◎ベネズエラ、隣国ガイアナとの国境で軍備拡張を継続

 

 

(CNN) 南米ベネズエラは隣国ガイアナとの国境近くで軍事インフラと装備品の増強を続けている。ベネズエラのマドゥロ大統領とその支持者らは、ガイアナの石油資源の豊富なエセキボ地域の併合に向け脅威を高める狙いだ。
 米首都ワシントンに本部を置く独立系シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)はCNNに共有した報告書の中で、ベネズエラ政府は「本格的な紛争から得るものはほとんどなく、失うものは大きい」にもかかわらず、密林に覆われたエセキボ地域の領有権をめぐって「危険なゲーム」を続けていると警告している。
 ガイアナの国土の約3分の2に相当する同地域では昨年以降、緊張が高まっている。ベネズエラが同地域に新たな州を創設することの是非をめぐり、ベネズエラで国民投票が行われ、有権者が同意したためだ。ガイアナはこの動きを併合への一歩であり、武力衝突の恐怖が迫る「存亡の危機」だと訴えた。
 CNNは2月、両国が昨年12月に外交的手段によって紛争を解決することに合意したにもかかわらず、ベネズエラがアナココ島の軍事基地で軍備を拡張していると報じた。 
 CSISは衛星画像とSNSを使って、アナココ島の軍事基地の拡張が続いていることを発見した。ベネズエラの川岸とアナココ島を結ぶ橋がクユニ川に架けられているのが分かる。アナココ島は国際法廷での判決によって1899年にガイアナが領有して以降、両国間の争いの種になってきた。ベネズエラは1960年代にこの島を併合した。
 CSISによると、島の飛行場は拡張され、現在は小さな管制塔もある。3月時点の衛星画像には、飛行場の隣に75個以上の野戦テントがある区画が写っていた。これは数百人で構成される1大隊が利用できる規模だという。その後、野戦テントは飛行場の南側に移設され、「基地が1カ月以上にわたり大規模な軍隊に兵站(へいたん)と補給を継続的に提供する能力があることを証明している」
 海岸沿いでは、ベネズエラのプンタ・バリマにある小規模な沿岸警備基地に少なくとも2隻のイラン製ペイカープIII(ゾルファガール)高速ミサイル艇が停泊している。CSISは、ベネズエラはミサイルと海軍をガイアナが統治するエセキボ地域のすぐ近くに配置していると述べた。プンタ・バリマはガイアナの国境から64キロに位置しているからだ。