書籍紹介:中原雅人(著)「自衛隊と財界人の戦後史」 | すずくるのお国のまもり

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◎書籍紹介:中原雅人(著)「自衛隊と財界人の戦後史」

 

 

 自衛隊と財界人の戦後史:支援ネットワークの形成とその意味 (MINERVA人文・社会科学叢書) 単行本 – 2024/4/15
中原雅人 (著)
 1960年代初頭、全国の駐屯地周辺の地域を中心に、民間の自衛隊支援団体である「防衛協会・自衛隊協力会」が設立され始めた。自衛隊支援と防衛思想の普及を主な目的とするこの団体は、1960年代後半にはすでに全国で1,090の協会と約49~60万人の会員を擁するまでに拡大した。本書は、1990年代以降、自衛隊への支持が拡大したという一般的な見方に対して、その「前史」を描くことによって、自衛隊研究に新たな一面を提示するとともに、「日本人にとって自衛隊とは何か」という、戦後日本社会の重要課題を考える材料を提供する。

【目次】
はしがき
序 章 戦後日本社会における自衛隊認識
 1 見落とされてきた「前史」
 2 「防衛協会・自衛隊協力会」とは何か
 3 財界人の自衛隊支援活動を明らかにすることの意義
 4 本書で何をどこまで明らかにするか
第1章 反自衛隊的風潮と自衛隊のタブー化――一九五四~一九六〇年代前半
 1 反自衛隊的風潮の高まり
 2 「吉田路線」の定着と自衛隊の「日陰者」化
 3 高度経済成長と自衛隊支援のタブー化
第2章 三八豪雪と防衛協会・自衛隊協力会の設立――一九六三年
 1 三八豪雪と自衛隊認識
 2 池田政権による防災政策の重視
 3 三八豪雪災害派遣の開始と被災地における否定的な自衛隊認識
 4 被災地における自衛隊認識の好転
 5 災害派遣の終了と「凱旋」
 6 防衛協会・自衛隊協力会の設立
第3章 松下幸之助と自衛隊支援の広がり――一九六四年
 1 大阪防衛協会の設立
 2 歴代会長と創立時の役員
 3 どのような企業が会員となったのか
 4 活動内容――自衛隊支援と防衛思想の普及
 5 その意味――松下幸之助による自衛隊支援ネットワークの形成
第4章 自衛隊支援ネットワークの全国的形成――一九六九年
 1 東京都自衛隊協力会連合会の設立
 2 活動内容――防衛思想の普及、愛国心の高揚
 3 その意味――桜田武と藤原岩市による支援の拡大
 4 防衛協会・自衛隊協力会の全国組織化
第5章 なぜ財界人は自衛隊を支援したのか
 1 反自衛隊的風潮の高まり
 2 高度経済成長下の平和ムードと日本人の意識の変化
 3 ベトナム戦争と自衛隊反対運動の盛り上がり
 4 治安の悪化と七〇年安保問題
補 章 沖縄返還と沖縄県自衛隊協力会の設立――一九七二年
 1 沖縄を取り上げる意味
 2 沖縄返還と自衛隊配備
 3 沖縄地区隊友会と沖縄地区父兄会の発足
 4 沖縄県自衛隊協力会の発足
 5 沖縄県自衛隊協力会設立の意味
終 章 財界人と自衛隊支援ネットワークの形成
 1 自衛隊支援ネットワークは如何にして形成されたのか
 2 支援ネットワークの形成は如何なる意味を持つのか
 3 残された課題――その後、自衛隊支持は如何にして拡大したのか
参考文献  
あとがき  
関連年表  
付 録  
人名・事項索引