◎ロシアに「1970年代武器」在庫を供与した北朝鮮、改良型の開発に没頭

 

 

 戦時に備えて保管してきた旧型武器をロシアに供与した北朝鮮が、通常兵器関連の技術開発を加速させていると、韓国の国家情報院が明らかにした。遅れていた従来の通常兵器体系を改編すると同時に、追加の武器輸出を念頭に置いているという分析が出ている。
 国家情報院は12日、ロシア軍がウクライナ戦争で使用した武器の中には1970年代に北朝鮮で製作された122ミリ多連装ロケット砲が含まれたという情報があり、精密分析中だと明らかにした。
 ウクライナは昨年7月に「バン-122」と書かれた多連装ロケット砲弾を使用したが、ウクライナ軍がロシアに送る北朝鮮の武器を船舶で没収したものだった。西側軍事専門メディアがウクライナの戦場で撮影した砲弾の写真には「バン-122」などのハングル表記があった。
 専門家らはこの砲弾について、北朝鮮が2010年11月の延坪島(ヨンピョンド)砲撃当時にも使用した122ミリロケット砲用ロケット弾という分析を出した。「バン」は多連装ロケットの北朝鮮式表現の放射砲を意味する表式という説明だ。
 これに関連し、軍当局も北朝鮮がロシアに支援する武器・装備類は▼相互互換が可能な122ミリ放射砲弾・152ミリ砲弾▼放射砲・野砲・小銃・機関銃・迫撃砲▼携帯用対空ミサイル・対戦車ミサイル--などと推定されると明らかにした。
 こうした状況から推察すると、北朝鮮は先入先出方式で置蔵物資(戦時の需要のために保存・管理する平時運用量超過分物資)をロシアに送り、大量生産でこれを充当すると推定される。同時に遅れている通常戦力を補強するための技術改良にも没頭する雰囲気だ。
 これに先立ち11日の労働新聞は、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が前日に技術が更新された240ミリ放射砲武器体系を把握し、該当武器の試験射撃を参観したと報道した。240ミリ放射砲は韓国の首都圏を狙った武器で、北朝鮮が「ソウル火の海」脅迫をするたびに言及されたりする。
 同紙は「機動性と火力集中力が高い更新型の放射砲武器には自動射撃総合指揮体系が導入された」とし「2024年ら26年まで北朝鮮軍部隊に交替装備することになる」と明らかにした。北朝鮮の主張が事実ならば、基本放射砲弾に誘導機能を搭載し、運用速度と正確度を向上させる技術改良を進めたと推定される。
 米CNNは2月、英国の武器監視団体「紛争兵器研究所(CAR)」を引用し、「ウクライナのハルキウ(ハリコフ)で回収された北朝鮮製弾道ミサイルの残骸290個を調査した結果、ミサイル部品の75%が米国、16%が欧州、9%がアジアの会社の製品だった」と報じた。CARの分析が正しければ、国際社会の制裁にもかかわらず北朝鮮は海外部品を調達して武器を生産しているということだ。
 情報当局は北朝鮮がウクライナ戦争長期化と中東危機に便乗して旧型武器を減らす一方、ロシアとの軍事協力を通じて遅れている通常兵器の改良・開発を加速するとみて注視している。この日、国家情報院は「ロ朝間の軍事協力諸般事項を持続的に追跡している」と明らかにした。
 北朝鮮が核・ミサイル高度化に続いて、韓国より威力が劣ると評価されてきた通常兵器の技術まで改良する動きを見せ、専門家の間でも懸念の声が出ている。統一研究院のオ・ギョンソプ研究委員は「性能改良を通じて南側への脅威を倍加させると同時に、通常兵器の輸出まで念頭に置いた多目的な布石とみられる」と述べた。