◎ウクライナ、ロシアが夏までに防御を突破する恐れを懸念-関係者
ウクライナ政府内部の戦況分析、暗さ増す-攻撃撃退難しく
プーチン氏はキーウやオデーサ制圧を依然狙う-ウクライナ情報当局

 

 

 ウクライナ政府当局者は、支援国が弾薬の供給を増やせなければロシアの進軍が著しく勢いを増す恐れがあると懸念している。ウクライナ側の分析に詳しい関係者が述べた.
 ウクライナ政府内部の戦況分析は暗さを増すばかりだ。利用できる弾薬数は制限され、ウクライナ軍はロシアの攻撃を撃退することが難しくなっている。
 ウクライナ軍のシルスキー総司令官は29日、今月に入りロシア軍に占領されたアウディーイウカについて、前線指揮官のミスが同所周辺を守る上での問題を悪化させたと指摘。兵士と弾薬をさらに送り、ウクライナ軍の陣地を強化すると語った。
 死活的に重要な米国からの支援が滞る中でロシアが戦争の主導権を取り戻し、ウクライナとその支援国では悲観的な見方がここ数週間強まっている。アウディーイウカとその周辺のいくつかの村が陥落したことも、ウクライナの防御が持ちこたえられないかもしれないとの不安を後押ししている。
 こうした損失を、ウクライナ支援国は警鐘としならなければならないと、欧州の当局者は述べた。
 カーネギー国際平和財団のロシア・ウクライナ専門家、マイケル・コフマン氏は「今年はウクライナが戦争で負け始める年になり得る」とポッドキャストで警告した。
 非公表の問題を話しているとして匿名を要請した関係者によると、ロシアのプーチン大統領はキーウやオデーサを含むウクライナ主要都市を制圧するという当初の目標をあきらめていないと、ウクライナ情報当局は分析している。
 ロシア軍がオデーサに到達すれば、ウクライナにとって極めて重要な黒海経由で穀物を輸出するルートが断たれ、ロシアは親ロシア派が一部地域を支配するモルドバまで地続きで占領地を広げられる可能性が開ける。モルドバ東部のトランスニストリアは28日、ロシアに政治的な支援を呼び掛けた。
 ウクライナ指導部に近い関係者によると、ロシアは現在の攻勢の結果次第で、ゆっくりとした進軍を継続するか、より激しい攻撃を仕掛けて今夏にウクライナの防衛線を破るため資源を蓄えるかを決めるだろうという。
 プーチン氏は29日に議会で行った年次教書演説で、侵攻開始当初に設定した目標の達成を引き続き計画し、目標は2022年から変わっていないと強調した。