ウクライナ、ようやく数百万発の砲弾入手か | すずくるのお国のまもり

すずくるのお国のまもり

お国の周りでは陸や海や空のみならず、宇宙やサイバー空間で軍事的動きが繰り広げられています。私たちが平和で豊かな暮らしを送るために政治や経済を知るのと同じように「軍事」について理解を深めることは大切なことです。ブログではそんな「軍事」の動きを追跡します。

◎ウクライナ、ようやく数百万発の砲弾入手か 大砲の修理急ぐ

 

 

 ウクライナが長らく陥っていた弾薬不足から徐々に回復している中、ウクライナ軍の大砲はいま、かなり静かだ。砲弾を欠く事態は大方、米共和党のロシア寄りの議員らが原因だ。
 だが、ようやく砲弾がウクライナに届く。しかも大量にだ。そしてウクライナは大砲の再稼働に向けて準備を整えつつある。まず取りかかるのは、大半が米国から供与された数十門のけん引式榴弾(りゅうだん)砲M777の修理だ。ウクライナはようやくM777を国産の部品を使って自国で修理ができるようになった。
 ウクライナ軍の総司令官に就任したばかりのオレクサンドル・シルスキーは「これらの部品の一部をここウクライナで生産する体制を確立した」「特に、この榴弾砲の各装置を修理する際には、ウクライナ軍の必要に応じて国内企業が製造した部品やスペアパーツの40%が使用される」と語った。
 これは重要なことだ。損傷した外国製の兵器を修理のために他国に送ると、その兵器がウクライナに戻ってくるには時間を要し、場合によっては何カ月もかかる。例を挙げると、ウクライナ軍の旅団にレオパルト2戦車が足りないのは、外国の車両基地で修理に手間取っているためだ。
 M777を国外に送ったり、外国製部品の到着を待ったりするのではなくに、さらに悪いことに損傷した複数のM777から部品を取り出して別の破損したM777を修理するのではなく、国産の部品を使って国内で修理することで、ウクライナ軍はより多くのM777をより長く使えるようにしている。
 ウクライナは、米国を含む同盟国から少なくとも190門のM777を手に入れた。砲員5人で操作する重量5トンのM777は、2023年までにウクライナ軍が運用する大砲で最良かつ最も重要なものとなった。M777は重さ45kgの155mm砲をロケットモーターの助けを借りずに約29km先に打ち込むことができる。同軍のある砲手は米国支援の放送局ラジオ・フリー・ヨーロッパに「(最良なものである)理由は正確さだ」と語った。
 2年1カ月におよぶ激戦で、ロシア軍は主にドローン(無人機)と対砲兵射撃でウクライナ軍のM777を44門を破壊し、38門を損傷させた。その結果、ウクライナ軍が前線に配備しているM777の数はほぼ半減した。

 榴弾砲の不足はウクライナ軍の砲兵隊が直面する最大の問題ではない。最も悩ましいのは、ウクライナへの米国の追加支援を昨年10月から妨害している米下院のロシア寄りの共和党議員らだ。ウクライナ軍の大砲は以前、1日に1万発発射していたが、米国から砲弾が届かなくなったことでその数はわずか2000発になった。
 だが共和党は、権威主義的なロシアより民主主義のウクライナを支持すべきという強い圧力についに屈しつつあるかもしれない。マイク・ジョンソン下院議長は、ウクライナへの追加支援案を4月に採決にかけることを約束した。
 採決が行われれば、もしかすると米政府が数十万発にのぼる砲弾をウクライナに緊急に出荷する可能性がある。チェコ主導のコンソーシアムがウクライナのために購入した少なくとも100万発の砲弾が同国に到着するのと同じ頃に米国の砲弾も届き始めるかもしれない。ウクライナはまた、欧州連合(EU)が昨年供与を約束した100万発の砲弾のうち、残る数十万発を手に入れつつある。
 つまり、ウクライナは間もなく砲弾が潤沢になる可能性があるということだ。
 そうなればウクライナ軍の砲兵部隊は、安全に使えるすべての大砲を再配備したいはずだ。そこには損傷し、まだ大半が修理されていない38門のM777も含まれる。だからこそ、ウクライナがM777を国産部品を使って国内で修理し始めたことは、非常に大きな意味を持つのだ。