第9回日中韓中3カ国首脳会議共同宣言」発表 | すずくるのお国のまもり

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◎【詳細】日中韓首脳会議終了 共同宣言を採択

 

 

 およそ4年半ぶりとなる日中韓3か国の首脳会議が27日ソウルで開かれ、先ほど終了しました。このあと3首脳はそろって共同記者発表に臨み、議長国を務める韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は3首脳が共同宣言を採択したことを明らかにし「宣言には、3か国が地域の平和と繁栄のため緊密に協力していく意思が盛り込まれた」と述べました。

目次
韓国 ユン大統領 共同記者発表での発言
岸田首相 共同記者発表での発言
日中韓3か国の首脳会議は27日ソウルで午前10時から1時間余り開かれました。
日韓関係の冷え込みや新型コロナウイルスなどの影響で2019年12月以来開かれておらず、およそ4年半ぶりの開催となります。
会議のあと、3首脳はそろって共同記者発表に臨みました。
〇韓国 ユン大統領 共同記者発表での発言 
 ユン大統領は「3か国の協力の基盤は相互の理解と信頼だ。そのためには頻繁に会って意思疎通を図らなければならない」と述べました。
 その上で「私たちは透明で予測可能な貿易投資環境をつくり、安全なサプライチェーンを構築することにした。環境問題などにも協力しながらともに対応していく」と述べました。
 また「北が予告したいわゆる衛星の打ち上げは、明白な国連安全保障理事会の決議違反であり、国際社会が断固として対応しなければならない」と指摘しました。
 そして、3首脳が共同宣言を採択したことを明らかにし「宣言には3か国が地域の平和と繁栄のため緊密に協力していく意思が盛り込まれた」と述べ、成果を強調しました。
〇岸田首相 共同記者発表での発言 
 共同発表で岸田総理大臣は、3か国のプロセスの再活性化を確固たるものにする重要な機会になったなどと成果を強調し、日本が議長を務める次回の会議に向けて、さらなる関係発展に尽力していく考えを示しました。
 この中で岸田総理大臣は、今回の首脳会議について「国際社会は多様で複雑かつ相互に関連し合う課題と対峙し少子高齢化のように日中韓3か国に共通する大きな課題も存在する。このような中、4年半ぶりに開催される今回のサミットで、地域の平和と繁栄に大きな責任を共有する3か国の間で、幅広い分野で協力を進めていく決意を再確認した」と述べました。
 そして、3か国のFTA=自由貿易協定の交渉をめぐり、「経済分野では自由で公正な国際経済秩序の維持・強化の重要性を指摘した。貿易・投資双方で深いつながりのある日中韓3か国の間で、ハイレベルな規律を含め、未来志向の日中韓FTAのあり方について率直な意見交換を行っていきたい」と述べました。
 地域や国際情勢をめぐり「北朝鮮が人工衛星の打ち上げを予告したことに関し、仮に発射を強行すれば国連安保理決議に違反するもので、強く中止を求める旨を述べた。その上で北朝鮮の非核化と朝鮮半島の安定が日中韓3か国の共通利益である点を改めて確認した。また拉致問題の即時解決に向けた支援を求め、理解を得た」と説明しました。
 さらに来年から2年間を「文化交流年」に位置づけ、3か国の大学間交流や観光を通じた人的交流を促進していくことでも合意したと明らかにしました。
 その上で「きょうのサミットは、日中韓プロセスの再活性化を確固たるものとする重要な契機となった。次回、日本で開催されるサミットに向け、3か国の協力を今日的課題に対応する形で発展させるべく力を尽くしていく」と述べました。
〇中国 李首相 共同記者発表での発言 
共同記者発表で中国の李強首相は日中韓3か国の協力について「25年来、各分野での具体的な協力を着実に推し進めてきた。3か国は新たな挑戦とチャンスを前に新たな責任と行動を示していくことで一致した」と強調しました。
 李首相は3か国の今後の協力のあり方について「まずは長期的な視点と共同の利益に焦点をあてなければならない」として政治的な相互信頼を深めていく必要があるという認識を示しました。
