NATO、16兆円規模のウクライナ軍事支援策を協議開始 | すずくるのお国のまもり

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お国の周りでは陸や海や空のみならず、宇宙やサイバー空間で軍事的動きが繰り広げられています。私たちが平和で豊かな暮らしを送るために政治や経済を知るのと同じように「軍事」について理解を深めることは大切なことです。ブログではそんな「軍事」の動きを追跡します。

◎16兆円規模のウクライナ軍事支援策 NATO、協議開始で合意

 

 

 北大西洋条約機構(NATO)は3日、ブリュッセルで外相会合を開き、5年間で約1000億ユーロ(約16兆4300億円)規模の新たなウクライナ軍事支援策について協議を開始することで合意した。ストルテンベルグ事務総長は会合後の記者会見で、「ウクライナに対し、長期にわたる安定的で予測可能な安全保障の支援が必要だ」と述べた。
 新たな軍事支援策は、11月の米大統領選でウクライナ支援に消極的な共和党のトランプ前大統領が勝利し、米国の支援が縮小した場合に備え、ストルテンベルグ氏が提案した。約1000億ユーロの支援額は公表されていないが、複数の外交関係者がロイター通信などに明かした。
 現在、米国が行っている西側諸国約50カ国からの武器や弾薬、装備などの供給の調整を、NATOが引き継ぐことなどを想定している。7月にワシントンで開かれるNATO首脳会議までの最終決定を目指す。
 ストルテンベルグ氏は会合後の会見で、「どのような形態の支援にするかは未定だが、計画の協議を開始することでは一致した」と述べた。
 ただ、NATOの軍事支援への関与が強化される内容となるため、最終決定に必要な加盟全32カ国の賛成が得られるかは不透明だ。
 支援の内容によっては、ロシアのプーチン政権に近いとされるハンガリーのオルバン政権などの反対が予想される。ハンガリー政府の報道官はX(ツイッター)に、「ハンガリー外相はウクライナへの武器提供や軍の訓練におけるNATOの調整的役割の拡大に反対し、この計画、実行、資金調達への参加を拒否した」と投稿した。
 またロイター通信によると、スペインのアルバレス外相は、現在加盟国がウクライナと2国間で実施している支援や欧州連合(EU)による支援との機能の重複を懸念し、イタリアのタヤーニ外相は、「支援がどのように実施されるのか、また各国の負担の配分などを検討する必要がある」と述べた。
 ロシア軍との前線に展開するウクライナ軍は現在、弾薬不足が深刻化しており、ウクライナ政府は安定的な武器供給の継続を西側諸国に求めている。
 一方、ロシア外務省のザハロワ情報局長は3日、NATOについて「今日、ロシアとの関係において、冷戦期の状況に戻った」とけん制した。【ブリュッセル宮川裕章】