◎ハーフライフルの所持厳格化、銃刀法改正案を閣議決定…都道府県通知で「特例」も
政府は1日、手製銃や猟銃の規制強化を柱とする銃刀法改正案を閣議決定した。安倍晋三元首相銃撃事件や、長野県で4人が殺害された猟銃発砲事件を受けた対応で、今国会に提出する。猟銃の一種「ハーフライフル銃」については、獣類の被害防止への影響を考慮し、特例を設けて対応する。
〇規制強化の対象となるハーフライフル銃
現在の銃刀法で規制対象としている「銃砲」は、拳銃や機関銃などの「拳銃等」と、「猟銃」、「その他の銃(空気銃など)」の3類型に大別され、それぞれ罰則などが異なる。
改正案では、最大で無期懲役を科す「発射罪」の対象を現行の「拳銃等」だけでなく猟銃やその他の銃にも拡大する。「所持罪」は現行の罰則が「5年以下の懲役」の猟銃と、「3年以下の懲役」のその他の銃について、人の殺傷が目的の場合は刑を加重する。
ネット上に銃の製造法を投稿し、不法所持を呼びかけるような行為も禁じる。安倍氏の事件で起訴された被告がネット動画を見て銃を作ったとされるためで、罰則は1年以下の懲役または30万円以下の罰金とする。
このほか、ライフル銃の定義を変更し、長野の事件で使われた「ハーフライフル銃」についても、猟銃の所持歴10年以上などとするライフル銃の厳格な許可基準を適用する。
ただ、ハーフライフル銃は、ライフル銃より射程が短く、ハンターの「入門銃」とされており、北海道や関係団体からヒグマやエゾシカなどの駆除への影響を懸念する声が上がっていた。
このため、都道府県が「獣類による被害防止のためハーフライフル銃による捕獲が必要」とする通知を警察に出していれば、ハンターが対象の地域と獣を申告することで、1年目から取得できる特例などを設けることにした。