 また、3か国の共同宣言を採択したとして、地域のサプライチェーンの強化や日中韓3か国のFTA=自由貿易協定の交渉再開の推進、AI=人工知能やデジタル経済などの最先端分野における協力の強化などで合意したとしています。
 一方で、李首相は「さらなる良好な環境を作るには3か国は敏感な問題や意見の隔たりを適切に扱うべきだ」とした上で朝鮮半島情勢をめぐり「中国は一貫して朝鮮半島の平和と安定を維持し半島情勢の政治的な解決プロセスを進めることに力を尽くしてきた。われわれは関係国が自制し事態をさらに複雑化させないことを望む」と述べました。
〇共同宣言 ”朝鮮半島問題の政治的解決へ積極的に努力で合意”
 共同宣言では、朝鮮半島の非核化や拉致問題について、3か国それぞれの立場を強調し、朝鮮半島問題の政治的解決に向けて、引き続き積極的に努力することで合意したとしています。
 また、国連憲章の目的と原則、法の支配や国際法に基づいて、国際秩序に対するコミットメントを再確認したとしています。
 その上で、3か国の首脳会議や外相会議を中断することなく定期的に開催する必要性を確認したとしています。
 このほか、人的交流、持続可能な開発・気候変動、経済協力・貿易、公衆衛生・高齢化、科学技術協力・デジタル移行、防災・安全の各分野で「互恵協力プロジェクト」を進めるとしています。
 このうち、人的交流の面では、来年と再来年を「3か国文化交流年」に指定した上で、2030年までに観光などの交流を4000万人に増やすことを目指すとしています。
 また、経済協力・貿易の分野では、3か国間でFTA=自由貿易協定の交渉を加速させるための議論を継続し自由・公正・包括的で質の高い互恵的なFTAの実現を目指すとしています。
 一方、朝鮮半島問題をめぐっては、平和や安定、繁栄の維持が3か国の共通の利益にかない、共通の責任であることを再確認したとしています。
 そして、地域の平和と安定、朝鮮半島の非核化、それに拉致問題についても、それぞれの立場を強調し、朝鮮半島問題の政治的解決に向けて、引き続き積極的に努力することで合意したとしています。
【動画】記者解説
 3首脳の会議冒頭の発言
 岸田首相“3か国の協力に改めて光をあて輝かせていきたい” 
 会議の冒頭、岸田総理大臣は「われわれは歴史の転換点に立っており、国際情勢もこれまでになく厳しさを増している。日中韓は、文化や長い歴史を共有する隣国で、3か国のGDPは世界の2割を超えるなど、地域や世界の安定と繁栄に対する責任はますます大きくなっている」と指摘しました。
 その上で「地域や国際社会がひ益する形で3か国の協力を拡大し、国際社会を分断と対立ではなく協調に導くため、互いに知恵を出していかなければならない。きょう日中韓協力は新しい再スタートを切る。いかに今の時代にふさわしい具体的協力をさらに進めることができるか、議論を深めたい。将来世代のため、3か国の協力に、いま改めて光をあて、それをさらに輝かせていきたい」と述べました。
 さらに「北朝鮮は、またも人工衛星の打ち上げを予告したが、仮に発射を強行すれば、国連安保理決議違反で、北朝鮮に対して強く中止を求める。きょうは北朝鮮情勢をはじめとする国際情勢、国際経済秩序の強化などについても3か国の意思疎通を強化する機会としたい」と述べました。
〇中国 李首相 3か国協力を推進 日韓とアメリカの連携をけん制 
 会議の冒頭、中国の李強首相は「4年あまり3か国の協力は感染症などさまざまな影響で停滞したが、今ようやく正常な軌道に戻った」と述べました。
 そのうえで「われわれの間で協力を模索し、互いに利益を得ることへの願いは変わらない」と述べ、今回の首脳会議を機にいっそう協力を推進していきたい考えを示しました。
 一方で、李首相は3か国の協力を進める上で「相互尊重と信頼を堅持するには誠実に対話し、世界の多極化を推し進める必要があり、陣営を作ることに反対しなければならない」と述べ、日韓両国が中国と対立するアメリカと連携を深める動きをけん制しました。
 また李首相は「経済貿易問題の政治化や保護主義、デカップリングなどに反対し経済のグローバル化と自由貿易を守るべきだ」とも述べ、中国のEV=電気自動車などの新エネルギー関連の製品に対する欧米の規制の動きをけん制しました。李首相の冒頭発言の中で、北朝鮮についての言及はありませんでした。
