◎AI兵器による軍拡競争激化リスク指摘…国連諮問機関が中間報告
【ニューヨーク=金子靖志】人工知能(AI)に関する国際的な管理のあり方や活用方法を検討している国連諮問機関が中間報告書をまとめた。偽情報の拡散やAI兵器による新たな軍拡競争の激化などのリスクを指摘し、拘束力のある国際的な規範が必要だと訴えた。
諮問機関は今年夏までに最終勧告をまとめ、国連内で規制に向けた議論が本格化する。昨年12月までの議論をまとめた中間報告書はAIのリスクについて、偽情報の拡散が「社会的な信頼と民主主義に深刻な悪影響をもたらす」と強調したほか、AI兵器が制御不能になった場合に「人類存亡の脅威になる」と訴えた。
一方、AIの活用で発展途上国の公衆衛生や教育問題、高齢化が進む先進国の労働力不足の改善などが期待できるとも指摘した。
諮問機関は昨年10月にアントニオ・グテレス事務総長が設置し、AI開発者ら39人がメンバーとなっている。日本からは、ソニーグループの北野宏明・最高技術責任者(CTO)と江間有沙・東大准教授が参加している。