 この条約は無期限の効力を持つ。
 双方のうち、どちらか一方がこの条約の効力を中止しようとする場合、これについて他方に書面で通知しなければならない。条約の効力は他方が書面通知を受けた日から1年後に中止される。
 この条約は、2024年6月19日、平壌で締結され、朝鮮語とロシア語でおのおの2部ずつ作成され、両原文は同等の効力を持つ。
朝鮮民主主義人民共和国を代表して 金正恩
ロシア連邦を代表して ウラジーミル・プーチン(了)