米韓演習で北首脳部を狙るリーパーが飛来 | すずくるのお国のまもり

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◎北首脳部狙った「空の暗殺者」リーパーが飛来…韓米訓練で初公開(1)

 

 

 

 19日正午、韓国空軍群山(クンサン)基地の滑走路に入ると各種計測装備をつないで出撃前点検をする米空軍の無人攻撃機MQ9リーパーが取材陣に姿を現した。「空の暗殺者」と呼ばれるMQ9リーパーが韓米訓練を通じて取材陣に公開されたのは今回が初めてで、金正恩(キム・ジョンウン)政権首脳部を直接狙って対北朝鮮警告のレベルを引き上げたと解釈される。
◇「TEL模擬標的打撃訓練」
 滑走路南側に遠くセマングムの象徴の古郡山大橋が見え、その前に閃光を出しながら韓国空軍のF15K戦闘機2機が飛んできた。戦闘機は群山基地の上空を旋回した後滑走路に着陸した。続けて米空軍のF16戦闘機が続けて飛来した。戦闘機は着陸しようとしたが機体を左右に揺さぶると推進力を高め轟音を出しながら取材陣の頭上をかすめるように通過していった。こうしたパフォーマンスを3~4回繰り返してから滑走路に着陸した。
 これら韓米空軍の戦闘機はこの日午前に離陸して江原道(カンウォンド)の射撃場で空対地実射撃訓練を成功裏に終えて基地に戻ってきたものだった。この日の訓練は12日に始まり26日まで続く2024年合同編隊軍総合訓練の一環だ。
 韓国空軍関係者は「群山基地に復帰した戦闘機は射撃場で敵の移動式ミサイル発射台模擬標的を打撃する訓練をした」と話した。続けて「韓米の戦闘機は先に情報監視偵察(ISR)資産で取得した標的を最短時間内に打撃して敵の攻撃を事前に遮断・無力化する緊急航空遮断(X-INT)任務を遂行した」と説明した。
 その後韓国空軍のF35Aステルス戦闘機2機と米空軍のF16戦闘機3機が空中で集結し射撃場の敵の移動式ミサイル発射台を模した標的に向け精密誘導爆弾GBU12を投下して命中させ精密打撃能力を誇示した。
◇「1日平均100回出撃」
 しばらく物静かだった群山基地の上空で韓国空軍のFA50、KF16、KA1航空機と米空軍のA10航空機が相次いで飛来した。大規模防衛提供訓練(DCA)などを終えて復帰する戦力だった。空軍関係者は「訓練期間に韓米空軍は航空遮断(AI)、防衛提供(DCA)、緊急航空遮断(X-INT)、近接航空支援(CAS)など多様な戦術訓練をしながら1日平均100回ほど出撃している」と説明した。
 任務を終えた航空機の着陸が終わると今度は滑走路北端で米海兵隊のF35B戦闘機が姿を見せた。4機のF35B戦闘機が並んで誘導路に沿って取材陣の前を過ぎ滑走路南端に移動し、しばらくすると雄壮なエンジン音を吐き出しながら青空に向かって力強く飛び上がった。

◇リーパーの公開は初めて…北の首脳部狙う
 その後に続いて無人攻撃機MQ9リーパーも音もなく空に消えた。精密誘導爆弾(GBU-12)で敵の地上戦力を仮定した目標物を打撃するためだった。少し後に出撃したF35BとMQ9リーパーが有無人複合作戦を通じて敵の地対空脅威無力化任務を成功裏に終えたと伝えられた。
 MQ9リーパーの訓練場面が韓米訓練で取材陣に公開されたのは今回が初めてだ。米国は独自の武装を備えたリーパーを2018年に過激派組織イスラム国(IS)の指導者バグダディ容疑者、2020年1月にイラン革命防衛隊のソルレイマニ司令官らを暗殺する作戦などに投じている。
 そのほかにも韓国空軍KF16が2機、F15Kが1機、米空軍F16が2機、米海兵隊F35Bが1機、多数の低高速機と巡航ミサイル、無人機などの同時浸透に対応する複合的なシナリオを適用した訓練で第4~5世代戦闘である武器間統合任務遂行能力を強化することもした。
◇「即時強力に最後まで」態勢万全
 韓国側の訓練統制班長であるイ・サンテク第29戦隊長(大佐)は「韓米空軍は敵の挑発時にすぐ撃退できるよう戦闘準備態勢を完備している。即時、強力に、最後まで行動する軍の実現に向け万全を期したい」と話した。
 米国側訓練指揮官であるマイケル・マッカーシー米第8戦闘飛行団作戦戦隊長(大佐)は「韓米空軍が敵のいかなる挑発も即時撃退できる強力な連合戦力を現場で顕示するだろう」と話した。
 韓国空軍F35A操縦士のキム・ソンジュン少領(少佐)は「韓米操縦士間の緊密なチームワークを実感した。実戦訓練を経ていかなる敵の挑発にも圧倒的に対応できるという対敵必勝の自信ができた」と話した。
 米海兵隊F35Bの操縦士ジャスティン・ヘンリー大尉は「他国の飛行場で他の航空機とともに訓練するのは相互運用性や合同作戦能力を向上するのにとても重要だ」と話した。
◇韓米特戦司令部、空中浸透訓練
 一方、韓国陸軍特殊戦司令部は19日、前日に京畿道烏山(キョンギド・オサン)の飛行場で韓米特殊作戦部隊が合同空中浸透訓練をしたと明らかにした。これは韓半島有事時に備え空中で目標地域に浸透し仮想の標的を除去する訓練で、やはり北朝鮮政権首脳部を狙う目的とされる。
 今回の訓練には韓国陸軍と在韓米軍の特殊戦司令部将兵260人ほどが参加し、C17とC130J、C130H、CN235など輸送機8機が投入された。