米空挺部隊でM10「ブッカー」テスト開始 | すずくるのお国のまもり

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◎どうみても“戦車”っぽい「戦車じゃない車両」米空挺部隊でテスト開始 早ければ2025年夏に配備開始か

 

 

〇米陸軍が戦車ではないと明言するM10「ブッカー」
 アメリカ軍は2024年4月18日、マサチューセッツ州アバディーン・プルービング・グラウンドで、最新の戦闘車両であるM10「ブッカー」の納入式典を行ったと発表しました。
 会場では、式典以外に、アバディーンの試験場において実弾射撃のデモンストレーションも行われました。
 M10「ブッカー」の主武装は105mm砲で、重量は42t、空輸が可能で機動力に優れているのが特徴です。見た目や大きさから過去に存在した軽戦車のようではありますが、アメリカ陸軍は明確に否定しており戦闘車両という分類にしています。歩兵への火力支援を特に考えた設計になっており、以前ドイツに存在した突撃砲に近い運用思想の車両ともいわれています。
「ブッカー」という愛称は、2023年6月10日に決定されました。イラク戦争で仲間を救うために自らの命を投げ出し、死後に殊勲十字章を授与されたスティーボン.A.ブッカー軍曹と、1943年にチュニジアで英雄的な行動により死後に名誉勲章を授与されたロバート.D.ブッカー軍曹のふたりに由来します。
 アメリカ陸軍には、現状3両のM10「ブッカー」が納入されており、砲弾の発射実験や砂漠、北極、温帯、熱帯といった様々な環境下での走行テスト、不整地での走破能力の確認が行われています。今回の式典に登場した車両は、最初に同車両が配備される予定の第82空挺師団で数か月間にわたるテストに参加するようです。
 早ければ2025年夏、M10「ブッカー」を装備した最初の中隊が第82空挺師団に新設される予定です。これはアメリカ陸軍では、約20年ぶりの新型車両による部隊となります。【了】