金正恩総書記が戦車兵大連合部隊の対抗訓練競技を指導 | すずくるのお国のまもり

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◎金正恩総書記が朝鮮人民軍戦車兵大連合部隊間の対抗訓練競技を指導

 

 

【平壌3月14日発朝鮮中央通信】朝鮮労働党総書記で朝鮮民主主義人民共和国国務委員長である敬愛する金正恩同志が3月13日、朝鮮人民軍戦車兵大連合部隊間の対抗訓練競技を指導した。
 朝鮮労働党中央委員会書記である党中央軍事委員会の朴正天副委員長が同行した。
 敬愛する金正恩総書記を現地で、強純男・朝鮮民主主義人民共和国国防相、李永吉・朝鮮人民軍総参謀長と国防省の装備担当次官朝鮮人民軍総参謀部の戦車局長、朝鮮人民軍戦車兵大連合部隊の指揮官たちが迎えた。
 朝鮮人民軍の各級戦車、機械化部隊の指揮官たちが訓練競技を観戦した。
 訓練競技は、戦車兵たちの実戦能力を厳格に検閲し、相違なる戦術的任務に応じた戦闘行動方法を熟練させるのに目的を置いた。
 訓練競技には、各戦車兵大連合部隊で選抜された戦車乗組が参加した。
 金正恩総書記に自分らの戦闘行動ぶりを見せるようになった喜びと誇りに満ちて訓練競技場に出た戦車兵たちの胸には、朝鮮労働党が点じた訓練革命の炎の中で鉄馬の堂々たる主人としてたくましく準備してきた「一当百」の戦車兵の英知と勇猛を遺憾なく誇示するという戦闘的信念が強く湧き上がっていた。
 金正恩総書記は、監視台に上がって戦車兵大連合部隊間の対抗訓練競技進行計画に関する報告を受けて競技を注視した。
 対抗競技が始まると、敵撃滅の戦闘精神に満ちた戦車兵たちの勇敢な意気込みがそのまま戦車の轟音につながり、無敵の各戦車が一斉に力強く突進した。
 さまざまな最悪の戦闘状況の競技走路を速いスピードで走りながら重い各戦車は、強力な打撃で目標を一撃のもとに掃滅し、高い機動力で堅固な防御界線を克服した。
 金正恩総書記は、地心を揺るがしながら疾風のごとく突き進む各鉄馬の熾烈な進撃の姿を満足げに眺めながら、本当に壮観である、わが軍隊の気質的な勇敢さと胆力が力強く前進するあの各戦車の壮大な気概に全て凝縮しているようであると喜びに満ちて述べた。
 対抗競技は、高い機動力と打撃力を備えた強い戦闘隊伍にたくましく成長していく勇敢な戦車兵たちの完璧な実戦能力と無比の戦闘精神、そして戦争遂行の威力ある手段の一つである戦車の頼もしい性能と経常的戦闘動員準備態勢を力強く誇示した。
 競技では、近衛ソウル柳京守第105戦車師団が圧倒的な実力で優勝を獲得した。
 金正恩総書記は、第105戦車師団の競技成果を祝いながら、師団の戦車兵たちが本当に立派に準備されている、今まで人民軍の各軍種、兵種、専門兵部隊、区分隊の訓練を多く指導したが、今日の戦車兵たちの準備程度を一番満足に思う、全軍の全ての部隊、区分隊が今日の対抗競技に参加した第105戦車師団管下区分隊のように準備ができていても戦争準備に対しては安心することができると、重ねて大満足の意を表した。
 金正恩総書記は、近衛ソウル柳京守第105戦車師団は敵の首都を占領した誇らしい歴史があり、伝統がある部隊である、戦火の近衛戦車兵たちの不屈の精神と英雄的気概がこんにち、新世代の戦車兵たちの戦闘精神にもそのまま高鳴っているのが何よりもうれしいと述べ、師団の勇敢な戦車兵たちを高くたたえた。