〇韓国 ユン大統領 北朝鮮予告“地域や世界の平和と安定損なう” 
 会議の冒頭、議長国を務める韓国のユン・ソンニョル大統領は「3か国のリーダーが新型コロナという共通の危機を乗り越えてこの場に一堂に会したことは、国民や国際社会にとって大きな意味を持つ。ことしは韓日中の協力が25周年を迎える年であり、より意義深い」と述べました。
 その上で「3か国の国民が肌で感じられる実質的な協力策を追求し、未来の世代が活発に交流できる環境をつくり、協力の安定性や持続性も強固にしていかなければならない。2国間関係で解決が難しい問題も、3か国の協力を通じて解決できるだろう」と指摘しました。
 一方、ユン大統領は北朝鮮について「この首脳会議が開催されるきょう未明にいわゆる衛星の打ち上げを予告した。弾道ミサイル技術を使ったすべての発射は、国連安全保障理事会の決議に真っ向から違反し、地域や世界の平和と安定を損なうものだ」と非難しました。
 そして「北が国際社会の警告にもかかわらず発射を強行するなら、これに断固として対応すべきだ」と強調しました。
〇岸田首相 一連の日程を終え帰国
 岸田総理大臣は、一連の日程を終え、午後4時半すぎ、政府専用機で羽田空港に到着しました。
 岸田総理大臣は、このあと総理大臣官邸に戻り、経済関係の会議に出席するなど、執務にあたることにしています。
〇FTAの経緯と今後の焦点
 日本と中国、それに韓国のFTA=自由貿易協定の交渉は、東アジア地域の経済の発展を目的として、2013年に交渉が開始されました。
 日本が加入する経済連携協定では、TPP=環太平洋パートナーシップ協定がありますが、中国と韓国はともに加入していません。
 日本にとって、中国は輸出入のおよそ20%を占める最大の貿易相手国で、韓国も第5位の相手国とあって、3か国のFTAが実現すれば、経済成長にもつながるとして、2019年までに16回の交渉が行われました。
 農産物や工業品の関税撤廃や、インターネット上の取引のルールなどについて議論が交わされましたが合意には至らず、日中、日韓の政治的な関係が悪化するなか、交渉は停滞する形となっていました。
 一方で、日本や中国、韓国などが参加する経済連携の枠組み、RCEP=「地域的な包括的経済連携」は、2022年に発効され、農産物や工業製品など幅広い分野で関税の削減や撤廃が行われました。
 これにより、工業製品については、中国の日本に対する関税撤廃率が8%から86%に、韓国も19%から92%に高まっています。
 岸田総理大臣は、27日の共同発表で、「日中韓3か国の間でRCEP協定プラスを目指し、ハイレベルな規律を含め、未来志向の日中韓FTAのあり方について、率直な意見交換を行っていく」と述べました。
 日本政府としては、今後の3か国のFTA交渉で、RCEPより幅広い分野で貿易の自由化への道筋をつけたい考えで、具体的には、残されている自動車に対する関税の撤廃などをめぐって議論が行われる見通しです。
 ただ、米中の対立が激しさを増していることに加え、先週末、開かれていた日本を含むG7=主要7か国の財務相・中央銀行総裁会議では、中国の過剰生産の問題について、G7各国の経済的な強じん性を損なうものだとして懸念を表明したばかりです。
 さらに、日中の間では、東京電力福島第一原子力発電所の処理水の放出に伴う、中国による日本産水産物の輸入停止措置も続いています。
 これらの課題を乗り越え、3か国のFTAの交渉を進展させることができるかが焦点となりそうです。
〇北朝鮮 朝鮮半島の非核化言及に反発
 日中韓3か国の首脳会議の共同宣言で朝鮮半島の非核化に言及があったことについて、北朝鮮外務省は27日、国営の朝鮮中央通信を通じて強く反発する談話を発表しました。
 談話では、憲法でみずからを核保有国と位置づけていることを踏まえて「朝鮮半島の非核化を論じることは、わが国の神聖な主権と憲法を否定する政治的挑発であり、主権侵害だ」と非難しています。
 その上で「『朝鮮半島の非核化』は、理論的かつ実践的、それに物理的にもすでに死滅した」と主張し、非核化を拒否する姿勢を改めて示しました。
