IAEA「北朝鮮の軽水炉、プルトニウム生産可能」 | すずくるのお国のまもり

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◎IAEA「北朝鮮の軽水炉、プルトニウム生産可能」…韓国国防部長官に反論

 

 

 国際原子力機関(IAEA)が「寧辺(ヨンビョン)核施設内の軽水炉は核燃料であるプルトニウムを生産することができ、北朝鮮が15年間安全措置の死角地帯にあるため、さらに懸念される」と明らかにした。韓国の申源湜(シン・ウォンシク)国防部長官がこれに先立ち、「軽水炉で核燃料であるプルトニウムを生産する可能性は小さい」と指摘したことに対する再反論とみられる余地がある立場だ。
 IAEAは最近、申長官が「北朝鮮の実験用軽水炉の試験稼動はプルトニウムの生産ではなく電力生産のためのものである可能性が大きい」という旨で説明したことに対する立場を問う中央日報の電子メール質疑にこのように答えた。当時、申長官の説明に対して、軽水炉によるプルトニウム生産の可能性に重きを置いたIAEAの立場とは多少異なるという指摘が出ている。
 IAEAは昨年12月30日、中央日報の質疑に対する回答で、「核拡散防止条約(NPT)の安全措置協定に従っている国では、軽水炉をはじめ原子炉から出る使用済み核燃料に対して、IAEAレベルで安全措置を適用している」とし、「これはプルトニウムをはじめとする核物質が核兵器に転用されないように保障するための措置」と説明した。
 また「しかし、北朝鮮の場合、IAEAが2009年4月以降いかなる安全装置も履行できず、そのためラファエル・グロッシー事務局長が懸念を表明した」と強調した。これに先立ち、グロッシー事務局長は昨年12月21日、声明を通じて北朝鮮が寧辺軽水炉を試験運転した事実を初めて公開し、「軽水炉もプルトニウムを生産できるため懸念される」と明らかにした。
 IAEAは同日の回答で「軽水炉(LWR)は他の原子炉と同様に照射された(irradiated)燃料からプルトニウムを生産することができる。該当プルトニウムは再処理過程で分離される可能性があるため、懸念の余地がある」というグロッシー事務局長の従来の立場を再度強調した。
 IAEAのこのような追加立場表明は、電力生産の可能性に重点を置いた韓国国防部の分析に一線を引く意味をもつ。昨年12月28日、申長官は国防部担当記者懇談会で、「軽水炉を通じてプルトニウムを生産し、核兵器を作った国はこれまでない」とし、「(軽水炉建設が)寧辺地域に電気を供給するための目的だという北朝鮮の言葉は、とんでもないことではないと思う」と述べた。
 一方、IAEAは同日の回答で、北朝鮮の軽水炉によるプルトニウム生産への懸念を何度も強調しただけで、電力生産の可能性は全く言及しなかった。
 理論的には軽水炉を通じて電力と核燃料の生産の両方が可能だ。しかし、北朝鮮は2003年NPT体制から最終脱退し、2009年IAEA査察団を追い出した。実に「平和的核利用」に該当する電力生産が目的であれば、そのようにするわけがないというのがIAEAが懸念する主な理由だ。
 これに先立ち、元IAEA関係者がマスコミの報道などを通じて北朝鮮が寧辺軽水炉を再稼動する場合、理論上従来の5MW原子炉より3~4倍多い年間約15~20キログラムのプルトニウムを生産できると観測したのも同じ流れだ。申長官は「正確でない報道」と指摘した。
 北朝鮮の軽水炉活用法をめぐってすでに見方が分かれる中、北朝鮮が軍事用と民需用の両方が可能な軽水炉の「不確実性」を活用し、ややもすれば分裂を試みる可能性も提起されている。韓国政府は今夏ごろ、軽水炉が正常稼動するものと予想しているが、実際の電力生産にこれを活用する形となれば、裏では核兵器の製造を試み、国際社会を欺瞞する恐れがあるということだ。
 北朝鮮が国際社会が衛星などで丸見えの寧辺核団地から既存の5MW原子炉に加え、25~30MW級実験用軽水炉をも運用して活発な活動を展開するのは、今後国際社会との交渉可能性を念頭に置いて寧辺の価値を浮き彫りにする狙いだという解釈もある。
 科学技術政策研究院のイ・チュングン名誉研究委員は「一般に軽水炉が電力生産など産業用に近いとしても、北朝鮮のように核開発に没頭する国の場合、使い方が異なる可能性がある」と指摘した。さらに、「原子力を平和的に利用しているという北朝鮮の主張に、韓国がともすれば同調する姿を見せる場合、北朝鮮がこれを逆に活用する可能性もある」とし、「北朝鮮の原子力関連施設に関連して韓国と国際社会が出すメッセージに不協和音があってはならない」と述べた。