中国、2026年にHBM生産へ | すずくるのお国のまもり

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◎韓国が握る「AI半導体の核心」まで…中国、2026年にHBM生産へ

 

 

 米国のCHIPS法が発効2年を控える中で、中国が人工知能(AI)半導体の核心である高帯域幅メモリー(HBM)を2026年までに生産するという目標を立てて動き始めた。AIチップとHBMで構成された半導体パッケージを中国が独自に生産するという計画だ。成功すれば中国は米国の技術封鎖にもかかわらずAIチップと先端メモリー半導体の自給に成功することになる。エヌビディアとサムスン電子、SKハイニックスがなくてもAIインフラを構築できるという意味だ。中国がAIを戦略資産とみて「技術自立」総力戦に出たという評価が出ている。
 米IT専門メディアのジ・インフォメーションは25日、ファーウェイが主導する半導体コンソーシアムが中国政府の資金支援を受け2年以内にHBMを生産することを目標に開発に入ったと報道した。コンソーシアムにはファーウェイのほかにも中国のメモリー半導体メーカーであるJHICCが含まれた。米国は2018年に自国のメモリー半導体企業マイクロンの技術を持ち出した容疑でJHICCに対する輸出制限措置を断行している。米国が半導体分野で中国を相手に本格的な制裁を加えた事実上初めての事例だった。
◇中国AI自立「最後のピース」HBM
 ファーウェイのHBMコンソーシアムは中国政府の資金支援を受ける。コンソーシアムの現在の目標は第2世代製品であるHBM2の開発と生産という。HBM2はサムスン電子とSKハイニックスが2016年に標準化を主導し量産に成功した製品だ。最近両社は5世代HBM3Eを世界で初めて開発し生産中だ。これを考慮すれば韓国と中国のHBM技術格差は現在10年ほど開いている。
 ただ旧型HBMもデータセンターなどAIサーバーに依然として使われており、市場でも割合も小さくない。市場調査会社トレンドフォースによると、昨年のHBM市場で第3世代HBM2E以下のシェアは30%となった。主要なデータセンターで使われる水準のHBMを中国が量産することさえできれば独自のAIモデル運営にも問題はないと予想される。
 半導体業界では、「中国がメモリーやシステム半導体いずれもA級製品を作る実力はないがB級水準の半導体を作り使い続ければ5年以内に既存システムを代替できるほどにはなるだろう」とみる。中国はシステムやメモリー半導体などハードウエアだけでなく、AIソフトウエアプラットフォームとクラウド産業にも莫大な投資をしている。ファーウェイが設計し中国のファウンドリー(半導体委託生産)1位のSMICが製造したAI半導体「アセンド910B」はすでにエヌビディアのグラフィック処理装置(GPU)「H100」の唯一の対抗馬に挙げられ中国内での使用が増える傾向だ。
 こうした状況でファーウェイ中心のHBMコンソーシアムは中国が自国のDRAMで作ったHBMをファーウェイのAIチップと連結し、米国、台湾、韓国がなくても独自のAIインフラを完成させるという構想を具体化する試みとみられる。HBMはDRAMを垂直に積み上げ容量と帯域幅を増やした製品で、大量のデータを処理できる高付加価値メモリー半導体だ。ファーウェイコンソーシアムのほかにも中国最大のDRAM企業CXMTと最大のNAND企業YMTCもやはりそれぞれHBM開発プロジェクトを進めているという。
◇HBM自給すれば韓国の半導体も打撃
 中国に半導体輸出の相当部分を頼っている韓国企業としては、中国のHBM自立が成功する場合に打撃を受ける可能性が大きい。中国は昨年韓国製半導体の36.6%を輸入した。韓国貿易協会によると、半導体輸出額で昨年の中国の割合は欧米と日本への輸出を合わせたものより多かった。韓国半導体の主力商品であるメモリーは2月基準で全半導体輸出額の60%以上を占めた。
 中国がDRAM製造だけでなく関連パッケージング技術力の面でも最高難度であるHBMを独自に製造できるならば、DDRなどIT産業で使われるメモリー半導体製品の大部分を独自に調達することもできる。現在HBMを量産できるのは世界でサムスン電子、SKハイニックス、マイクロンの3社だけで、韓国は全HBM生産量の90%以上を担っている。