 そして「わが国は正義と公平に基づいて地域の新しい力学の構図を構築するため、重大な努力を傾けていく」としていて、蜜月ぶりが目立つロシアをはじめ友好国とのさらなる関係強化を図っていく立場を強調しています。

 

◎第9回日中韓中3カ国首脳会議共同宣言発表 2024.05.27
-第9回日中韓日中3国首脳会議共同宣言
1.尹錫悦(ユン・ソギョル)大韓民国大統領、岸田文雄日本国総理、そして李強中華人民共和国総理は、第9回日中韓3カ国首脳会議を機に、2024年05月27日、大韓民国ソウルで会談した。
2.われわれは、今年が3カ国協力25周年であることを想起し、2008年以来、これまで8回開催された3カ国首脳会議と2011年に設立された3カ国協力事務局(以下、TCS)が、3カ国協力の制度化の確固たる基盤となったという認識を共有した。
 われわれは、第8回首脳会議で採択された「今後10年間の3国協力ビジョン」を履行するという約束を再確認した。われわれは、3国間協力がこれまでさまざまな分野で深化し、3国および各国国民に利益をもたらし、域内協力に有意義なプラットフォームとして位置づけられていることを評価した。
3.われわれは、国連憲章の目的と原則および法治と国際法に基づく国際秩序に対するわれわれの約束を再確認した。
 このような文脈において、われわれは、各国が国際法と国家間協定の約束を遵守することが重要であることに共感した。
4.われわれは、第9回3カ国首脳会議が三国間協力を再活性化する上で重要な意義を持つという点で合意した。
 日本と中国は、韓国が議長国として日本および中国と緊密に協力し、3カ国協力の回復のために尽力したことに謝意を表明した。
5.われわれは、韓国、日本、中国が様々な分野で非常に大きな協力の可能性を持つ、永続的な歴史と無限の未来を共有する隣国であることを認識し、特に、次の3つの3カ国協力の発展の方向性について意見を共有した。
6.第一に、われわれは、3カ国首脳会議と閣僚級会議の定期的な開催を通じて、3カ国協力の制度化の努力を重ね、TCSの能力強化を引き続き促進していく。
7.第二に、われわれは、3カ国国民の支持が3カ国協力深化の重要な原動力であることを認識し、3カ国国民が3カ国協力の実質的な恩恵を享受できるように努力する。
8.このため、われわれは、
▴人的交流
▴気候変動対応などを通じた持続可能な発展
▴経済・通商
▴保健・高齢化
▴科学技術・デジタル転換
▴災害救援・安全
 など、国民の日常生活と密接な6大分野を中心に、相互互恵的な協力事業を積極的に発掘・実施する。
 われわれは、特に、未来世代間の交流が3カ国協力の長期的な土台を固める上で非常に重要であることに同意し、未来世代間交流分野で協力の絆の深化を模索する。
9.第三に、われわれは、3カ国協力の恩恵が他の国にも拡大されるように「日中韓 + X協力」を促進し、3カ国が他の地域と一緒に繁栄できるようにする。
10.このような点に留意しながら、われわれは以下のように決定した。
*3カ国協力の制度化
11.われわれは、第1回3カ国首脳会議で採択された「3カ国パートナーシップのための共同声明」で3カ国首脳会議の定例開催を決定し、第6回3カ国首脳会議で採択された「北東アジア平和協力のための共同宣言」でこれを再確認したことを想起しつつ、3カ国協力がさらに発展していくためには、3カ国首脳会議および3カ国外務大臣会議が中断することなく定例的に開催される必要があることを再確認する。
 われわれは、3カ国協力の制度化の促進が、3カ国間のそれぞれの二国間関係を促進し、北東アジア地域の平和、安定と繁栄を促進し、大小全ての国が普遍的に利益を享受できる世界を追求するのに役立つことを再強調する。
12.さらに、われわれは、教育・文化・観光・スポーツ・通商・保健・農業などの分野において、高官級・閣僚級会議のような政府間協議体を通じ、3カ国間の実質協力を強化する。
 これを通じて、われわれは3カ国国民が体感できる3カ国協力の恩恵を享受できるように緊密に協力することにした。
 3カ国国民のための3カ国協力事業
13.(人的交流)
 われわれは、相互理解及び信頼増進のために人的交流を再活性化する必要性に留意しつつ、各界各層の人的交流、特に未来世代間の交流を促進し、親善と友好関係を増進し、これを通じて将来の3カ国協力の基盤を強化していく道を開くことが重要であることに見解を同じくする。
