NATO、加盟国の国防費支出が11%拡大 | すずくるのお国のまもり

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◎NATO、加盟国の国防費支出が11%拡大 中露など専制勢力への対抗積極化

 

 

【ロンドン=黒瀬悦成】北大西洋条約機構(NATO)は14日、2023年の年次報告書を発表した。22年2月からのロシアによるウクライナ侵略を受けて加盟国は引き続き軍事力の強化に取り組み、国防費支出は22年比で11%拡大した。国防費の支出を国内総生産(GDP)比の2%以上に増やす目標を23年に達成したのは、加盟31カ国(23年当時)中11カ国だったが、24年初頭に計18カ国に増加したとしている。
 報告書「加盟国は自己満足に陥ってはならない」
 報告書は、ウクライナ戦争を受けて加盟国の間で国防強化への切迫感が高まったとした上で「加盟国は自己満足に陥ってはならない」と訴え、NATOが引き続き国防費の拡大と集団防衛態勢の強化を進めていくことを確認した。
 2%目標が設定された14年当時の達成国は3カ国。全ての加盟国が2%を達成する具体的な見通しには言及しなかった。
 国防費の20%以上を主要兵器の生産や先端兵器の研究・開発に充当させるとした14年設定の目標については、同年の達成国は7カ国だったのが23年は28カ国に増加したとしている。
 NATOのストルテンベルグ事務総長は報告書の中で、加盟各国は中国を含む専制主義勢力との一層大規模な競争に直面していると指摘。ロシアのプーチン体制がウクライナ侵略戦争で勝利すれば「世界の専制指導者らに『戦争と暴力で目的は達成できる』との危険なメッセージを送ることになる」とし、「NATOはウクライナを支援し続ける」と言明した。
 ウクライナ加盟、早期実現を図る
 ウクライナのNATO加盟について、報告書は「全ての加盟国が加盟に同意している」とし、通常は加盟希望国に義務付ける「加盟行動計画」(MAP)の履行手続きを昨年に免除するなど、加盟の早期実現を図っていると強調した。
 また、ストルテンベルグ氏は中国について「私たちと価値を共有せず、利益に挑戦し、ロシアとの同調姿勢を強めている」と批判し、NATOがインド太平洋地域でパートナー国の日本や韓国、オーストラリア、ニュージーランドと連携を深めていくとした。
 報告書によると、NATOは中国への対応でハイテク分野などのサプライチェーン(供給網)での対中依存度を検証するとともに、同盟国の分断を図る中国の工作への対策強化を急いでいる。NATOは22年公表の戦略概念で中国が「深刻な挑戦」を突き付けていると初めて言及していた。