「在韓米軍、中国抑止へ転換」 前米政権高官が主張 | すずくるのお国のまもり

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お国の周りでは陸や海や空のみならず、宇宙やサイバー空間で軍事的動きが繰り広げられています。私たちが平和で豊かな暮らしを送るために政治や経済を知るのと同じように「軍事」について理解を深めることは大切なことです。ブログではそんな「軍事」の動きを追跡します。

◎「在韓米軍、中国抑止へ転換」 前米政権高官が主張

 

 

 【ソウル時事】コルビー元米国防副次官補は、ワシントンで6日に行われた韓国の聯合ニュースとのインタビューで、北朝鮮の脅威に対応している在韓米軍の役割を転換し、今後は中国に対する抑止に重点を置くべきだと主張した。同氏は「(北朝鮮の挑発に対し)韓国が責任を持つべきだ」と語った。
 コルビー氏は、2018年にトランプ前政権で国家防衛戦略策定の責任者を務めたことで知られる。同氏は聯合に「米国は北朝鮮と戦いながら、中国とも戦う軍事力を持ち合わせていない」と強調した。

 

◎朝ロの蜜月に「韓国核武装」噴出…「恐怖の錯覚効果」作用(1)

 

 

 

 韓米同盟が「タブー」としてきた核武装論の手綱が緩んだ。北朝鮮の高強度挑発などで韓半島(朝鮮半島)の緊張が高まるたびに韓国国内の一部で浮上する急進的論理のように見なされてきた韓国の独自核武装の必要性が、今では韓米両国で公然と話題になっている。
 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とロシアのプーチン大統領の事実上の軍事同盟締結、同盟を軽視するトランプ前大統領の帰還の可能性などが複合的に作用し、いつよりも危機感が高まっているのが背景だ。今はもう「恐怖の核均衡」を通じて自国の安全を守るしかないという切迫感から始まった議論だが、代償を看過した恐怖の錯視効果も作用しているという分析だ。
◆政界で核武装論争
 核武装論を率先して公論化しているのは韓米の政界だ。韓国与党・国民の力の代表候補の間では核武装が「鮮明性競争」のイシューに浮上した。「今はもう私たちも核武装をしなければいけない」という羅卿瑗(ナ・ギョンウォン)議員を筆頭に、「核武装の潜在的力量を備えよう」(韓東勲前非常対策委員長)、「韓米間の核共有協定で事実上核武装と同じ効果を得ることができる」(尹相炫議員)、「核武装の前に『ワシントン宣言』の実効性確保を通じて抑止力を強化する時」(元喜龍前国土交通部長官)など、さまざまな意見が表出している。
 いつよりも現実味を帯びた議論になっているのは、米国内の変化した気流のためだ。米議会上院軍事委員会共和党幹事のロジャー・ウィッカー議員(ミシシッピ州)は21日(現地時間)、韓国などとの核共有協定締結、インド太平洋地域での核兵器前進配備などを議論しようと公開的に促した。
 朝ロ間の危険な同盟が、核不拡散を優先して韓国の独自核武装議論を懸念の目で眺めてきた米国の雰囲気自体を変えたということだ。バイデン政権でさえも拡大抑止強化という従来の方針を確認しながらも「ロ朝の行動が域内国家に従来の軍事およびその他の措置を再考させるという意見に同意する」(24日、キャンベル国務副長官)とし、韓国核武装論に対する鉄壁を見直す兆しが表れている。
◆「トランプ・トラウマ」…「保険」心理も
 韓国国民の立場では「トランプ・トラウマ」も無視しがたい。金正恩委員長が不法核兵器を手に握ったままプーチン大統領が提供する合法的核の傘を使うという状況で、在韓米軍の撤収や核資産の韓半島展開縮小を主張するトランプ氏が再選する場合、拡大抑止に空白が生じるおそれがある。
 以前から核武装論が提起されてきたのも米国の核の傘に対する信頼問題のためだ。「北朝鮮が核を使用する場合、米国がサンフランシスコを放棄してまでソウルを守るだろうか」という以前からのジレンマだ。
 米国が自国の利益を毀損してまで「核の宝剣」を抜かないはずという疑心は、「韓国を核武装させるのが安く済む」というトランプ氏側の人たちの言及を見ていれば増幅するしかない。トランプ政権2期目のホワイトハウス国家安全保障担当補佐官候補に挙がっているエルブリッジ・コルビー国防次官補代理(戦略・戦力開発担当)は「在韓米軍を中国牽制に活用する代わりに韓国独自の核武装を考慮する必要がある」(5月の中央日報インタビュー)と述べた。
 最近、米国の核の傘を信頼するとしながらも核武装をするべきという声が世論調査を通じて繰り返し出てくるのにはさまざまな解釈があるが、やはりトランプ氏の帰還に対する不安が作用したという分析が多い。いつかは米国が核の傘をたたむという不安感から「保険」を望むということだ。

◆「核の傘を信じるが核武装も望む」
 2022年2月のシカゴ国際問題協議会(CCGA)の世論調査(1500人)によると、「拡大抑止を強く信じる」という回答者の78%、「拡大抑止を多少信じる」という回答者の76%が核武装を支持した。東アジア研究院(EAI)が昨年9月に中央日報と共同で実施した面接調査(1008人)の資料を根拠にロジステック回帰分析をしたところ、「米国が韓国に提供する拡大抑止を肯定的に評価する人であるほど、むしろ韓国の核武装を支持する」という結果が出たりもした。
 キム・ヤンギュEAI首席研究員は「昨年のワシントン宣言などで強化された米国の拡大抑止に対して韓国人が『現在』高い信頼を送っているのは事実」とし「しかしトランプ変数などを考慮すると『未来』の拡大抑止は確実でないため一種の保険心理が作用したようだ」と話した。
 しかしこれさえも結局は、大多数の核武装支持者が核を保有する場合に生じる費用を看過したまま感知された脅威に即刻反応した結果とみるのが妥当という指摘だ。「韓国の核武装」は「米国の核の傘」に依存しないのが核心だが、一つを保険のように置いて2つの選択肢の並立を願うこと自体が矛盾であるからだ。にもかかわらず、あたかも「多多益善」が可能であるように恐怖の錯覚効果が生じているということだ。
◆核武装の「代償」知れば支持撤回
 実際、核保有が招く代償を同時に提示した場合、核武装を支持する回答が大幅減少するという調査結果もある。昨年6月の統一研究院の世論調査(1001人対象)によると、全体回答者の60.2%が韓国の核保有に賛成した。しかし経済制裁、韓米同盟破棄、安保脅威の深刻化、核開発費用の負担、環境破壊、平和イメージ喪失など核の保有が招き得るシナリオを提示すると「賛成」比率は36-39%に落ちた。
 これは韓米同盟の本質と直結する核武装論を単純に世論の賛否に基づいて検討するべきでないという懸念につながる。核を望む韓国人の複雑多端な心理を繊細に把握してこそ正確な政策的処方も可能というのが、複数の世論調査を通じて証明されたのだ。
 また、韓米が昨年4月に核協議グループ(NCG)を創設して米国戦略資産の韓半島展開の可視性を増やすことにしたが、こうした一連の措置の政策的効果を国民が十分に実感できていないという傍証とも見ることができる。拡大抑止強化の「体感度」を高めるための措置も同時に求められる理由だ。