◎「低強度戦争への転換」 イスラエルのヒズボラ・ハマス高位要人攻撃、戦争拡大危機は依然と
イスラエル国防軍がパレスチナ・ガザ地区内で全面戦争中心の高強度地上戦を始めて約７０日ぶりに標的打撃中心の低強度戦闘に転換したことを公式確認した。また、ガザ地区での作戦が今年いっぱいは続くだろうと予告した。こうした中、イスラエルはレバノンとシリアを空襲し、ヒズボラとハマスの高位要人が死亡しながら中東地域の戦争拡大リスクが一層大きくなっている。
◇イスラエル国防軍「低強度戦争への転換、兵力を減らす」
イスラエル国防軍の首席報道官ダニエル・ハガリ報道官（少将）は８日（現地時間）、米国ニューヨーク・タイムズ（ＮＹＴ）インタビューで「ハマスとの戦争に転換があった」としながら「転換儀式や劇的に発表する必要はない」と明らかにした。高強度地上戦から低強度標的化の戦闘へ転換したという意味だ。これに先立って米国高位級は小規模の精鋭イスラエル国防軍がハマス指導部を攻撃して、人質を救出するなど外科手術式の作戦に集中することを期待していた。
ハガリ報道官は「転換過程でガザ地区内の兵力を徐々に減らしていく」としながら「すでにガザ地区北部では作戦の強度が下がった」と伝えた。ＮＹＴは米国政府関係者を引用して先月の時点ではガザ地区北部にイスラエル国防軍５万人が駐留していたが現在は半数以下に減ったと伝えた。
今後イスラエル国防軍はガザ地区の中・南部攻撃に集中する計画だ。ハガリ報道官は「ハーン・ユーニスとディール・バラフなどガザ地区の中・南部のハマス拠点を攻略するために焦点を合わせる」と強調した。ガザ地区の戦争が低強度に転換されても長期戦になる可能性が高い。ハガリ少将はこの日の会見でガザ地区作戦が今年ずっと続くことだと予告した。
現地日刊のタイムズ・オブ・イスラエルは、ハガリ報道官のインタビューについて、イスラエル国防軍が地上戦の局面転換を米国メディアを通じて公式化したことが注目すべきだと論評した。米国はガザ地区での民間人の犠牲者が急激に増えたためイスラエルに低強度攻撃への転換を繰り返し要求していた。
◇ヒズボラ・ハマス高位要人が相次いで死亡…中東戦争への拡大危機
だが、この日ヒズボラ高官指揮官とハマスの幹部がそれぞれレバノンとシリアでイスラエルの攻撃を受けて死亡して中東地域の戦争拡大危機はさらに高まった。ロイター通信やフィナンシャル・タイムズ（ＦＴ）などによると、イスラエル国防軍がレバノン南部を空襲し、この攻撃でヒズボラ精鋭ラドワン部隊の指揮官の一人であるウィサム・タウィル司令官が亡くなった。
タウィル氏はレバノン南部地域のヒズボラ作戦を指揮してきた人物で、昨年１０月のハマス奇襲攻撃以降行われたイスラエルの攻撃で死亡したヒズボラ最高位幹部だ。過去３カ月間、イスラエル国防軍との武力衝突でヒズボラは約１３０人が死亡したが、ヒズボラはタウィル司令官の死亡に対してのみ大々的に知らせた。
これに伴い、２日にイスラエルによるベイルートの攻撃でハマスのナンバー３だったアル・アルリ氏が死亡したのに続き、タウィル氏まで死亡したことにより、イスラエルとヒズボラ間の武力衝突の可能性が高まった。ヒズボラが２００６年のようにイスラエルと全面戦争を行う可能性もあるという観測が出ている。
また、イスラエル国防軍は最近数週間、国境を接するシリアでイスラエル北部にロケット砲を発射したハマス責任者ハッサン・アカシャ氏を除去した。これに対してロイター通信はイスラエル国防軍が最近シリアのインフラとイランの武器サプライチェーン（供給網）に関係した人物にターゲットを絞る方向に作戦を転換したと伝えた。
シリア軍部側の関係者は「イスラエルは数年前からイランに関連した目標物を攻撃するだけで、ヒズボラに対する直接的な攻撃は避けてきた」とし「ところが最近になってシリアでヒズボラ要人を殺害する際これ以上気を使わず、致命的な空襲を繰り返し加えている」と明らかにした。
この日夜、米国のブリンケン国務長官は中東の緊張緩和のためにイスラエルを訪問した。ブリンケン長官はネタニヤフ首相らと会ってガザ地区の休戦や人道主義的支援などに対して議論する予定だ。これに先立ち、サウジアラビアを訪問したブリンケン長官はパレスチナ独立国家の建設をはじめとする中東安定のための主な目標に対して、サウジ・ヨルダン・カタール・アラブ首長国連邦（ＵＡＥ）など中東国家と共感を形成したと明らかにした。