 また、われわれは、2030年までに文化、観光、教育などの分野における交流を促進し、3カ国間の人的交流を4千万人まで増加させるために努力する。
14.われわれは、未来世代間の交流促進における教育分野における協力の重要性を認識し、2011年に開始された大学間交流プログラムであるキャンパスアジアが、ASEAN加盟国の大学に協力範囲を拡大するなど、模範的な役割を果たしていることを評価する。
 われわれは、これまでこのプログラムに参加した大学生数が1万5千人に達していることに注目し、2030年末までに参加学生数3万人の目標を達成できるよう、この事業を積極的に支援する。
15.われわれは、3カ国の青少年・青年間の交流と友好関係の増進が、3カ国協力のより明るい未来を築くための重要な第一歩となることに同意する。
 このため、私たちは、日中韓子供童話交流大会、ジュニア総合競技大会、大学生外交キャンプ、青年公務員交流プログラムなど、さまざまな交流事業を継続していく。
 また、われわれは、TCSが青年模擬サミット、青年大使プログラム、青年農業人交流プログラムなど多様な青年間交流事業を実施するために努力していることを高く評価する。
16.われわれは、文化が3カ国国民をつなぐ架け橋の役割を果たしていることを認識し、東アジア文化都市、日中韓中芸術祭、日中韓中文化コンテンツ産業フォーラムなどのイニシアチブを通じ、3カ国国民が共感を深め、交流できるプラットフォームを持続的に拡大していく。
 われわれはまた、2025-2026年を3カ国間文化交流の年に指定する。
17.われわれは、TCSが3カ国の著名な人物が参加する日中韓ビジョングループを発足させたことを歓迎し、同グループが3カ国プロセスをさらに改善するための建設的な作業と提案を行うことを期待する。
 われわれは、3カ国協力シンクタンクのネットワークが3カ国協力との関連性を高めることを支援する。
 われわれはまた、公共外交が3カ国国民間の相互理解を促進し、友好関係を深化させる上で重要な役割を果たすことに同意する。
18.(気候変動対応等を通じた持続可能な発展)
 われわれは、2030年持続可能な開発アジェンダを達成するための約束と、人類と地球が調和的に共存し、平和と繁栄の未来を構築することの重要性を再確認する。
 われわれは、温室効果ガス排出のネットゼロとカーボンニュートラル、グリーン経済と社会への転換に向けた協力の必要性を認識する。
 われわれは、2023年11月に開催された第24回日中韓環境大臣会議で採択された共同合意文書を歓迎し、8つの優先協力分野におけるわれわれの協力を継続する。
 われわれはまた、2024年05月に開催された第4回日中韓水資源大臣会合において、気候変動に対応し、気候に適応した水インフラを構築するための日中韓の水分野における協力へのコミットメントを再確認する共同声明が採択されたことを歓迎する。
19.われわれは、決定的な10年間に気候危機に対応するために、パリ協定の温度目標の達成に向けた具体的な措置を講じ、関連する努力を支援し、最初の世界的な実施検証の結果を反映して、野心的な次期国別削減目標を策定する。
 われわれはまた、様々な経路を通じて、クリーンで持続可能で安価なエネルギーへの移行に向けた地球規模の取り組みに貢献する。
20.われわれは、東アジアの黄砂削減に関連し、「日中韓 + X 協力」の枠組みを通じてモンゴルと協力する。
 われわれは、将来の世代のための海洋の持続可能性を達成するために、海洋環境保全に関する協力を促進する。
 われわれは、2024年11月に韓国の釜山で開催される第5回政府間交渉委員会の作業が、プラスチック汚染に関する拘束力のある国際条約の策定に向けて、2024年11月に韓国で開催されることを目指して共に努力する。
21.われわれは、海洋生物資源の保全と持続可能な利用における最も深刻な脅威の一つである違法・非報告・非規制(IUU)漁業を終わらせるという私たちのコミットメントを認識し、さまざまな手段を通じて、IUU漁業を防止、抑止、根絶するための強力かつ効果的な措置を講じる。
