◎米軍、フーシ派ミサイルを破壊-ロシア産燃料運ぶタンカー被弾後
「差し迫った脅威」となっていた対艦ミサイルへの攻撃実施-中央軍
イエメン沖航行中に被弾したタンカーはロシア産ナフサを運んでいた
ロシア産燃料を運んでいた石油タンカーがイエメン沖を航行中にミサイルに被弾した数時間後、米軍はイエメンの親イラン武装組織フーシ派の対艦ミサイルを攻撃で破壊した。米中央軍がX(旧ツイッター)への投稿で明らかにした。
中央軍によると、フーシ派が紅海に向け対艦ミサイルの発射を準備し、この海域の商船と米海軍艦船に対する「差し迫った脅威」となっていたため、攻撃でミサイルを破壊した。
この数時間前、フーシ派は大手資源商社トラフィグラ・グループの委託でロシア産ナフサを運んでいた石油タンカー「マーリン・ルアンダ」をミサイルで攻撃したと表明。同組織による石油タンカーへの攻撃としてはこれまでで最大規模だった。
トラフィグラはロンドン時間27日正午にウェブサイトに掲載した資料で、「マーリン・ルアンダの乗組員は全員無事で、貨物タンクは完全に消火した」と説明。「船は現在、安全な港に向かって航行中だ」とした。
積載していたロシア産ナフタは、主要7カ国(G7)の対ロシア制裁で設定された上限より低い価格で同社が購入したものだという。
石油価格の国際指標であるブレント原油は2カ月ぶり高値に上昇した。
マーリン・ルアンダへの攻撃を受け、石油タンカーが今後も紅海を通航するかどうか新たな疑問が生じる可能性がある。米英軍による今月のフーシ派の軍事拠点への空爆後、この海域でタンカー通航量は減ったが、サウジアラビアを含む一部の石油輸出国は紅海ルートを利用し続けている。
ロシア産燃料を積んでいた船舶が狙われたことをロシア政府は懸念する公算が大きい。大量のロシア産石油が紅海南部を通じてアジアの買い手に届けられているためだ。フーシ派のスポークスマンは以前、ロシア紙イズベスチヤに対し、航海を通航するロシアと中国の船舶は安全だと語っていた。