 金正恩総書記は、今日、戦車兵対抗競技で初めてその驚くべき戦闘的性能を誇示しながら姿を現した新型主力戦車が極めて優れた打撃力と機動力を立派に見せたことにも満足を禁じえず、わが軍隊が世界で一番威力ある戦車を装備するようになるのは大きく自負するに値することであると述べた。
 金正恩総書記は、高度の臨戦態勢を堅持し、戦車部門の戦争動員準備に総力をあげている戦車兵大連合部隊の将兵の献身と努力を再び高く評価し、高揚した闘争気勢を一層非常に高調させて戦争準備完成の飛躍的な成果につないでいくことに関する綱領的課題を示した。
 金正恩総書記は、現代戦で戦車兵が占める役割と任務の重要性について強調しながら、有事の際、相違なる状況の下で任意の戦闘任務も迅速かつ正確に遂行できるように戦闘能力向上のための実戦訓練と訓練競技を強力に手配して行い、万能乗組運動をはじめとする各種の大衆運動を戦争準備完成に徹底的に服従、志向させて力強く繰り広げていくための革命的な対策を立てることについて述べた。
 金正恩総書記は、無敵の勇猛で誇らしい偉勲のみを立ててきた戦火の英雄戦車兵たちのように全軍の全ての戦車兵を精神力の最強者に準備させるのが何よりも重要であると述べ、各級戦車兵部隊、区分隊で前の世代の英雄的武勲をこんにちの戦場でも力強くとどろかすための思想教育活動を実践活動と結び付けて一貫して行うことについて教えた。
 金正恩総書記は、われわれの勇敢な戦車兵たちが確固たる対敵意志に満ち、「一当百」の鉄拳をよりたくましく研ぎ澄ませるための闘いにいつも忠実であることで戦闘力ある鉄甲隊伍の勇敢な気概を引き続き力強く発揮していくものとの期待と確信を表明した。
 金正恩総書記は、対抗訓練競技に参加した大連合部隊別戦車乗組を査閲しながら戦車兵たちを鼓舞、激励した。
 訓練場で栄光の軍旗と共に立ち並んで偉大な総帥の査閲を受け、大いなる信任と鼓舞を受けた戦車兵たちは、金正恩総書記に限りない感謝のあいさつを謹んでささげた。
 金正恩総書記は、各戦車乗組を査閲した後、自ら新型主力戦車に乗って操縦桿をしっかり握りしめて直接戦車を運転しながらわが軍隊の戦車兵たちの天をつくような戦闘的士気と気勢を一層高揚させ、確たる対敵観、戦争観を深く刻み付けさせた。
 全ての戦車部隊の将兵は、百戦百勝の鋼鉄の総帥の勇姿を仰ぎながら万歳の歓呼の声を上げた。
 全ての戦車部隊の将兵は、金正恩総書記が与えた無比の胆力と満々たる度胸を固く刻み付け、無敵の鉄馬を疾風のごとく突き進ませて進撃路を先頭に立って切り開く真の兵(つわもの)にさらにたくましく準備していくという燃えるような決意を固めた。
 金正恩総書記は、対抗訓練競技で圧倒的な成績で優勝した近衛ソウル柳京守第105戦車師団の戦車兵たちと共に歴史に末永く残る意義深い記念写真を撮った。
 人民軍指揮メンバーと訓練競技参加者は、自ら訓練場に不滅の偉大な足跡を刻みながら大いなる栄光と信頼を施し、戦闘的気概と勇猛の翼をつけてくれた金正恩総書記に永遠に忠誠を尽くすという誓い、祖国と人民のために滅私奉仕するという信念の誓いを立てた。---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎北朝鮮の新型戦車、金正恩委員長の自慢どおり「世界で最も威力ある戦車」なのか

