「もはや緩衝区域は存在しない」韓国軍が訓練再開を表明 北朝鮮も合意破棄を宣言、砲撃繰り返す

 

 

 【ソウル=木下大資】韓国軍は8日、北朝鮮が黄海で連日砲撃を実施したとして「もはや敵対行為中止区域(緩衝区域)は存在しない」と表明し、2018年の南北軍事合意で地上と海上に設定された緩衝区域で訓練を再開する方針を示した。偶発的な軍事衝突を避けるため結ばれた合意は、南北双方によって事実上の無効化が進んでいる。
 尹錫悦(ユンソンニョル)政権は2023年11月、北朝鮮の軍事偵察衛星打ち上げを受け、合意のうち軍事境界線付近での偵察機の飛行を制限していた条項の効力を停止。北朝鮮は合意自体の破棄を宣言し、1月5~7日に黄海の北方限界線(NLL)北側で砲撃を繰り返した。
 韓国軍合同参謀本部は「北朝鮮は緩衝区域が存在しないことを行動で示した」と指摘。6日の砲撃が「爆薬を爆破した欺瞞(ぎまん)作戦だった」との金与正(キムヨジョン)朝鮮労働党副部長の主張に対しては、「韓国軍は北朝鮮の砲撃を区別できる能力を持っている」と一蹴した。