イランが新型ミサイルを実戦で誇示 | すずくるのお国のまもり

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◎イランが新型ミサイルを実戦で誇示、イスラエルも射程に収める可能性

 

 

 イランが国境をまたいだミサイル攻撃を相次ぎ実施している。今週には敵視するイスラエルを直接攻撃し得る兵器を実戦で初めて導入し、新たな長距離兵器の威力をみせつけた。
 イラン革命防衛隊は同国南西部から精密誘導弾道ミサイル「カイバル・シェカン(カイバル・ブレイカー)」を発射し、1300キロ離れたシリアのイスラム国(IS)拠点に攻撃を加えた。タスニム通信が報じた。革命防衛隊の創設以降、最も遠い標的を狙った攻撃だ。 
 これはイスラエルを攻撃するのに必要な射程距離とほぼ同じであり、イランはこれまで、同ミサイルの開発をイスラエルとの長年の敵対関係に結びつけている。イランは通常、直接攻撃を仕掛けるのではなく、ハマスのような代理勢力を通じてイスラエルと衝突してきた。
 イランはカイバル・シェカンの射程が最大1450キロで、イスラエルの対ミサイル防空システムを回避できると主張している。
 国際戦略研究所(IISS)のリサーチフェロー、ファビアン・ヒンツ氏は「イスラエルを射程に収めるミサイルとしては、おそらく最も高性能のものだろう」と指摘。「だが、イスラエルに対する攻撃に使いたいなら、世界有数のミサイル防衛能力を持つ国を相手にしているという事実に常に対処する必要がある」と述べた。
 米国はイランがさまざまな種類と射程の弾道ミサイルを推定3000発以上保有していると分析。イスラエルに到達し得るミサイルも「一部」含まれているとみている。
 中東地域の安定に対する一段のリスクとして、イランはイエメンの親イラン武装組織フーシ派にカイバル・シェカンを供給したようだ、と前出のヒンツ氏は指摘している。
 イランが今週、イラク北部にあるイスラエルの「スパイ拠点」とされる場所を同時攻撃した際にも、同じミサイルが使用された、と同国のメディアは報じている。
 ヒンツ氏によると、革命防衛隊はシリアへの攻撃でより射程の短いミサイルを使うこともできたはずだ。だが、そうしなかったのは最新技術を試すためか、「イスラエルにメッセージを送る目的であえて選択した」かのどちらかだという。