◎北朝鮮の「兄弟国」キューバと韓国が国交樹立 妨害工作を警戒し公表タイミングも分単位で調整
【ソウル＝上野実輝彦】韓国政府は14日、キューバとの国交を樹立したと発表した。共産主義国であるキューバは北朝鮮と良好な関係を築き「兄弟国」と呼ばれてきたが、韓国が両者の連携にくさびを打ち込んだ形。国交樹立交渉は、北朝鮮の反発を懸念し秘密裏に進められてきたという。
◆キューバの革命後に国交断絶
米ニューヨークにある韓国、キューバ両国の国連代表部が14日、文書を交換した。今後、在外公館開設などを進める見通し。両国は1959年のキューバ社会主義革命後から国交を断絶していた。
キューバは60年に北朝鮮と国交を結び、互いに共通する反米・社会主義路線を軸に交流を深めてきた。フィデル・カストロ元国家評議会議長ら国家元首が訪朝してきたほか、核・ミサイル開発で国際社会から孤立する北朝鮮を支持。北朝鮮側も、金正恩（キムジョンウン）朝鮮労働党総書記が今年1月に革命65周年の祝電をキューバ大統領に送るなど、友好関係維持に努めてきた。
北朝鮮に強硬的な尹錫悦（ユンソンニョル）韓国大統領には、キューバとの国交樹立で北朝鮮に圧力をかける狙いがあるとみられる。90年代末から韓国とキューバの関係は改善が進み始め、聯合ニュースによると、尹政権は発足後から水面下で国交正常化に向けた協議を進めてきた。
◆北朝鮮は反応なし
北朝鮮による妨害工作を避けるため、交渉の過程は少数でしか共有せず、発表のタイミングも分単位で調整したという。今月上旬にキューバ側から積極的な協議の意向が伝えられたといい、韓国メディアは「電撃的な国交樹立」などと伝えている。
15日の朝鮮中央通信によると、朝鮮労働党幹部は14日「わが党と国家は、社会主義国家との団結と協力を強化していく」と述べたが、キューバに関する直接の反応は示していない。
