◎ロシア軍、ウクライナのインフラ施設を大規模攻撃 最大級ダムも

 

 

 ロシアの侵攻が続くウクライナで22日、南部ザポロジエにある国内最大級のダムを含むインフラ設備に集中的な攻撃があり、ウクライナメディアによると、少なくとも5人が死亡、31人が負傷した。ダムの水力発電施設が損壊し、100万人以上が停電の影響を受けた。ウクライナは3月に入ってロシアの石油精製施設を無人航空機(ドローン)で相次いで攻撃しており、インフラ施設への攻撃の応酬が激化している。
 ウクライナからの報道によると、ロシアはウクライナ東部ハリコフ、ドニプロペトロフスク、南部ザポロジエ各州などをミサイル88発とイラン製ドローン63機で攻撃した。ウクライナ空軍はミサイル37発とドローン55機を撃墜したが、発電や送電などインフラ施設に大きな被害が出た。
 国内最大級のドニプロ水力発電所では火災が発生し、発電施設の一部の稼働が停止した。ただ、ダムが決壊する恐れはないという。国際原子力機関(IAEA)によると、ロシア軍が占拠するザポロジエ原発でも、主要な電力供給線が約5時間にわたって停止した。予備の電力供給線を使って稼働は続けた。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は、米国による軍事支援の停滞を念頭に「判断を先延ばしにすることによる代償を理解することが重要だ。市民やインフラを守るために防空システムが必要だ」と訴えた。【ワシントン秋山信一】