ロシア第1四半期5.4%成長、ウクライナ侵攻で軍需産業活況 | すずくるのお国のまもり

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お国の周りでは陸や海や空のみならず、宇宙やサイバー空間で軍事的動きが繰り広げられています。私たちが平和で豊かな暮らしを送るために政治や経済を知るのと同じように「軍事」について理解を深めることは大切なことです。ブログではそんな「軍事」の動きを追跡します。

◎ロシア第1四半期5.4%成長、ウクライナ侵攻で軍需産業活況

 

 

[モスクワ 17日 ロイター] - ロシア連邦統計局が17日発表した2024年第1・四半期(1―3月)の国内総生産(GDP)は前年同期比5.4%増だった。前期の4.9%増から伸びが加速した。
 経済発展省の従来予想では5.4%増、中央銀行が4.6%増で、ロイター集計のアナリスト予想は5.3%増だった。23年第1・四半期は1.6%減とマイナス成長だった。
 ロシア経済は軍需産業が大黒柱となっている。ウクライナ侵攻を開始した22年は経済活動が落ち込んだものの、その後に武器や弾薬生産向け政府支出が膨らんでいる。一方で、国民の生活水準の改善が妨げられるという現実を覆い隠す形となっている。
 中銀によると、第2・四半期は金融引き締めに伴って4.4%増に減速する見通し。
 今年の成長率見通しは経済発展省が4月、従来の2.3%増から2.8%増に上方修正した。中銀は「1・0─2.0%増」から「2.5─3.5%増」に引き上げた。シルアノフ財務相は最も楽観的で、23年成長率と同じ3.6%増を予測している。
 国際通貨基金(IMF)は4月16日に発表した世界経済見通し(WEO)の中で、24年のロシア経済成長率を3.2%増と予測。西側の経済制裁にもかかわらず石油輸出が堅調なことなどにより、前回予測の2.6%増から上方修正していた。

 

◎ロシア経済好調の裏に軍需産業 欧州全域で「戦時経済」が進めば、誰も求めていない「軍事衝突」が起こりうる

 

 

 GDPは4四半期連続でプラス成長している。今年第1四半期の国内総生産(GDP、速報値)は前年に比べて5.4%増加、伸び率も昨年第4四半期と比べて4.9%増加した。
 ロシア経済発展省によれば、第1四半期は製造業が8.8%増えた。中でも機械や化学、自動車などの伸びが目立った。長期化する戦時下で軍需分野の生産が拡大していることが主な要因だ。プーチン大統領も「軍需産業はこの1年半ほど良い結果を出している」と評価している。
 国際通貨基金(IMF)も同様の見方だ。5月16日に公表した経済見通しでロシアの今年の成長率を3.2%とした。昨年10月の予測に比べて2.1ポイントの引き上げとなり、2四半期連続の上方修正だ。
 ロシアはウクライナに侵攻した2022年、西側諸国が科した経済制裁などの影響でマイナス成長に陥った。だが、その後、政府による武器などの発注増加が需要を押し上げ、経済はV字回復を遂げている。
〇新たなロシア国防相は経済学者
 ロシアでは戦時経済体制への移行が急ピッチで進んでいる。国防関連予算は全体の予算の3分の1に達し、ソ連時代末期の水準に相当する。
 政府は民間の軍需企業の強制的な国有化も進めている。検察が汚職といった理由で企業の資産などを大量に没収しており、ウクライナ侵攻以降の差し押さえ額は1兆7000億円に上った(5月29日付日本経済新聞)。
 筆者が注目したのは、5期目に入ったプーチン氏が新たな国防相にアンドレイ・ベロウソフ氏(65歳)を起用したことだ。ベロウソフ氏は軍事経験ゼロの経済学者だが、大企業への徴税キャンペーンを率いた実績を買われて抜擢されたと言われている。
 ベロウソフ氏は軍民の融合を掲げており、今後、国営の軍産複合体が民間企業をのみ込む形で肥大化する可能性がある。プーチン氏は、ベロウソフ氏がウクライナとの長期戦に耐えうるロシア経済を構築してくれることを期待しているだろう。

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