◎モスクワ郊外のコンサート会場で武装集団が銃乱射、６０人死亡・１４５人負傷か…タス通信
タス通信などによると、ロシアの首都モスクワ郊外のコンサートホールで２２日夜（日本時間２３日未明）、武装集団が観客を銃撃した。ロシアの情報機関「連邦保安局」（ＦＳＢ）などは、少なくとも６０人が死亡し、１４５人以上が負傷したと発表した。露当局はテロと断定し武装集団の行方を追っている。ロイター通信はイスラム過激派組織「イスラム国」がＳＮＳ上で犯行声明を出したと伝えた。
銃撃は、モスクワの北西に位置するクラスノゴルスクの「クロクス・シティ・ホール」で、ロックバンドによる公演前に始まった。迷彩服を着た集団がステージなどに乱入し、銃撃を始めた。武装集団は５人との目撃情報がある。
爆発音に続いて、火災も発生し、推定１万３０００平方メートルを焼いたという。ロシア通信などによると、会場の屋根は崩壊し、露メディアは約１００人が地下から避難したと報じた。逃げ遅れて下敷きになった人もいるとみられており、犠牲者は増える恐れがある。
ＳＮＳには、武装集団が会場内や入り口近くで銃を乱射し、多数の負傷者が出ている様子を収めた動画が投稿されている。会場は６２００人収容だった。
ロシアのペスコフ大統領報道官は地元メディアに、プーチン大統領が定期的な報告を受けており、必要な措置を取っていることを明らかにした。数日間、モスクワなど大都市や周辺での大規模な公共イベントは中止され、美術館や劇場なども閉鎖される。
武装集団の詳細や動機は、明らかになっていない。露治安当局は、現場を走り去った車の行方を追っている。
「イスラム国」の犯行声明に先立ち、メドベージェフ前大統領はＳＮＳに、武装集団について投稿し、「ウクライナに関係するテロリストだと判明すれば、政府高官も含め、容赦なく無力化しなければならない」と指摘した。
ロイター通信によると、ウクライナのミハイロ・ポドリャク大統領府顧問はＳＮＳでウクライナの関与を否定した。米国のジョÐン・カービー大統領補佐官も記者会見で、「ウクライナやウクライナ人が関与したことを示すものはない」と述べた。
ロシアでは２００２年１０月、ロシアからの独立を目指していた南部チェチェン共和国の武装勢力がモスクワの劇場を襲撃し、人質約１３０人が死亡した。１７年４月には第２の都市サンクトペテルブルクの地下鉄で自爆テロが起きた。
「イスラム国」は１５年１０月、エジプト東部シナイ半島上空で露航空会社のチャーター機が爆発し、乗員乗客２２４人が死亡した事件で、犯行声明を出している。