 われわれは、昆明-モントリオールグローバル生物多様性枠組みを迅速かつ完全かつ効果的に実施することを約束する。
22.(経済・通商)
 われわれは、経済・通商分野における3カ国間の共同の努力が、域内および世界経済の繁栄と安定に重要な役割を果たすことを認識する。
 われわれは、域内の発展格差を減らし、共同の発展を達成するために努力する。
23.われわれは、世界貿易機関(WTO)を中心とした開放的、透明性、包摂的、非差別的ルールに基づく多国間貿易体制を支持することを再確認する。
 われわれは、2024年までに完全かつ円滑に機能する紛争解決制度の整備を含め、WTOの全ての機能を改革・強化することを約束する。
 われわれは、投資活性化協定に関する共同宣言イニシアチブが法的枠組みに組み込まれるよう、すべてのWTO加盟国の支持を要請し、また、電子商取引に関する共同宣言イニシアチブに関する交渉が早期に妥結されるよう努力する。
24.われわれは、3カ国間自由貿易協定の基礎として、域内包括的経済連携協定(RCEP)の透明性、円滑かつ効果的な実施を確保することの重要性を確認しつつ、自由で公正、包括的かつ高水準の相互互恵的なFTAの実現を目指す3国間FTAの交渉をスピードアップするための議論を継続する。
 RCEPが開放的で包括的な地域協力であることを再確認し、われわれは、RCEP共同委員会が新規加盟国のRCEPへの参加手続きの議論を加速することを奨励する。
25.われわれは、自由、開放的、公正、非差別的、透明、包摂的、予測可能な貿易・投資環境を構築するため、グローバルな競争の機会を公平に確保するための努力を継続する。
 われわれはまた、市場の開放性を維持し、サプライチェーンの協力を強化し、サプライチェーンの妨害を避けるという約束を再確認する。
 われわれは、輸出管理分野におけるコミュニケーションを継続する必要性に共感する。
 われわれは、2024年に開催される3カ国起業家フォーラムを歓迎する。われわれは、環黄海経済技術交流会議を含む協力プラットフォームを継続的に発展させ、地域単位での協力を引き続き奨励する。
26.われわれは、域内金融協力の促進の重要性を認識し、ASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁会議における進展を歓迎し、特に、チェンマイ・イニシアチブ多国間通貨(CMIM)の下で適格な自由交換可能通貨を利用可能通貨とする迅速金融プログラムの設立が承認されたことを歓迎する。
 また、われわれは、ASEAN+3マクロ経済調査機関、アジア債券市場開発計画、災害リスクファイナンスに関する進展を歓迎する。
 われわれは、域内金融セーフティネットとしてのCMIMの実効性を促進するためのわれわれの意志と支援を再確認し、財務大臣と中央銀行総裁がより強固な財源構造を模索し、3カ国だけでなく、ASEAN諸国と共にさまざまな財源構造方式について積極的に議論することを奨励する。
27.われわれは、日中韓3カ国とASEAN加盟国のスタートアップ企業のための情報交換シンポジウムを開催するなど、スタートアップ企業を支援するためにASEAN+3協力基金を活用する。
 われわれは、電気自動車エコシステム構築に関するASEAN+3首脳声明を履行することの重要性を認識する。
28.われわれは、韓国特許庁、日本特許庁、中国国家知識産権局間の第23回3カ国特許庁長会議において、3カ国が新技術分野まで協力範囲を拡大し、「日中韓 + X 知的財産協力」を追求し、われわれの協力を拡大していくことに合意したことに注目し、今回の首脳会談を機に「3カ国知的財産協力10年ビジョンに関する共同声明」を採択した。
29.(保健・高齢化)
われわれは、新型・再発性感染症対応協力を含む保健分野における3カ国協力の重要な役割を認識し、今回のサミットを機に「将来のパンデミック予防・備え及び対応のための共同声明」を採択した。
 われわれは、2023年12月に開催された第16回3国保健大臣会議で合意したとおり、日中韓感染症予防管理フォーラムおよび共同シンポジウムなどを通じて、感染症を含む保健緊急事態管理のための3カ国の疾病管理担当公共保健機関間の協力を促進することにする。
