仏、ウクライナにミラージュ2000戦闘機を提供へ | すずくるのお国のまもり

すずくるのお国のまもり

お国の周りでは陸や海や空のみならず、宇宙やサイバー空間で軍事的動きが繰り広げられています。私たちが平和で豊かな暮らしを送るために政治や経済を知るのと同じように「軍事」について理解を深めることは大切なことです。ブログではそんな「軍事」の動きを追跡します。

◎防空に強い仏製ミラージュ2000-5戦闘機がウクライナへ 「スホーイキラー」になるか

 

 

 フランスのエマニュエル・マクロン大統領は6日、フランス軍の余剰のミラージュ2000戦闘機をウクライナに供与すると発表した。
 発表のタイミングが、ナチ・ドイツに占領されていたフランスへの連合国軍の上陸作戦、いわゆるノルマンディー上陸作戦の80周年記念日だったのは偶然ではない。マクロンは「ウクライナが抵抗していかなければ和平の瞬間は訪れない」と言明している。
 フランスのダッソー社が手がけるミラージュの供与をめぐる交渉は、何カ月も前から進められていた。ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は今年2月、「戦闘機についてフランスと協議している」と認めていた。
 マクロンによるとウクライナに供与されるミラージュ2000は、空対空戦闘に最適化されたミラージュ2000-5というタイプだ。より古いミラージュ2000C、対地攻撃能力を強化したミラージュ2000Dではない。もっとも、基本的な形状や性能は各モデル共通だ。たとえば、水平尾翼がない代わりに三角形の主翼が機体後部まで広がった無尾翼デルタ翼、単発のエンジン、機首に搭載され、空中目標や地上目標など複数種類の目標探知に対応したマルチモード・レーダー、超音速飛行などだ。
 ミラージュ2000-5が選ばれたのは合理的だった。フランス空軍に1980年代に導入されたミラージュ2000Cは、2022年に最後の少数の運用機が退役している。フランスの当局者は昨年、これら退役したばかりのミラージュ2000Cについて「まだ少しポテンシャルがある」と述べていたが、数はわずか13機だ。他方、フランス空軍の80機かそこらのミラージュ2000Dは、継続運用に向けてアップグレードが進められている。
 ダッソーが1990年代にフランス空軍のためミラージュ2000Cを改修してつくった37機のミラージュ2000-5のうち、現役機は今後2029年にかけて順次退役する予定となっている。ダッソー製の新しいラファール戦闘機と入れ替えられるが、フランスのセバスチャン・ルコルニュ軍事相によると、ラファールの調達が前倒しで進んで入れ替えが早まる可能性もあるという。
 事務手続きを多少急げば、フランスは現在の戦争に間に合うスケジュールで、ウクライナ空軍にミラージュ2000-5を25〜30機ほど提供できるだろう。これはウクライナ空軍が1個戦闘機旅団の現有機をすべて置き換えるか、新たに1個戦闘機旅団を編成できる数だ。
 ロシアがウクライナに対する戦争を拡大した2022年2月時点で、ウクライナ空軍は攻撃機(Su-24とSu-25)や戦闘機(Su-27とMiG-29)をはじめとする作戦機を125機前後保有していた。
 以後、2年3カ月半にわたる激戦でうち80機ほどを失ったが、北マケドニアやポーランド、スロバキアといった旧ソ連衛星国から供与された機体や、長期保管していた倉庫から引っ張り出して修理した古い機体でその大半を補充している。
 ウクライナ空軍の航空戦力はさらに増強されようとしている。ベルギー、デンマーク、オランダ、ノルウェーからF-16戦闘機を合計で85機供与されることになっており、数週間後に第1陣が届く見込みだ。
 ミラージュ2000に関しては、フランスやほかの使用国、たとえばギリシャなどが、ウクライナのパイロットら人員の訓練を行う必要がある。マクロンはフランスがパイロットの訓練も提供する方針を明らかにしているが、具体的なスケジュールは示していない。供与のペースは機体の確保以上に訓練の進み具合に左右されることになるかもしれない。
 F-16供与の進捗の遅さからすると、ミラージュ2000も引き渡しまでに1年以上かかる可能性がある。とはいえ、ロシアが衝撃的な勝利を収めるか、何らかの交渉で戦争が終結するかでもしない限り、ミラージュ2000はいずれウクライナの1000kmにおよぶ戦線で戦闘に参加することになるだろう。
 ミラージュ2000-5の強みはよく知られている。フランス空軍のアンヌ・ラバディ大佐は軍用機の専門誌コンバット・エアクラフト・ジャーナルに、ミラージュ2000-5について「やや古い航空機ですが、用途を特化した航空機です。もっぱら防空任務に用いられる機体であり、搭乗するパイロットはそのスペシャリストです」と語っている。
 もしウクライナ空軍がミラージュ2000-5を現在保有していたなら、どう使っているかはありありと想像できる。毎月、3000発もの誘導滑空爆弾でウクライナの軍人や民間人を攻撃しているロシア空軍のスホーイ戦闘爆撃機に対して出撃させ、迎撃させているはずだ。

 

 

◎仏、ウクライナにミラージュ2000戦闘機を提供へ

 

 

[パリ 6日 ロイター] - フランスのマクロン大統領は6日、ウクライナにミラージュ2000戦闘機を提供する計画を明らかにした。
 第2次世界大戦のノルマンディー上陸作戦の決行日(Dデー)80周年記念行事にウクライナのゼレンスキー大統領が出席する際、正式発表するという。機数や時期については明らかにしなかった。
 また、仏がウクライナ軍兵士4500人に訓練を行うことも提案した。