米比軍事演習「バリカタン」が開始 | すずくるのお国のまもり

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お国の周りでは陸や海や空のみならず、宇宙やサイバー空間で軍事的動きが繰り広げられています。私たちが平和で豊かな暮らしを送るために政治や経済を知るのと同じように「軍事」について理解を深めることは大切なことです。ブログではそんな「軍事」の動きを追跡します。

◎米・フィリピンが合同軍事演習、南シナ海などで22日から3週間

 

 

[マニラ 22日 ロイター] - フィリピン軍と米軍は22日からフィリピンで年次合同軍事演習「バリカタン」を開始する。期間は5月10日までの約3週間で、両軍合わせて1万7000人近くの兵士が参加する。
 フィリピンが中国と領有権を争う南シナ海での海上訓練も含まれる。
 海上訓練は今回初めてフィリピンの領海外で実施され、フィリピンとの防衛関係を強化しているフランスとオーストラリアも参加する。
 中国は合同軍事演習が緊張を悪化させ、地域の安定を損なうとして非難してしている。
米比両軍は、台湾に近いフィリピン最北端の島々や、南シナ海に面したパラワン州西部で、敵に占領された島々を奪還するシミュレーションを行う。
 フィリピン軍の報道官は21日、演習は特定の国を標的にしたものではないと説明した。

 

◎「敵が占拠の島奪還」想定、初のEEZ内でも 米比の軍事演習が開幕

 

 

 米フィリピンの定例合同軍事演習「バリカタン」が22日、フィリピンで始まった。フィリピンの領海外に出て、中国と領有権を争うスプラトリー(南沙)諸島のある排他的経済水域(EEZ)内で海上演習をするほか、米軍の中距離ミサイル発射装置の配備訓練も行う。いずれも初の試みで、米比は中国への牽制(けんせい)を強めている。
 フィリピン軍によると、今回の演習は約1万6千人超の規模で5月10日まで。オーストラリアとフランスが正式参加し、日本や韓国、南シナ海で中国と領有権や海洋権益を争うベトナム、インドネシアなど14カ国もオブザーバー参加する。
 実地演習の場所は、台湾に近いルソン島最北部とスプラトリー諸島を管轄するパラワン州が中心だ。「敵対勢力に占拠された島々の奪還」を想定した訓練を含み、「敵艦」に見立てた船を撃沈させる実弾演習もある。
 高機動ロケット砲システム「HIMARS」、米国の統合防空ミサイル防衛(IAMD)も活用する。
 開幕に先立ち、フィリピン軍トップのロメオ・ブラウナー参謀総長は「軍の相互運用性と即応性を高めることが目的。海洋安全保障のため、軍事力強化への歩みを加速させる」と説明した。
 EEZ内での海上演習はパラワン州西部の海域で行い、フランス海軍とフィリピン沿岸警備隊も参加する。砲撃や船舶の拿捕(だほ)、救助捜索などの連携を確認するという。
 放送局GMAによれば、中距離ミサイル発射装置はルソン島北部の非公開の場所に設置された。今回の演習は空輸で陸上に配備できるかどうかをテストするもので、実弾演習は行わないという。
 ただ、装置には迎撃ミサイル「SM6」や巡航ミサイル「トマホーク」を搭載できる。配備場所によっては中国が実効支配するスカボロー礁などが射程に収まる可能性があり、中国との間で緊張が高まることは必至だ。
 フィリピン側担当者のマイケル・ロヒコ大佐は今月4日、地元メディアの取材に「国益を守るためには、12カイリ(領海)を超える必要がある」と強調。中国との緊張がさらに高まるのでは、との問いに対しては「それは彼らの問題で、我々の問題ではない」と答えた。
 米比は11日、日本を含めた初の3カ国首脳会談を開き、安全保障上の協力拡大で合意した。共同声明では中国が「危険で攻撃的な行動」を進めているとして「深刻な懸念」を表明していた。(バンコク=大部俊哉)

 

◎米軍とフィリピン軍の軍事演習「バリカタン」に自衛隊が本格参加へ…連携強化し中国けん制

 

 

 【ワシントン=向井ゆう子】米軍とフィリピン軍が実施する軍事演習「バリカタン」に、日本の自衛隊が本格的に参加する方向で調整していることが分かった。日米比3か国の連携を強化することで、南シナ海や台湾海峡で威圧的な行動を強める中国をけん制する狙いがある。複数の米比関係筋が明らかにした。
 安全保障分野での連携強化は、11日にワシントンで開かれる初の日米比首脳会談で主要な議題となる見通しだ。バリカタンは米比のほか、フランスやオーストラリアなどが参加。敵艦船を想定した高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」の発射訓練やサイバー戦、災害支援などの訓練を行ってきた。
 演習規模は拡大しており、昨年は過去最大の1万7000人以上が参加した。今月も南シナ海などで実施を予定している。自衛隊はすでにオブザーバーとして参加しており、本格参加となれば人数を増やし、より実戦的な演習を行うことができるようになるという。
 日比両政府は昨年11月、自衛隊とフィリピン軍の相互往来をスムーズにする「円滑化協定(RAA)」の交渉開始で合意し、協議を加速させている。年内に締結できれば、来年にも本格的な参加が可能になる。
 一方、フィリピンのホセ・マヌエル・ロムアルデス駐米大使は3日、オンラインで記者会見し、日米比首脳会談で、南シナ海の共同パトロールで合意する見通しだと明らかにした。軍と沿岸警備隊のそれぞれの枠組みで実施するという。首脳会談後に共同声明が出されるとも説明した。