韓国統一相、拉致被害者の情報、脱北者から新たに収集し日本と共有 | すずくるのお国のまもり

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◎拉致被害者の情報、脱北者から新たに収集し日本と共有…韓国の統一相に単独インタビュー

 

 

 【ソウル=小池和樹、依田和彩】韓国政府で対北朝鮮政策を統括する 金暎浩キムヨンホ 統一相が8日、ソウルで読売新聞の単独インタビューに応じた。北朝鮮から逃れて韓国入りした脱北者から、日本人拉致被害者に関する情報収集を新たに行う方針を明らかにした。得られた情報は日本政府と共有するという。
 保守の 尹錫悦ユンソンニョル 政権の2人目の統一相。昨年7月に就任して以降、日本メディアによるインタビューは初めて。日韓の連携強化に意欲を示しており、日本人拉致被害者に関する新たな情報がもたらされる可能性も出てきた。
 韓国には昨年196人の脱北者が入国した。金統一相によれば、統一省傘下の「北朝鮮人権記録センター」が脱北者に人権状況の実態を聞き取る調査を実施している。その際、拉致被害者の目撃情報なども質問項目に入れているという。
 韓国人拉致被害者の調査に力点を置いてきたため、被害者の国籍を問う質問は「韓国」か「その他」の2通りだった。「今後は『日本』を加え、私たちが調査する。(情報があれば)日本と共有する」という。
 日米韓首脳は昨年8月、米キャンプデービッドで会談した際、拉致などの北朝鮮の人権問題で協力を強化することで合意した。金統一相は、日本人拉致被害者の情報共有について「合意の精神を忠実に履行する方策の一つだ」と説明した。日韓の拉致被害者らの救出に向け、日本の関係機関と協力態勢を構築する計画もあると明らかにした。
 一方、北朝鮮は昨年末から、韓国との平和統一政策を放棄したと表明したのに続き、今年1月には3日連続で黄海の北方限界線(NLL)付近で砲撃を行うなど強硬姿勢を示している。韓国で4月に総選挙、米国で11月に大統領選挙を控える中、北朝鮮は引き続き「軍事的な挑発を行う可能性が非常に高い」との見通しを示した。NLL付近や非武装地帯(DMZ)などでの挑発が想定されるという。
 金統一相の姿勢は、北朝鮮に対する融和路線を取った左派の 文在寅ムンジェイン 前政権の対応と一線を画している。韓国独自の軍事力と米韓同盟、日米韓連携の強化を通じ、「確固たる抑止体制を構築することだけが、朝鮮半島の平和を維持する道だ」と語った。
◆ キム・ヨンホ氏 =国際政治学者。2011~12年、保守の李明博(イ・ミョンバク)政権で大統領府統一秘書官。15年から慶応大の訪問教授を半年間務めた。ソウルの誠信女子大教授を経て昨年7月から現職。64歳。