30.また、われわれは3カ国が共通に直面している少子高齢化問題に共同で対応する。
 普遍的な医療保障の実現・持続のために、3カ国政府および専門家間の交流を通じて、われわれは、技術開発、人材教育、医療および長期療養保護と所得保障などに関する経験の共有を含め、高齢人口の健康な老後のための政策専門知識を共有する。
31.(科学技術・デジタル転換)
われわれは、人工知能を含む科学技術協力が重要性を増していることを認識し、3カ国科学技術大臣会議および情報通信大臣会議を再開するよう努力する。
32.われわれは、AIが人類の日常生活にもたらしうる影響について迅速に対応する必要性と、AI関連の相互コミュニケーションの重要性に注目する。
 われわれは、韓国政府が2024年05月にAIソウルサミットを開催し、安全で、セキュリティーが保証され、信頼でき、革新的で、包摂的で、責任あるAIのためのグローバルガバナンス定立に貢献していることに注目する。
33.われわれは、研究能力および産業技術分野における競争力向上のための科学・革新協力の重要性に共感し、3カ国の研究者間の学術交流およびグリーン・低炭素社会などの分野における共同研究開発の重要性を認識する。
34.(災害救援・安全)
 われわれは、3カ国災害管理機関長会議と対テロ協議会を適切な時期に再開し、3カ国国民のためのより安全な環境を造成していく。
 われわれは、災害対応および被害軽減分野における女性の参加とリーダーシップの重要性を認識しつつ、ASEAN加盟国との対話を含め、女性・平和・安全保障アジェンダに関する3カ国間協力を促進する。
 また、われわれは詐欺、麻薬関連犯罪を含む国境を越えた犯罪を防止し、取り締まるために、3カ国警察協力会議を通じて協力を強化する。
[地域および国際平和と繁栄]
35.われわれは、韓半島と北東アジアの平和・安定・繁栄がわれわれの共同利益と共同責任であることを再確認した。
 われわれは、域内の平和と安定、朝鮮半島の非核化、拉致被害者問題に対する立場をそれぞれ再強調した。
 われわれは、朝鮮半島問題の政治的解決のための積極的な努力を継続することにする。
36.われわれは、3カ国協力がASEANとの緊密な関係の中で発展してきたことを認識し、3カ国がASEAN+3、東アジア首脳会議、ASEAN地域安全保障フォーラムなどASEANの枠組みの中で3カ国協力を持続的に拡大していく必要性に同意する。
 われわれはまた、ASEANの中心性と一体性に対する強い支持を表明する。われわれは、2024年のASEAN議長国であるラオス人民民主共和国の努力を評価する。
37.われわれは、3カ国がアジア地域の平和と安定、繁栄に責任を負う重要な国として、2024年に国連安全保障理事会理事国として一緒に活動していることから、3カ国協力体制内だけでなく、国連安全保障理事会などの多国間協力体制においても緊密に連携していくことを再確認する。
 このような文脈において、われわれは2025年のアジア太平洋経済協力体(APEC)首脳会議の成功的な開催に向けて努力する。われわれはまた、日本の2025年大阪・関西万博、中国の2025年第9回ハルビン冬季アジア競技大会の開催を支持する。
38.われわれは、次期日本の議長国としての第10回会議の開催を期待する。
⇒参照・引用元:『韓国 第20代大統領室』公式サイト「제9차 한일중 3국 정상회의 공동선언」
「努力する」が多いので、どうということもないのですが――そもそもド頭に書いている「われわれは、国連憲章の目的と原則および法治と国際法に基づく国際秩序に対するわれわれの約束を再確認した」が、もう大問題です。
 中国が南シナ海で行っていることは「国際秩序」を守っているのでしょうか? 韓国が1965年の日韓請求権許定に違反して日本にお金をたかるのは法治国家のすることなのでしょうか?
 3カ国でFTAの議論を進めるするとしていますが、無法国家・非法治国家とFTAなど結べるわけはありません。日本の海産物に輸入規制をかけているような国なのです。
 日本は、大朝鮮・中国、小中国・韓国は基本的に反日国家であり、自由主義陣営国ではない、それ故にまともな契約や約束など結べないと認識しなければなりません。