ロシア、北朝鮮に石油を継続供給 | すずくるのお国のまもり

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お国の周りでは陸や海や空のみならず、宇宙やサイバー空間で軍事的動きが繰り広げられています。私たちが平和で豊かな暮らしを送るために政治や経済を知るのと同じように「軍事」について理解を深めることは大切なことです。ブログではそんな「軍事」の動きを追跡します。

◎ロシア、今月だけで少なくとも5回北朝鮮に石油を供給…「国連制裁正面攻撃」

 

 

 北朝鮮がウクライナ戦争に使う軍需品を提供するなどロシアとの軍事協力を強化している中で、今月だけで少なくとも5隻のタンカーが北朝鮮とロシアを行き来したことが明らかになった。
 26日(現地時間)、フィナンシャル・タイムズ(FT)は英国シンクタンク「王立防衛安全保障研究所(RUSI)」の衛星写真を単独入手し、3月だけで少なくとも5隻の北朝鮮タンカーがロシア極東ボストチヌイ港から石油を積み出したと伝えた。衛星上、ボストチヌイ港から北朝鮮清津(チョンジン)港に移動して荷物の積み下ろしをしたことが確認された。3月7日、10日、13日、14日、22日など合計5回往復した。ボストチヌイ港を行き来しながら国際法上、海上で必ずつけておかなければならない船舶位置発信装置も消して航行していたことが明らかになった。
 該当の船舶のうち「ペクヤンサン1号」は国連が2018年北朝鮮の石油密輸にかかわったと把握した船舶だ。RUSIのジョセフ・バーン(Joe Byrne)研究員は「国連の北朝鮮制裁名簿に入った船舶は石油輸送だけでなく外国港入港自体も許可されていない」と指摘した。
 北朝鮮が今年ロシアから輸送した石油規模は具体的に確認されていないなかった。RUSIは問題の船舶が今月移動させた量だけで12万5000バレルにのぼり、国連が定めた年間上限の4分の1に達すると推定している。
 FTはロシアが北朝鮮に海上で石油を直接供給したのは2017年国連安全保障理事会(安保理)制裁以降初めてだと伝えた。安保理の北朝鮮制裁決議は北朝鮮の精製油輸入量を年間50万バレルに制限している。また、北朝鮮に精製油を供給した国家に毎月30日まで前月の供給量を報告させている。北朝鮮に石油を供給しているのは主に中国で、ロシアは国連に2020年8月以降、北朝鮮に石油を供給していないと報告した。
 元安保理北朝鮮制裁委員会専門家パネル調整官のヒュー・グリフィス氏は「北朝鮮とロシアのこのような石油取引は崩壊寸前の国連北朝鮮制裁システムに対する正面攻撃」としながらロシアが国連制裁を無視して北朝鮮に直接石油供給を開始し、北朝鮮を牽制(けんせい)しようとする国際的な取り組みを壊していると懸念した。