中国軍「台北空爆」を想定 砂漠に台北中心部再現した軍事訓練施設 | すずくるのお国のまもり

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◎中国軍「台北空爆」を想定 砂漠に台北中心部再現した軍事訓練施設 衛星で確認

 

 

 中国の砂漠地帯にある軍事基地で、台北中心部を再現した訓練施設が建設されていることが、衛星画像からこのほど確認された。中国が侵略に向け、台北への空爆を準備しているとする台湾の国防専門家の見解を英紙デイリー・エクスプレスが伝えた。
 この仮想台北は、内モンゴル自治区・南西部にあるアルシャー盟の人里離れた軍事訓練場の真ん中で発見された。この場所には、台北にある総統府など、台湾中心部の政府庁舎などの実寸大の模型が実物通りに配置されていた。
 同紙によると、中国が自国の軍事基地にこのような模型を建設するのは初めてではなく、2014年には内モンゴル自治区の別の軍事基地にも、同様に総統府の模型が衛星写真に映っていた。
 また、2015年7月に放送された映像では、中国軍が総統官邸を模した建物に対する攻撃訓練の様子が明らかになった。だが、衛星写真を共有した台湾の国防アナリスト、ジョセフ・ウェン氏は、台湾の政治の心臓部である台北市博愛警備管制区全域への攻撃シミュレーションが用意されていることが分かったのは、今回が初めてだと指摘した。さらに同氏は、この模型が空爆や砲術の訓練場として機能していると示唆した。
 中国政府は台湾を領土の一部とみなしており、習近平指導部は、制圧のための武力行使を排除していない。
 世界の衛星写真を毎日配信しているプラネット・ラブ(Planet Labs)の衛星画像によると、これらの建物は2022年12月から存在していることが分かった。これについて台湾の邱国正(Chiu Kuo-cheng)国防相は、そのような攻撃シミュレーションはあり得るとし、台湾軍も同様の訓練を行う可能性を示唆した。
 中国はこれまでも、訓練施設で米空母など軍艦の模型を建造したことがある。米インド太平洋軍司令官ジョン・アキリーノ米海軍大将は米軍下院委員会で先日、中国は第2次世界大戦以来の規模で軍備を増強しており、2027年までに台湾への侵略の準備が整っていると述べた。
 一方、米ジャーマン・マーシャル財団アジアプログラム部長で、中国の外交・安全保障政策専門家ボニー・グレーザー氏は昨年10月、米紙ニューヨーク・タイムズに寄せた論文で、習国家主席は、「軍に対し、必要に応じて台湾を武力制圧する準備を2027年までに整えるよう指示し、中国は巨大な軍事力で台湾を脅し、中国支配に屈服させようとしている」と指摘。
 だがグレーザー氏は、ほとんど戦闘実績のない中国人民解放軍が台湾を占領、支配できるかどうかは、中国指導部内の重大な疑念だとしている。その疑念はロシアのウクライナ侵攻の失敗により、さらに増幅された可能性が非常に高いと分析している。