 

 

 4~14日に実施された韓米合同練習である「自由の盾(フリーダムシールド)」に対抗し、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国防委員長兼労働党総書記は、韓国を対象とする軍事訓練を3月だけで5回現地指導した。
 北朝鮮の5回にわたる訓練は、段階的に程度を高める方式で実施された。
 6日の西部主要作戦訓練基地での実働訓練は、最前線の韓国軍監視警戒所(GP)への攻撃、7日の大連合部隊砲射撃訓練では首都圏砲撃、13日の戦車部隊訓練はソウル占領、15日の航空陸戦兵部隊(空輸部隊)の訓練は韓国後方への浸透、18日の超大型放射砲発射はソウルと軍事力構造の崩壊を狙った。
 これは、朝鮮半島での実際の戦争勃発・展開状況を目的とする訓練だ。有事の際には休戦ライン近くの韓国軍GPへの攻撃、長射程砲による首都圏砲撃で韓国軍の防衛ラインを崩壊させて道を開き、戦車部隊が前線を突破して戦果を拡大し、ソウルに向かって走り縦深を強打するというシナリオだ。さらに、北朝鮮の空輸部隊が韓国の後方に浸透して混乱と不安を高め、超大型放射砲(短距離弾道ミサイル)がソウルの主要施設を破壊する。
 昨年12月30日の朝鮮労働党全員会議で、朝鮮労働党の金正恩総書記が「南朝鮮の全領土を平定するための大事変の準備に引き続き拍車をかけていく」と言及した後、北朝鮮軍はこれを具体的な作戦計画に合わせて訓練した。核兵器だけでなく、砲兵や戦車のような通常兵器の戦力でも韓国を圧倒できるという自信を誇示したのだ。
 特に、13日の戦車部隊の訓練の際には、金委員長が自ら新型戦車に搭乗したことが注目を集めた。労働新聞は金委員長が「新型主力戦車が非常に優れた打撃力と機動力を立派に示したことに満足され、わが軍隊が世界で最も威力ある戦車を装備することになったことは強く自負するだけのことだとおっしゃった」と報じた。この「新型主力戦車」は、2020年10月の労働党創建75周年慶祝軍事パレードの際に初公開されたが、実戦配備されたという意味だ。
 戦車訓練には「近衛ソウル柳京守105戦車師団」も参加した。金委員長は「近衛ソウル柳京守105戦車師団は敵の首都を占領した誇るべき歴史があり、伝統ある部隊」だとしたうえで、「全軍すべての部隊・区分隊が、今日の対抗競技に参加した105戦車師団管下の区分隊のように準備さえすれば、戦争の準備については安心できる」として満足を示したと、労働新聞が報じた。
「近衛ソウル柳京守105戦車師団」は、朝鮮戦争の際にソウルの防衛ラインを突破して一番最初にソウルを占領した北朝鮮の戦車部隊だ。本来は第9戦車旅団だったが、ソウル占領の戦功によって「105戦車師団」に昇格し、占領地である「ソウル」と「近衛」の称号が付き、「近衛ソウル105戦車師団」になった。その後、当時の師団長だった柳京守(リュ・ギョンス)の名前も追加され、現在のように「近衛ソウル柳京守105戦車師団」になった。この部隊の名称は、朝鮮戦争期に北朝鮮の戦車に抵抗もできずソウルを奪われたトラウマを思い起こさせる。
 金委員長の自慢のとおり、北朝鮮の新型戦車が「世界で一番威力ある戦車」なのだろうか。既存の北朝鮮の戦車に比べ、攻撃力と防御力が相当程度向上したことは事実だ。
 この戦車は、北朝鮮の既存の戦車に比べ、車高は低くなり、車体が長くなった。戦車に向かって飛んでくるミサイルと砲弾を迎撃する技術である「アクティブ防護システム」(APS)を備えた。戦車の防御力と生存力を高めるこうした設計方式は、韓国、米国、ロシアと中国の新型戦車がすでに採用している技術だ。
 北朝鮮の新型戦車は、現代の戦車ではなかなかみられない対戦車ミサイルを砲塔の右側に装着した。韓国国防研究院のシン・スンギ研究委員は「北朝鮮の新型戦車の戦車砲の有効射程距離と貫通力が、韓国のK2戦車「黒豹」などの主力戦車に比べて劣る、あるいは砲塔の前面装甲が韓国軍の主力戦車の戦車砲の有効射程距離内で貫通する可能性が高いということを示唆している」と分析した。北朝鮮の新型戦車が、韓国の主力戦車に比べて装甲の防御力と戦車砲の破壊力が劣り、戦車砲の有効射程距離内での戦車同士の交戦で不利であるため、戦車砲の有効射程距離外で攻撃する対戦車ミサイルを別途備えたということだ。
 北朝鮮の新型戦車は、経済難と経済制裁のもとでの実戦では燃料不足に直面するとみる分析もある。米海軍分析センターのケン・ガウゼ局長は「北朝鮮の戦車が直面しうる最大の問題は、遠くに移動可能な燃料を確保すること」だとし、「北朝鮮には燃料が十分にないため、あまり動かない範囲内での防御的な働きしかできないだろう」した。14日、自由アジア放送との電話インタビューで語った報じられた。
 「作戦は戦闘を勝利に導き、軍需は戦争を勝利に導く」という軍事格言がある。
 戦場で装備が本来の役割を果たすには、燃料が必須だ。燃料(石油)は戦車の機動力と戦闘力に直結する。戦車は石油を大量に消費する。世界各国の主力戦車の燃費は燃料1リットルあたり200~400メートルほどだ。実戦の状況下では燃費はさらに低い。湾岸戦争当時、63トンの重量の米軍戦車M1A2は、燃料1リットルで50メートル走行したという証言もある。
 北朝鮮は経済難に経済制裁が重なり、石油の確保が難しい状況だ。韓米の情報当局は、全面戦争が発生する場合、韓国と米国の攻撃によって石油保管施設が破壊され、北朝鮮軍の装備はきわめて制限的に稼動せざるをえなくなるとみている。北朝鮮に対する経済制裁が本格化する前の2006年に公開された米国ノーチラス研究所の「北朝鮮軍の戦時燃料需給能力シミュレーション」の結果によると、開戦24時間で北朝鮮の航空作戦は不可能になり、5日以内に海軍の艦艇の稼動が中断され、備蓄燃料が完全に失われれば、北朝鮮軍の装備の3分の2が止まると予測した。同研究所は、北朝鮮はエネルギー事情のため長期戦を行うことはできず、戦争が起きた場合には短期間で決着をつけることになると予想した。
 北朝鮮の新型戦車の性能と北朝鮮の戦争遂行能力を考えれば、「世界で最も威力ある戦車」という金委員長の願いは、当分の間は実際には希望事項に近いとみられる。
クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )